子どもが情報の生産者になるためにノートPCが必要か?
世界で唯一、日本の子どものパソコン使用率が低下している | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトによると
日本の生徒もスマホの使用率は高く、それで十分と考えているようだ。SNSで仲間と交信し、イベント情報等をチェックするだけならスマホで事足りる。だが、情報を独自に加工し、創作物を生み出すとなるとパソコンが必須となる。これからの時代、情報の消費者に甘んじるのではなく、情報の生産者(創作者)になるべきだ。
「情報の生産者(創作者)になるべき」との意見に、基本的に賛成である。正確には、両方は、分割が不可能であり、消費者であり生産者でもある状態が望ましいと考えているが、この議論は別の機会としたい。
ここでは、こどもたちが情報を生産するふさわしい(生産性が高い)ツールは、ノートPCは必須ではない。むしろ、タブレットPC(iPad)は高い生産性を持つツールである。
なお、ここでは、iPad 2018に極めて廉価な2〜3千円ぐらいの外部キーボードと、百均で買うペンシルを用意している事例を紹介する。
情報生産ツールとしてのタブレットPC
子どもたちが、どのようにタブレットPC(iPad)で情報を生産しているのか事例を紹介する。
子どもたちは、オフィス製品を用いて、文書作成・表計算・プレゼンテーションを行なっている。
9.7インチであるiPad 2018は、Microsoft Officeが、限定的な機能でありながらも無料で使える。ただし、Microsoft Officeは、カーソルキーが動かない、異常終了するなど、動作が不安定なことが多い。
iPadは、Apple社やGoogle社のオフィス製品が無料で使える。最近は、こちらを利用することが多いようだ。
子どもたちは、これらの機能を使い、何十ページのレポートや資料を作成している。
子どもたちは、手書きで絵を描いている。
標準のメモアプリや手書きアプリ(GoodNotes 5)など、便利なツールが多い。廉価なペンシルを用いて、手書きの絵や図を書いているようだ。
子どもたちの文字入力は、音声入力がメインである。
数十ページにわたるレポートもひたすら音声入力であった(夜まで音声がウルサイんだけどね)。macOS上も、音声入力は可能である。しかし、iPadはソフトウェア・キーボードのマイクボタンを押すだけで音声入力が可能になり手軽である。
子どもたちは、iPadでプログラミングを行なっている。
自由研究では、Scratch でプログラムを書き、シミュレーションを行った。直感的に結果がわかり、繰り返しながらプログラミングしていた。
iPad上では、プログラミングできる環境は限られていることが多いし、画面の大きさも限られている。iPad上のプログラミングについても、検索すればよく出てくる。人工知能やデータ処理として主要なプログラム言語であるPython言語やR言語も扱えるようだ。
このようにiPadもプログラミングは、選択肢は少ないが、十分に可能である。
子どもたちは、iPadで写真(静止画)や動画を撮影して研究している。
子どもは、iPadのカメラで、電車など動きのある被写体が斜めになることから、被写体の相対速度を推定する研究を行った。さらに、iPadのスローモーションでの撮影機能を使い、自由落下(放物線)の学習やコマまわしの研究を進めた。
このように手軽に撮影できることによって、
iPadでは、手軽に撮影できることにメリットがある。 - 子どもたちは、加速度センサーを使っている。 - 自由研究では、加速度センサーを使い、空手の習熟度別の突きの強さを計測した。 - それ以外にも、位置情報機能を用いた境界の研究(結局、平和学の研究になったため、位置情報のデータは使われなかった)となった。
さらに、日常生活においてもコミュニケーションや主体的な学習を実現するために、必要な環境となっている。 どれもアプリをインストールするだけで、手軽に使えることに優位性がある。
上記のことは、ノートPC(MacBook)で同じことを実現するのは困難である。動画の撮影も不自由だし、手にして加速度を計測することも困難である。
つまり、タブレットPC(iPad)は、情報生産ツールとして十分であると言えよう。
情報生産ツールを用いる機会の拡大について
いかに優れた情報生産ツールがあったとしても、それを用いることが少なければ、価値はない。タブレットPC(iPad)を用いる機会(時間や価値を生み出す時間)が増えるかについて紹介する。
- ノートPCに比べて、子どもたちが扱いやすいのはiPadである。
- ヒンジもないため壊れる箇所も少ない。また、ケースも豊富であり、頑丈なを選択すれば、落下に対しても強い。
- 姿勢よく使うことが簡単なのはiPadである。
- 文書作成時の画面の縦の長さは、iPadが長い。
- 文書を作成する時、画面が高いと「縦長の文書」に近く、ページの見通しがよい。MacBook Pro 13inchの画面の高さは17.9cm、iPad 2018は19.8cmとなる。縦に使うiPadの方が、10%ほど長いのだ。これを知ってから、文書作成をするときは、MacBook Proをしまって、iPadを取り出すようになった。
- 手軽に持ち運べる。
- MacBook Pro 13inchは1,370グラムであり、iPad 2018は478グラムとなっている。おおよそ3分の一の重さである。ケースによっては、雑に扱えることもあり、軽くて圧倒的に手軽に運べる。
- 値段が圧倒的に安い。
- MacBook Proは標準構成で19万8千円、iPadは3万7千円からとなっている。5分の一以下の値段で買えることがわかる。一人にMacBook Proを買うのであれば、5人の子どもに一台ずつ買えることになる。
このようにノートPCより、タブレットPCの方が、用いる機会が多いことがわかる。
Windows機を使わない理由
自宅にはWindows機(デスクトップとタブレット型)は存在していた。しかしながら、アプリのインストールの失敗や、セキュリティパッチ適用の失敗が続き、困っていた(半日かけて調査し、レジストリ変更で回避した)。ある子どもは、作業中に勝手に再起動して泣いていた(設定変更が必要だった)。このように動作が不安定で、不具合が多く、ほとんど使われていない。
iPadのMicrosoft Office製品もカーソルが動かなくなり、異常終了する。結局、子どもたちは、Microsoft製品に触らなくなった。Microsoftは、安心して使える製品を出してほしい、親として切実な願いである。
結論
子どもとして情報生産ツールとして、iPadの生産性が高く、有用であることを示した。つまり、日本においてノートPCの使用率が下がったとしても、生産性の観点において、なんら問題はない。
むろん、特定の使い方やアプリ、環境が明らかであるならば、それに合ったMacBookなりWindowsなりを用意すればよいだろう。
つまり、情報の生産者になるためにノートPCである必要はない、と言えよう。
関連情報
なお、父親である私自身のメイン環境はiPadであり、これらの記事は、すべてiPadを使って”生産”した。
; どうでもよいネタだと思いながら、なんとなくキーボードが走ってしまった。せっかくなので公開してみる。