このところ、批判についての投稿や、その批判に対する批判についての投稿を目にします。<Choice Map>(選択の地図)は、 他の人への反応するときの選択、質問するときの選択の地図です。10年ぐらい事務所のホワイトボードに貼ってある<選択の地図>があるので、少しだけ紹介します。
学習の文化はたやすく壊れてしまう
チームや組織、コミュニティでの活動は、自然に文化が生まれます。文化とは、それぞれの人が行動や思考を決定づける規範のことです。この自然に生まれた文化によって、逆にそこに参加している人々の行動や思考が決められてしまいます。
この文化には、さまざまな評価基準や尺度が議論されています。その中でも、学習の文化があります。この学習の文化は、建設的な成長をもたらします。
しかし、この学習の文化は、比較的容易に壊れてしまいます。そのため、いろいろなコミュニティや組織で、行動規範やルールとして明示されているのです。例えば、Code of Conduct(行動規範) | Ubuntu Japanese Teamの行動規範など、とてもよくできています。
文化を守るのは、あんがい難しい
さて、このような文化を壊さないために、どのようにすれば良いのでしょうか。
破壊している人に、破壊をやめてもらうのは難しいです。破壊は、好んでやっている場合や、破壊を通じて自分の承認欲求を満たす人もいます。また、破壊的であっても批判によって物事をよくしようと考える人もいます。
聞き手の認知の歪みを修正するのは難しいです。自分の健康状態や認知の歪みによって、破壊的に感じることもあります。このような健康状態や認知の歪みを修正する方法は議論されていますが、ここでは扱いません。
また「心掛け」や「気持ち」ではなく、具体的な方法が必要です。そこで、私のホワイトボードに貼ってある<選択の地図>を簡単に紹介します。
裁判官か学習者か
二つの選択肢があります、一つは、裁判官 (Judger) の道と、学習者の道です。
メモ:裁判官(Judger) は、本来の裁判官を意味しているわけではありません。裁判官のように誰に責任があり、何が正しいかを判定するチームメイトや市井の人のことです。破壊的な作用をもたらす批判を強調するために、ここでは裁判官と書きました。改善を意図して批判しているにもかかわらず、破壊的な作用をもたらす場合を含みます(適切な日本語が見つかれば、その言葉に書き換えます)。
裁判官への道
裁判官への道は、こんな質問です。
- 「誰のせいなんだ? (Whose fault is it?)」
- 「私がどうしましたか?何かまずいことでも?? (What’s wrong with me?)」
- 「どのように私が正しいことを証明できるんだろう (How can I prove that I’m right?)」
その結果は…
- 悲観的、ストレス、制限の雰囲気 (A mood of pessimism, stress, and limitation)
- 「攻撃か防御か」の態度での関係 (Relating with “attack or defensive” behaviors
裁判官の落とし穴 (Judger pit)にハマってしまうようです。
学習者への道
学習者への道は、こんな質問です。
- 「何が起こったんだろう。(What happened?) 」
- 「何が事実なのか。 (What are the fact?)」
- 「私は何をしたいんだろう。 (What do I want?)」
- 「私はどんな仮定をしているんだろう。 (What assumptions am I making?) 」
その結果…
- 楽観的で、希望と可能性の雰囲気 (A mood of optimism, hope, and possibilities)
- 接続と共創の関係 (Relating that is connected and collaborative)
学習者の高みに登っていけるようです。
もし裁判官になっても、道を切り替えることができます
このように自分に問いかけることによって、学習者への道にいくことができます。
- 私は、裁判官になっていないか? (Am I in Judger?)
- これは、私が感じたいことですか? (Is this how I want to feel?)
- 私は、どちらになりたいですか? (Where would I rather be?)
他の人の行動を変えるのは、難しいです
実際、他の人の行動を変えることは、難しいです。現実的に破壊的な人と距離を置くことしかできないこともあるでしょう。なので、その場所が、どのような文化に支配されているのかを観察することは、とても大切です。
しかし、自分自身が発する具体的な言葉を意識してみることによって、自分が変わり、もしかしたら、自分の周り<文化>が少しだけ変わるかもしれません。
参考文献
- Choice Map チョイスマップ(英語版)は、ダウンロードできます。自分のデスクやホワイトボードにも貼れますよ。
- Change Your Questions, Change Your Life: 12 Powerful Tools for Leadership, Coaching, and Life (English Edition) [Kindle edition] by Adams, Marilee, Goldsmith, Marshall | Business Management | Kindleストア
- 新版 すべては「前向き質問」でうまくいく 質問思考の技術/クエスチョン・シンキング | マリリー・G・アダムス, 鈴木義幸 | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon