文芸的タスクマネジメント(文芸的タスク管理)のススメ
Title: 文芸的タスクマネジメント(文芸的タスク管理)のススメ
タスク管理ツールは、どんな感じに使っているのでしょうか。
私の答えは タスクのマネジメントを、文芸的にやっています。 クヌース氏の文芸的プログラミング Literate programming をもじったものなので「文芸的プログラミング」と検索して参照してください。
(この文章は、ちょっと疲れていたので、気分転換(現実逃避)に書きました。自分の考えを文章にする行為は、整備体操するように体が温まり、気持ちよく、すっきりします。気がついたら5,500文字程度になり、仮に公開することにしました。)
状況
5人が、それぞれが別々のことをやっています。それぞれの相手先があり、そちらの言説で動いています。相手先のフォーマットが統一されておらず、用紙やPDFファイル、画像や動画、電話やテキストメッセージの時もあります。場合によっては、官庁などの場合もあり、こちらからお願いすることは、現実的に不可能です。(多様性)
共同作業もあれば、異なる作業もあります。おおよそにおいて、別々のことをやっています。物理的に同じ場所にいる時もあれば、離れている時もあります(リモート)。
それぞれのタスクは、同期しておらず、別々の時間や場所で行われ、終わる時間もバラバラです(非同期)。
日常的に、毎日のように行うべきことが変化するので、大まかな予定しか立てることはできません。大きな流れだけをつかんでおいて、状況に対応していきます(変動性)。
ただし、それぞれのタスク量は、多いものではありません。毎週のタスクが10から20ぐらいで、タスクばらしによって40から60ぐらいでしょうか、タスクは少なめです(少数のタスク)。
タスクの粒度は、変化しています。タスクを実行可能な状態にする「タスクばらし」によって、細分化されていきます。自在に論理構造を行き来することになります。場合によっては、カテゴリ自体が変わってしまうこともあります(あいまいさ)。
本来であれば、暗黙的に状況や文脈を理解していることが前提にあります。しかしながら、その部分を明示的にすることによって、本末転倒になりにくくします。暗黙的な状況や文脈とタスクを明らかにする行為と、タスクを行う行為を分離できる時と、分離することによって、いくつかの問題が発生する時があります(可視化)。
タスク管理ツール(Trello, Redmine, Apple Reminder, Google Tasks,,,)を使いました。しかし、不定形のタスクの管理には、無理があって使い勝手がイマイチでした(非定型)。定型のタスクは、このようなツールをそのまま使っています。
いくつかのタスクは、それぞれの状況や文脈に埋め込められています。 タスクだけが存在しているわけではありません。タスクだけが切り離された状態だと、そのときの背景を忘れがちです。
問題(問題とフォース)
このような文脈を含めた不定形のタスクをすべて見ながら、行動するためには、どのようにすれば良いのでしょうか。
ふりかえりや計画づくりなどを行うことは大切です。しかし、タスクを転記することがあり、手間がかかります。転記することが整理することであれば、転記それば良いと思います。
大きめの仕事や目標を、状況に埋め込まれられた「今週」「今」のワークをに結びつけるためには、現在の状況や文脈、制約を調べながら具体化していく必要があります。
付箋紙やホワイトボードなど物理的なツールで ふりかえりやタスクを洗い出しを行うことは直感的でわかりやすいが、その場所から離れると参照・更新ができません。
もし、完全にマッチするようなタスク管理ツールがあったとしても、プラットフォーム(OS)などのアップデートによって使えなくなります。データの移行は、自分たちなりの使い勝手が実現されません。
そもそも、タスクを管理することは側面でしかなく、「成果を上げること」のために「なんとかする」「やりくりする」こと(マネジメント)することです。1
解決策
それゆえ、文芸的にタスクをマネジメントしています。ふりかえりも、計画づくりも、タスクばらし、と実行を分けずにドキュメントに記載していきます。
- 気軽にアクセスできるツールを選びます(環境)
- 思いついたことは、なんでも書いていきます(入力)
- 適当なタイミングで計画を立てます(計画)
- タスクをバラシながら実行します(実行・出力)
- ふりかえります(フィードバック)
気楽にアクセスできるツールを選びます
導入に手間がかかっては本末転倒です。手軽に使えて、多くの人に使われている(≒ 長くメンテナンスされそうな)ツールを選びます。
自分たちの環境にふさわしい道具を選びましょう。Google、Apple、Microsoft、フリーソフトでも、どこが作っていても かまいません。データ形式が一般的なツールを選びましょう。マインドマップ、アウトライン機能、自分たちにとって適切な道具を探してみてください。
以前は、マインドマップツールを使っていましたが、テキストファイルに比べ、多くの人に使われているわけでもなく、データフォーマットが一般的ではないので、使わなくなってしまいました2。
ポイントは、手軽さです。すぐにアクセスできることが何よりも大切です。
今回は、メンバーが iPhoneかiPadと iCloudを使っているため、標準機能であるiCloud共有を使います。タスクのリストを入れても、容量は極々小さく、無料の範囲です。
ツールは、OS標準のメモ(Notes.app)やリマインダ、カレンダーを使うことにしました。特にノートを使いこなします。iPhoneのロック画面からも新規のメモ(Notes.app)にアクセスできるなど、すぐにアクセスできることは大切です。
思いついたことは、なんでも買いていきます GTD
あらゆる思いつきをタスクとして登録しています。Getting Things Done (GTD)メソッドは、今でも有効です。
GTDの流儀に従い、2分以内のタスクは、思いついたらすぐにやってしまいます。さくっとやっちゃいましょう。
将来の夢のようなことも、ガリガリ書いていきます。整理する時に「将来の夢」みたいなメモに移動させます。
適当なタイミングで 計画を立てます
メンバーによって違います。毎週ごとにメモを新規作成しているメンバーもいれば、月単位のメンバーもいます。私個人のタスクは、月単位のメモで、毎週ごとに章立ています。
# 2020年6月1日の週計画
たいていは、ふりかえりのあと、計画を立てます。ふりかえりで出たことを、それ以外にやりたいことを書き出してしまいます。先週のコピペもできるんですけど、たいていは新規で作った方が、やすらぎます。
メモを書きながら、適当にタスクとして登録します。いろいろなタスクとして登録していきます。メモ(Notes.app)のショートカットキーは Shift-Command-L を押せばオッケーです3。
今週前半は、疲れているはずなので、ちょっと睡眠を多めに取らなくちゃいけないんだけど、ついくだらない文章を書いてしまう。しかし、構成も書いたし、公開するか…我ながら
- [ ] 駄文を書く
- [ ] 文芸的タスクマネジメントのススメを書いて公開する
- [ ] 駄文のリストがある。なんでやりたくなっちゃうんだろう。
タスクばらしと実行です
タスクばらしとは、実施可能な粒度までタスクを小さくすることで、だいたい1時間弱から2時間程度のタスクにバラしています4。一日8時間でしたら8つから10ぐらいの分割します。
- [ ] 文芸的タスクマネジメントのススメを書いて公開する
- [x] 全体の構成を書く
- [x] 状況を書く
- [x] 多様性
- [x] 少数
- [x] 状況と文脈
- [x] 問題とフォースを書く
- [x] タスクマネジメント
- [ ] 解決策を書く
- [x] 計画について書く
- [x] 実行について書く
- [ ] ふりかえりについて書く
- [ ] 結果を書く
- [ ] 参考文献を書く
- [ ] 全体を読み直して修正する
- [ ] 公開する
この時、文芸的タスクマネジメントは、このタスクの中で、文章を書いてしまうことも可能なのです。テキストで作っているので、そのまま他の環境にコピペすればいいのです。
よくあるのは、基本的な構造やアイデアは、タスクのところに書いてしまい、それを参照・コピペして、本来の環境で作業することが多いです。
タスクばらしは、前日にやっておきたいところですが、夕方と夜はバタバタすることが多く、なかなかできていません。今のところ、朝の最初のタスクは、タスクばらしとしています。
ふりかえりを行います
軽く、ふりかえりを行います。フォーマットは自由です。例えば、今週は「やったこと (Y)」「わかったこと(W)」「ためしたいこと(T)」を書いてみました。
- やったこと
- ワークショップの募集を開始した
- 文芸的タスクマネジメントのススメを書いて公開した
- わかったこと
- 自分がいらない文章だと思っていても、読む人にとっては役に立つかもしれないこと
- とりあえず、公開してみること
- ためしたいこと
- 価値について、カチカチ議論したい
この一連の流れが一つのメモの中で行われています。それ以外にも、必要なことは、このメモの中に入れていきます。
結果
文芸的タスクマネジメントの弱点は、文芸的プログラミングと同じように記述量が増えてしまいがちになることです。
また、すでにタスク管理とその実行が適切に回っていれば、その方法があっているのだと思います。特に、文脈とは切り離されたことであれば、タスク管理ツール(リマインダを含め)を使うことを奨励します。
しかしながら、文芸的タスクマネジメントは、状況や文脈に埋め込められた状態において、とても有効です。
もし、特にITや文書を常に使うような仕事であれば、この方法はオススメです。
参考になる資料
本文の脚注以外に参考にした資料です。
- 年収1000万の発達障害者が「ADHDのタスク管理術」について語ってくを知って、試してみてから、とてもよかったです。私は、特にADHDと診断されたことはないけれど、とても役に立ちました。
- 自分で作った文書データと長い友達でいるためのメモ - ari's worldは、ツールやデータ形式の選択方法について書きました。
- デジタル機器を使った子育てで 主体性やコミュニケーション力を育もう - ari's world
(スクリーンショットを掲載しようとすると、ほとんど黒塗りになってしまうので割愛しました)
まとめ(オチ?)
ああ、文章を書いて、頭と体がすっきりした。 で、このような文章を衝動的に書かないために、タスクを管理する必要があるのですね(オチ?)。
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そもそも「管理」と「マネジメント」は違うというのが本書の大前提にあるスタンスです。日本語にすると混同してしまいがちですが、そもそもマネジメントとは「成果をあげること」が目的で、そのために「なんとかすること」「やりくりすること」の意味です。一方で、管理は手段に過ぎません。 https://kuranuki.sonicgarden.jp/2019/03/management-kanri.html↩
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調べていませんが、編集可能なファイル形式として、テキスト形式は最も使われているんだと思っています。↩
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エディタ iA Writer なら、ショートカットキー Option - Command - L で切り替わります。自分のツールのショートカットキーを覚えておくと、何かと便利です。↩