ari's world

あるかどうかわからないけど、あるみたい。ありがとう。

選択の地図で、自分の発言や投稿を見直そう

このところ、批判についての投稿や、その批判に対する批判についての投稿を目にします。<Choice Map>(選択の地図)は、 他の人への反応するときの選択、質問するときの選択の地図です。10年ぐらい事務所のホワイトボードに貼ってある<選択の地図>があるので、少しだけ紹介します。

ホワイトボードに貼ってある選択の地図

学習の文化はたやすく壊れてしまう

チームや組織、コミュニティでの活動は、自然に文化が生まれます。文化とは、それぞれの人が行動や思考を決定づける規範のことです。この自然に生まれた文化によって、逆にそこに参加している人々の行動や思考が決められてしまいます。

この文化には、さまざまな評価基準や尺度が議論されています。その中でも、学習の文化があります。この学習の文化は、建設的な成長をもたらします。

しかし、この学習の文化は、比較的容易に壊れてしまいます。そのため、いろいろなコミュニティや組織で、行動規範やルールとして明示されているのです。例えば、Code of Conduct(行動規範) | Ubuntu Japanese Teamの行動規範など、とてもよくできています。

文化を守るのは、あんがい難しい

さて、このような文化を壊さないために、どのようにすれば良いのでしょうか。

破壊している人に、破壊をやめてもらうのは難しいです。破壊は、好んでやっている場合や、破壊を通じて自分の承認欲求を満たす人もいます。また、破壊的であっても批判によって物事をよくしようと考える人もいます。

聞き手の認知の歪みを修正するのは難しいです。自分の健康状態や認知の歪みによって、破壊的に感じることもあります。このような健康状態や認知の歪みを修正する方法は議論されていますが、ここでは扱いません。

また「心掛け」や「気持ち」ではなく、具体的な方法が必要です。そこで、私のホワイトボードに貼ってある<選択の地図>を簡単に紹介します。

裁判官か学習者か

二つの選択肢があります、一つは、裁判官 (Judger) の道と、学習者の道です。

メモ:裁判官(Judger) は、本来の裁判官を意味しているわけではありません。裁判官のように誰に責任があり、何が正しいかを判定するチームメイトや市井の人のことです。破壊的な作用をもたらす批判を強調するために、ここでは裁判官と書きました。改善を意図して批判しているにもかかわらず、破壊的な作用をもたらす場合を含みます(適切な日本語が見つかれば、その言葉に書き換えます)。

裁判官への道

裁判官への道は、こんな質問です。

  • 「誰のせいなんだ? (Whose fault is it?)」
  • 「私がどうしましたか?何かまずいことでも?? (What’s wrong with me?)」
  • 「どのように私が正しいことを証明できるんだろう (How can I prove that I’m right?)」

その結果は…

  • 悲観的、ストレス、制限の雰囲気 (A mood of pessimism, stress, and limitation)
  • 「攻撃か防御か」の態度での関係 (Relating with “attack or defensive” behaviors

裁判官の落とし穴 (Judger pit)にハマってしまうようです。

学習者への道

学習者への道は、こんな質問です。

  • 「何が起こったんだろう。(What happened?) 」
  • 「何が事実なのか。 (What are the fact?)」
  • 「私は何をしたいんだろう。 (What do I want?)」
  • 「私はどんな仮定をしているんだろう。 (What assumptions am I making?) 」

その結果…

  • 楽観的で、希望と可能性の雰囲気 (A mood of optimism, hope, and possibilities)
  • 接続と共創の関係 (Relating that is connected and collaborative)

学習者の高みに登っていけるようです。

もし裁判官になっても、道を切り替えることができます

このように自分に問いかけることによって、学習者への道にいくことができます。

  • 私は、裁判官になっていないか? (Am I in Judger?)
  • これは、私が感じたいことですか? (Is this how I want to feel?)
  • 私は、どちらになりたいですか? (Where would I rather be?)

他の人の行動を変えるのは、難しいです

実際、他の人の行動を変えることは、難しいです。現実的に破壊的な人と距離を置くことしかできないこともあるでしょう。なので、その場所が、どのような文化に支配されているのかを観察することは、とても大切です。

しかし、自分自身が発する具体的な言葉を意識してみることによって、自分が変わり、もしかしたら、自分の周り<文化>が少しだけ変わるかもしれません。

参考文献

文芸的タスクマネジメント(文芸的タスク管理)のススメ

Title: 文芸的タスクマネジメント(文芸的タスク管理)のススメ

タスク管理ツールは、どんな感じに使っているのでしょうか。

私の答えは タスクのマネジメントを、文芸的にやっています。 クヌース氏の文芸的プログラミング Literate programming をもじったものなので「文芸的プログラミング」と検索して参照してください。

(この文章は、ちょっと疲れていたので、気分転換(現実逃避)に書きました。自分の考えを文章にする行為は、整備体操するように体が温まり、気持ちよく、すっきりします。気がついたら5,500文字程度になり、仮に公開することにしました。)


状況

5人が、それぞれが別々のことをやっています。それぞれの相手先があり、そちらの言説で動いています。相手先のフォーマットが統一されておらず、用紙やPDFファイル、画像や動画、電話やテキストメッセージの時もあります。場合によっては、官庁などの場合もあり、こちらからお願いすることは、現実的に不可能です。(多様性

共同作業もあれば、異なる作業もあります。おおよそにおいて、別々のことをやっています。物理的に同じ場所にいる時もあれば、離れている時もあります(リモート)。

それぞれのタスクは、同期しておらず、別々の時間や場所で行われ、終わる時間もバラバラです(非同期)。

日常的に、毎日のように行うべきことが変化するので、大まかな予定しか立てることはできません。大きな流れだけをつかんでおいて、状況に対応していきます(変動性)。

ただし、それぞれのタスク量は、多いものではありません。毎週のタスクが10から20ぐらいで、タスクばらしによって40から60ぐらいでしょうか、タスクは少なめです(少数のタスク)。

タスクの粒度は、変化しています。タスクを実行可能な状態にする「タスクばらし」によって、細分化されていきます。自在に論理構造を行き来することになります。場合によっては、カテゴリ自体が変わってしまうこともあります(あいまいさ)。

本来であれば、暗黙的に状況や文脈を理解していることが前提にあります。しかしながら、その部分を明示的にすることによって、本末転倒になりにくくします。暗黙的な状況や文脈とタスクを明らかにする行為と、タスクを行う行為を分離できる時と、分離することによって、いくつかの問題が発生する時があります(可視化)。

タスク管理ツール(Trello, Redmine, Apple Reminder, Google Tasks,,,)を使いました。しかし、不定形のタスクの管理には、無理があって使い勝手がイマイチでした(非定型)。定型のタスクは、このようなツールをそのまま使っています。

いくつかのタスクは、それぞれの状況や文脈に埋め込められています。 タスクだけが存在しているわけではありません。タスクだけが切り離された状態だと、そのときの背景を忘れがちです。

問題(問題とフォース)

このような文脈を含めた不定形のタスクをすべて見ながら、行動するためには、どのようにすれば良いのでしょうか。

  • ふりかえりや計画づくりなどを行うことは大切です。しかし、タスクを転記することがあり、手間がかかります。転記することが整理することであれば、転記それば良いと思います。

  • 大きめの仕事や目標を、状況に埋め込まれられた「今週」「今」のワークをに結びつけるためには、現在の状況や文脈、制約を調べながら具体化していく必要があります。

  • 付箋紙やホワイトボードなど物理的なツールで ふりかえりやタスクを洗い出しを行うことは直感的でわかりやすいが、その場所から離れると参照・更新ができません。

  • もし、完全にマッチするようなタスク管理ツールがあったとしても、プラットフォーム(OS)などのアップデートによって使えなくなります。データの移行は、自分たちなりの使い勝手が実現されません。

そもそも、タスクを管理することは側面でしかなく、「成果を上げること」のために「なんとかする」「やりくりする」こと(マネジメント)することです。1

解決策

それゆえ、文芸的にタスクをマネジメントしています。ふりかえりも、計画づくりも、タスクばらし、と実行を分けずにドキュメントに記載していきます。

  1. 気軽にアクセスできるツールを選びます(環境)
  2. 思いついたことは、なんでも書いていきます(入力)
  3. 適当なタイミングで計画を立てます(計画)
  4. タスクをバラシながら実行します(実行・出力)
  5. ふりかえります(フィードバック)

気楽にアクセスできるツールを選びます

導入に手間がかかっては本末転倒です。手軽に使えて、多くの人に使われている(≒ 長くメンテナンスされそうな)ツールを選びます。

自分たちの環境にふさわしい道具を選びましょう。GoogleAppleMicrosoftフリーソフトでも、どこが作っていても かまいません。データ形式が一般的なツールを選びましょう。マインドマップ、アウトライン機能、自分たちにとって適切な道具を探してみてください。

以前は、マインドマップツールを使っていましたが、テキストファイルに比べ、多くの人に使われているわけでもなく、データフォーマットが一般的ではないので、使わなくなってしまいました2

ポイントは、手軽さです。すぐにアクセスできることが何よりも大切です。

今回は、メンバーが iPhoneiPadiCloudを使っているため、標準機能であるiCloud共有を使います。タスクのリストを入れても、容量は極々小さく、無料の範囲です。

ツールは、OS標準のメモ(Notes.app)やリマインダ、カレンダーを使うことにしました。特にノートを使いこなします。iPhoneのロック画面からも新規のメモ(Notes.app)にアクセスできるなど、すぐにアクセスできることは大切です。

思いついたことは、なんでも買いていきます GTD

あらゆる思いつきをタスクとして登録しています。Getting Things Done (GTD)メソッドは、今でも有効です。

GTDの流儀に従い、2分以内のタスクは、思いついたらすぐにやってしまいます。さくっとやっちゃいましょう。

将来の夢のようなことも、ガリガリ書いていきます。整理する時に「将来の夢」みたいなメモに移動させます。

適当なタイミングで 計画を立てます

メンバーによって違います。毎週ごとにメモを新規作成しているメンバーもいれば、月単位のメンバーもいます。私個人のタスクは、月単位のメモで、毎週ごとに章立ています。

 # 2020年6月1日の週計画

たいていは、ふりかえりのあと、計画を立てます。ふりかえりで出たことを、それ以外にやりたいことを書き出してしまいます。先週のコピペもできるんですけど、たいていは新規で作った方が、やすらぎます。

メモを書きながら、適当にタスクとして登録します。いろいろなタスクとして登録していきます。メモ(Notes.app)のショートカットキーは Shift-Command-L を押せばオッケーです3

今週前半は、疲れているはずなので、ちょっと睡眠を多めに取らなくちゃいけないんだけど、ついくだらない文章を書いてしまう。しかし、構成も書いたし、公開するか…我ながら

- [ ] 駄文を書く
    - [ ] 文芸的タスクマネジメントのススメを書いて公開する
    - [ ] 駄文のリストがある。なんでやりたくなっちゃうんだろう。

タスクばらしと実行です

タスクばらしとは、実施可能な粒度までタスクを小さくすることで、だいたい1時間弱から2時間程度のタスクにバラしています4。一日8時間でしたら8つから10ぐらいの分割します。

- [ ] 文芸的タスクマネジメントのススメを書いて公開する
    - [x] 全体の構成を書く
    - [x] 状況を書く
        - [x] 多様性
        - [x] 少数
        - [x] 状況と文脈
    - [x] 問題とフォースを書く
        - [x] タスクマネジメント 
    - [ ] 解決策を書く
        - [x] 計画について書く
        - [x] 実行について書く
        - [ ] ふりかえりについて書く
    - [ ] 結果を書く
    - [ ] 参考文献を書く
    - [ ] 全体を読み直して修正する
    - [ ] 公開する

この時、文芸的タスクマネジメントは、このタスクの中で、文章を書いてしまうことも可能なのです。テキストで作っているので、そのまま他の環境にコピペすればいいのです。

よくあるのは、基本的な構造やアイデアは、タスクのところに書いてしまい、それを参照・コピペして、本来の環境で作業することが多いです。

タスクばらしは、前日にやっておきたいところですが、夕方と夜はバタバタすることが多く、なかなかできていません。今のところ、朝の最初のタスクは、タスクばらしとしています。

ふりかえりを行います

軽く、ふりかえりを行います。フォーマットは自由です。例えば、今週は「やったこと (Y)」「わかったこと(W)」「ためしたいこと(T)」を書いてみました。

- やったこと
    - ワークショップの募集を開始した
    - 文芸的タスクマネジメントのススメを書いて公開した
- わかったこと
    - 自分がいらない文章だと思っていても、読む人にとっては役に立つかもしれないこと
    - とりあえず、公開してみること
- ためしたいこと
    - 価値について、カチカチ議論したい

この一連の流れが一つのメモの中で行われています。それ以外にも、必要なことは、このメモの中に入れていきます。

結果

文芸的タスクマネジメントの弱点は、文芸的プログラミングと同じように記述量が増えてしまいがちになることです。

また、すでにタスク管理とその実行が適切に回っていれば、その方法があっているのだと思います。特に、文脈とは切り離されたことであれば、タスク管理ツール(リマインダを含め)を使うことを奨励します。

しかしながら、文芸的タスクマネジメントは、状況や文脈に埋め込められた状態において、とても有効です。

もし、特にITや文書を常に使うような仕事であれば、この方法はオススメです。

参考になる資料

本文の脚注以外に参考にした資料です。

スクリーンショットを掲載しようとすると、ほとんど黒塗りになってしまうので割愛しました)

まとめ(オチ?)

ああ、文章を書いて、頭と体がすっきりした。 で、このような文章を衝動的に書かないために、タスクを管理する必要があるのですね(オチ?)。


  1. そもそも「管理」と「マネジメント」は違うというのが本書の大前提にあるスタンスです。日本語にすると混同してしまいがちですが、そもそもマネジメントとは「成果をあげること」が目的で、そのために「なんとかすること」「やりくりすること」の意味です。一方で、管理は手段に過ぎません。 https://kuranuki.sonicgarden.jp/2019/03/management-kanri.html

  2. 調べていませんが、編集可能なファイル形式として、テキスト形式は最も使われているんだと思っています。

  3. エディタ iA Writer なら、ショートカットキー Option - Command - L で切り替わります。自分のツールのショートカットキーを覚えておくと、何かと便利です。

  4. https://kuranuki.sonicgarden.jp/2016/07/task-break.html

付録:仮パタン(hypo-pattern)

パタンについてのワークショップの依頼があり、準備をしています。知識を共有する従来のパタン(もしくは、パターン)に対して、仮説としてのパタンを「Hypo-pattern」や「仮パタン」と呼ぶことを提案します。この仮パタンは、他の場所では有用ではなく、自分たちでプロダクトやチームを作るときなどに用いる「自分たちだけのパタン」「その場所だけのパタン」で、必然的に自分たちの状況に適合してしています。

昔に書いたパタン論文

2013年に発表した論文です。
https://dl.acm.org/doi/10.5555/2725669.2725708

発表した後、会場にいた全員が立ち上がって拍手していただきました。 Ward Cunninghamさんから"Execellent work!"と握手してくださいました。参加者の何名かの方から"This paper is important."のように評価してくださいました。今でも忘れられません。

この論文は、私一人の力ではなく、共著者を含め、多くの方々のご協力によるものです。心より感謝します。 また、昔やっていたことに興味を持っていただけるのはうれしいことです。

知識共有のためのパタンとパタンランゲージ

現在、パタンやパタンランゲージは、知らない分野の言葉を知るために有用な方法であり、ITや社会学などの多くの分野で活用されています。言語を知ることによって、その領域においての会話を助け、そのパタンの世界観による成果物を生み出すことを助けます。

このようなパタン1やパタンランゲージは、成功体験を記述し共有します。パタンは、それまでの過去の出来事をまとめていることになります。

未来のためのパタン(仮説のパタン)と自分たちのランゲージ

一方、この論文では「Pattern for future (未来へのパタン)」を紹介しています。

「未来へのパタン Pattern for future」は、状況や問題に対する仮説としての解決策であったり、解決策に対する仮説としての原因であったりします。仮説に過ぎず、検証されていないため、パタンの成立条件も満たしておらず、パタンの形式としても意味としても完成していません。

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パタンと仮パタンの関係

論文の発表後、「未来へのパタン」と、似たような名前が提唱され困っていました。よくよく考えてみると、パタンとしては未熟な状態であり、単純にパタンと呼ぶと混乱を招きます。

…(ここで数年が経過します)…

仮パタン Hypo-pattern

仮説の英語は Hypothesis です。"Hypo-"という接頭語を辞書で引くと、"below, beneath, under"が出てきます。「下」という意味のようです。つまり、「thesis (理論)」には満たない、「理論の下である2」の意味から「仮説 (hypothesis) 」となっているようです。

「仮説 Hypothesis」と同様に、この未来へのパタンは、パタンとしては形式と意味のどちらともに十分ではありません。

パタン pattern に接頭辞である hypo- をつけた「hypo-pattern」、さらには「仮パタン」「かりぱた」とするのが良いのではないでしょうか。 関連して「未熟なパタン」「みぱた」のように別名がわかりやすいのではないでしょうか。

知識共有のためのパタンと、 仮パタン(Hypo-pattern)は違う問題領域

検証されたパタン、または、そのパタンランゲージは人類の英知です。貴重な財産です。ある領域における知識を知るために有用な手段です。しかし、自分たちの個別の領域のいては近似的な解決策です。

一方、仮説のパタンである仮パタンは「自分たちのプロダクト」「自分たちの場所」のような領域だけで使われます。事例としては発表できますが、他の領域においての有効性は保証できません。そのぶん、自分たちの領域においては、より状況に寄り添った<質>の高い仮パタンとなるのです。

仮パタンこと hypo-pattern と、いわゆるパタンは、どちらも大切で相補的な関係であり、扱う問題領域が違うのです。

ただ、第四次産業革命やDXが叫ばれる領域において、確定したパタンを活用するだけではなく、仮パタンを生み出し続けることこそに価値があるのではないでしょうか。

これからの言葉を作るために

これは、おそらく『デザインパターン』のようなIT業界や社会学などで広く使われているパタンとは少し違う世界です。「パタンを集めて公開し、それを使う」のではなく、パタンを生み出し続けながら使う世界は、残念ながらあまり一般的ではないようですので、少しだけ紹介しました。

まだまだ書くべきことは多いのですし、適切な場所に投稿すべきとは思っていますが、共通認識のために仮にメモしておきます。

宣伝:ワークショップや仕事します

このような仮パタンづくりを含めた方法を多くの方に身につけ、活用して欲しいと思っています。書き足りないことも、議論します。

そのため、オンラインで開催できるように準備しています。 TwitterFacebookでのアカウントも @motohasi です。


  1. パトレットは、パタンに満たないパタンですが、知識共有を目的としているパタンに準ずる意味づけです。

  2. 認知言語学っぽい解釈は好きです。

オンライン・モブ・パターン・ライティング - ポストコロナ時代の知識共有

ポストコロナ時代1において、オンライン・コミュニケーションの知識を知り、実践する重要性が増しています。その知識をパターンとして記述し、何度も再利用できるようにします。そのため、1. オンラインコミュニケーションを通じ みんなでパターンを書くことと(オンライン・モブ・パターン・ライティング 2020年4月17日ほか継続的に実施)、2. パターンを使って、オンラインコミュニケーションの整理を行いました(2020年4月30日実施)。このことを通じて、オンラインコミュニケーションパターンと、それを生み出す方法について紹介します。

この記事は緊急事態宣言 アドベントカレンダー | Chouseisanです。

状況

  • 新型コロナウイルスの流行により、緊急事態宣言が発令され、物理的な対面するようなリアルなコミュニケーションが取れません。
  • リアルなコミュニケーションがないと、知識の伝達する機会が減少してしまいます。

問題

オンラインでパターンの書き方を学びながら、自分の持っている知識や経験をパターンとして共有したい。

フォース

  • 自分の経験や知識を自分で認知し、他の人にも伝わりやすい言葉にすることは大切でありながら、難しいです。
  • 自分の経験や知識を言葉にできたとしても、その背景や目的を考えることはマレです。
  • パターンの書き方についての書籍や論文を読んでも、自分の知識をどのように書いてくのか、学ぶことは難しいです。
  • パターンは変化していくために加筆修正していきたいが、一人か二人だけで公開していくのは時間がかかりすぎて、限界があります。

解決策

それゆえ、みんなでワイワイ、パターンを書いてみよう(オンラインでモブパターンライティング)

  1. 公共の場所 https://scrapbox.io/OCP/で、ドキュメントを編集できるようにします。
  2. みんなでワイワイやりながら、パターンを作っていきます。

なお、このパターンは、共有財産としたいのでCC BY-SA 3.0のライセンスで公開しています。

結果

  • 実践者の経験や知識をパターンとして「なぜ、その行為を行ったのか」「その結果、どうなるのか」を記述できました。
  • パターンを作るときに、どこに留意し、何を目的にするのか、などの具体的なポイントを共有できました。
  • オンライン・モブ・パターン・ライティングを試すことによって、高い質に結びついていくことが期待できました。
  • オンラインでワイワイやることによって、楽しみながら深い学びへと昇華できました。

つまり、1. オンラインコミュニケーションによって、オンラインコミュニケーションについてのパターンを書く、ことと、2. オンラインコミュニケーションのパターンを使って、オンラインコミュニケーションを行う2、の二つの目的を同時に満たすことができました。

留意点

  • このオンライン・コミュニケーション・パターンは発展途上です。モブパターンライティングの後も、皆さんによってパターンが追加・改善されています。ぜひ、一緒にやりましょう(ご連絡くだされば、編集権限を付与します)。
  • このパターンライティングは、パターンのごく一部しか紹介していません。これからもいくつかのワークショップを開催していきます。 Stay Tuned.

オンラインコミュニケーションパターン

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A Language of Online Communication

オンラインコミュニケーションを円滑に行うための知恵が満載です。

謝辞

多くの方に支えられて、OCPは運営されています。

  • OCPで書いてくださった方、
  • オンライン上のコミュニティであるホワイエのパターンの部屋などで議論してくださった方、
  • これまでご指導くださった方

どうもありがとうございました。そして、最高に楽しかったです。

参考

ここで紹介したパターンやダイヤグラム、ロゴなどは Online Communication Patterns https://scrapbox.io/OCP/ で作成され、 CC BY-SA 3.0で継承されています。


  1. 新型コロナウイルスが流行したあとの意味で、ポストコロナ時代と書きました。ウィズコロナ時代 (with coronavirus コロナウイルスと共に)やアフターコロナ時代のような用語もありますが、コロナウイルスの完全な終息は不明なため、ここでは両方を含む意味として記述しました。

  2. 2020年4月17日は暗黙的に使ったため、2020年4月30日は参加者に解説しました。

子どもが情報の生産者になるためにノートPCが必要か?

子どもが情報の生産者になるためにノートPCが必要か?

世界で唯一、日本の子どものパソコン使用率が低下している | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイトによると

日本の生徒もスマホの使用率は高く、それで十分と考えているようだ。SNSで仲間と交信し、イベント情報等をチェックするだけならスマホで事足りる。だが、情報を独自に加工し、創作物を生み出すとなるとパソコンが必須となる。これからの時代、情報の消費者に甘んじるのではなく、情報の生産者(創作者)になるべきだ。

「情報の生産者(創作者)になるべき」との意見に、基本的に賛成である。正確には、両方は、分割が不可能であり、消費者であり生産者でもある状態が望ましいと考えているが、この議論は別の機会としたい。

ここでは、こどもたちが情報を生産するふさわしい(生産性が高い)ツールは、ノートPCは必須ではない。むしろ、タブレットPC(iPad)は高い生産性を持つツールである。

なお、ここでは、iPad 2018に極めて廉価な2〜3千円ぐらいの外部キーボードと、百均で買うペンシルを用意している事例を紹介する。

情報生産ツールとしてのタブレットPC

子どもたちが、どのようにタブレットPC(iPad)で情報を生産しているのか事例を紹介する。

子どもたちは、オフィス製品を用いて、文書作成・表計算・プレゼンテーションを行なっている。

9.7インチであるiPad 2018は、Microsoft Officeが、限定的な機能でありながらも無料で使える。ただし、Microsoft Officeは、カーソルキーが動かない、異常終了するなど、動作が不安定なことが多い。

iPadは、Apple社やGoogle社のオフィス製品が無料で使える。最近は、こちらを利用することが多いようだ。

子どもたちは、これらの機能を使い、何十ページのレポートや資料を作成している。

子どもたちは、手書きで絵を描いている。

標準のメモアプリや手書きアプリ(GoodNotes 5)など、便利なツールが多い。廉価なペンシルを用いて、手書きの絵や図を書いているようだ。

子どもたちの文字入力は、音声入力がメインである。

数十ページにわたるレポートもひたすら音声入力であった(夜まで音声がウルサイんだけどね)。macOS上も、音声入力は可能である。しかし、iPadはソフトウェア・キーボードのマイクボタンを押すだけで音声入力が可能になり手軽である。

子どもたちは、iPadでプログラミングを行なっている。

自由研究では、Scratch でプログラムを書き、シミュレーションを行った。直感的に結果がわかり、繰り返しながらプログラミングしていた。

iPad上では、プログラミングできる環境は限られていることが多いし、画面の大きさも限られている。iPad上のプログラミングについても、検索すればよく出てくる。人工知能やデータ処理として主要なプログラム言語であるPython言語やR言語も扱えるようだ。

このようにiPadもプログラミングは、選択肢は少ないが、十分に可能である。

子どもたちは、iPadで写真(静止画)や動画を撮影して研究している。

子どもは、iPadのカメラで、電車など動きのある被写体が斜めになることから、被写体の相対速度を推定する研究を行った。さらに、iPadのスローモーションでの撮影機能を使い、自由落下(放物線)の学習やコマまわしの研究を進めた。

このように手軽に撮影できることによって、

iPadでは、手軽に撮影できることにメリットがある。 - 子どもたちは、加速度センサーを使っている。 - 自由研究では、加速度センサーを使い、空手の習熟度別の突きの強さを計測した。 - それ以外にも、位置情報機能を用いた境界の研究(結局、平和学の研究になったため、位置情報のデータは使われなかった)となった。

さらに、日常生活においてもコミュニケーションや主体的な学習を実現するために、必要な環境となっている。 どれもアプリをインストールするだけで、手軽に使えることに優位性がある。

上記のことは、ノートPC(MacBook)で同じことを実現するのは困難である。動画の撮影も不自由だし、手にして加速度を計測することも困難である。

つまり、タブレットPC(iPad)は、情報生産ツールとして十分であると言えよう。

情報生産ツールを用いる機会の拡大について

いかに優れた情報生産ツールがあったとしても、それを用いることが少なければ、価値はない。タブレットPC(iPad)を用いる機会(時間や価値を生み出す時間)が増えるかについて紹介する。

  • ノートPCに比べて、子どもたちが扱いやすいのはiPadである。
    • ヒンジもないため壊れる箇所も少ない。また、ケースも豊富であり、頑丈なを選択すれば、落下に対しても強い。
  • 姿勢よく使うことが簡単なのはiPadである。
    • キーボード入力して文書作成をする時に、キーボードをタイプし、机の高さに画面があると、姿勢が悪くなる。ノートPCもタブレットPCもどちらも、目の高さの高さに置くことになる。その際、タブレットPCは、箱や棚の上などに置く場所を容易に見つけられる。そのため、姿勢良く使えるのは、タブレットPCである。
  • 文書作成時の画面の縦の長さは、iPadが長い。
    • 文書を作成する時、画面が高いと「縦長の文書」に近く、ページの見通しがよい。MacBook Pro 13inchの画面の高さは17.9cm、iPad 2018は19.8cmとなる。縦に使うiPadの方が、10%ほど長いのだ。これを知ってから、文書作成をするときは、MacBook Proをしまって、iPadを取り出すようになった。
  • 手軽に持ち運べる。
    • MacBook Pro 13inchは1,370グラムであり、iPad 2018は478グラムとなっている。おおよそ3分の一の重さである。ケースによっては、雑に扱えることもあり、軽くて圧倒的に手軽に運べる。
  • 値段が圧倒的に安い。
    • MacBook Proは標準構成で19万8千円、iPadは3万7千円からとなっている。5分の一以下の値段で買えることがわかる。一人にMacBook Proを買うのであれば、5人の子どもに一台ずつ買えることになる。

このようにノートPCより、タブレットPCの方が、用いる機会が多いことがわかる。

Windows機を使わない理由

自宅にはWindows機(デスクトップとタブレット型)は存在していた。しかしながら、アプリのインストールの失敗や、セキュリティパッチ適用の失敗が続き、困っていた(半日かけて調査し、レジストリ変更で回避した)。ある子どもは、作業中に勝手に再起動して泣いていた(設定変更が必要だった)。このように動作が不安定で、不具合が多く、ほとんど使われていない。

iPadMicrosoft Office製品もカーソルが動かなくなり、異常終了する。結局、子どもたちは、Microsoft製品に触らなくなった。Microsoftは、安心して使える製品を出してほしい、親として切実な願いである。

結論

子どもとして情報生産ツールとして、iPadの生産性が高く、有用であることを示した。つまり、日本においてノートPCの使用率が下がったとしても、生産性の観点において、なんら問題はない。

むろん、特定の使い方やアプリ、環境が明らかであるならば、それに合ったMacBookなりWindowsなりを用意すればよいだろう。

つまり、情報の生産者になるためにノートPCである必要はない、と言えよう。

関連情報

なお、父親である私自身のメイン環境はiPadであり、これらの記事は、すべてiPadを使って”生産”した。

; どうでもよいネタだと思いながら、なんとなくキーボードが走ってしまった。せっかくなので公開してみる。

「悟り」とその先の世界 - 作った筏(いかだ)が必要なくなる話

Title: 「悟り」とその先の世界
Date: 2019年12月7日 Created, 2020年1月23日 Published

(要約)

この友人たちへの手紙は、何も表現していない。特に新しい主張もない。 何も主張していないからこそ、日々の生活を営める。

(はじめに)

知働化研究会は、次世代のITや「知」について語る研究会である。2019年12月1日の研究会で、このようなやりとりがあった(ような気がしている)。

  1. Aさん:(原稿のリストを作っているので)何を書きますか?
  2. Bさん:書くテーマは決まっていないので、ブランクをカッコで囲ってください。()
  3. Aさん:悟ると書くこと決まるのかな。
  4. 私:いや、Bさんが悟っているから決まらないのです。むしろ筏(いかだ)を手放す必要があるのでは?

このやりとりが面白かったので、この筏(いかだ)について書いておく。

(悟りは苦しみと共に生産を停止する)

; 生きていくことは、大雨と激流の中を歩んでいるようなものだ。その苦しみを克服する筏(いかだ)とは。

悟りとは

釈尊は、四つの真理として四諦を説いた。四諦とは、1) 生きることはすべてが苦しみであり、2) その苦しみは煩悩が生み出し、3) 原因である煩悩を滅すれば苦しみはなくなること、4) その苦しみを滅する方法(八正道)、のことである。

悟りを開くための方法のひとつは、煩悩が生み出される過程を観察し、とらわれなくなる(八正道の正見)。煩悩を滅することによって、苦しみから解放されるのだ。

マインドフルネスやヴィッパサナー瞑想も、これの一部である。

認知と「悟り」

認知(にんち)とは、心理学などで、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと(Wikipedia) である。

人によって、見ているものに対する意味付けは違う。たとえば、目の前のリンゴを「見た」とき、赤くて丸い映像を、リンゴだと認知している。しかし、リンゴではないかもしれない1。そこで、コミュニケーションを通じて、それは「リンゴである」と意味付けすると生活を営みやすいから、その認知を共有している(と認知している)のである。

煩悩による苦しみが生まれるのも、判断したり解釈する過程である認知による。この認知を観察することによって、苦しみそのものを滅している。

この苦しみを滅した状態を「悟り(さとり)」と呼ぶ。

「悟り」と「空(くう)」

  • ある瞑想では、物事を見たことなど認知そのものを観察している。
  • 「悟り(さとり・名詞)」とは、瞑想し、すべての表象を捨て去り、苦しみが滅せられた状態を示している。
  • 「悟る(さとる・動詞)」は、「悟り」に至る認知の非連続な変化を示している(参照:連続体仮説)。
  • 「空(くう)」とは、すべての表象を捨て去った自分自身を含めた対象を示している。「空」は、あらゆることが含まれるが故に何も表現していない2

「空(くう)」の表現

抽象化とは、関心のある表象以外を捨てること、捨象(しゃしょう)することである。

つまり、「空(くう)」とは、もっとも抽象化した状態である。ただし、「空(くう)」は、牛小屋の中に牛がいない状態を示していることからである。牛小屋のような器や入れ物は表現される。

よって「空」は、あらゆるすべての知覚された現象を包含している認知の空集合(くうしゅうごう)と表現できるだろう。

なお、コンピュータのプログラミング言語 LISP では、空集合は空のリスト()と表現される(評価した戻り値は、偽 nil を返す)。つまり、Bさんの()は、 「空(くう)」を表そうとしていると理解した。

悟りと生産の停止

悟りに向かうときは、認知や判断を観察し停止させるに伴い、関心や問題意識をも停止してしまう。さらに、言葉や感情は抽象化を含む認知の行為の結果であるため、悟りの状態になっては言葉や感情も消失する。あらゆるものが空(くう)であることを確認するのみである。

つまり、言葉や感情を滅した悟りの状態において、生産や再生産が停止してしまう。いわゆる創造する行為がなくなっている。悟った状態では、原理的に執筆や対話などの創造ができない。

(悟った先の世界)

; 筏(いかだ)で激流を乗り切ったあと、すこやかに過ごし、新しい道を進むために、筏を手放そう。

悟りを手放す

何かを生み出すためには、「悟り」から脱する必要がある。釈尊は、教え、特に悟りを意味する「筏(いかだ)」比喩を用いて説明した。『中村 元(著)ブッダのことば-スッタニパータ (岩波文庫) 』より

「わが筏はすでに組まれて、よくつくられていたが、激流を克服して、すでに渡りおわり、彼岸に到着している。もはや筏の必要はない。神よ、もしも雨を降らそうと望むなら、雨を降らせよ。」

教えや悟りはよくできているが、煩悩の激流を克服しているのであれば、筏(教えや悟り)も不要であると述べている。さらに雨を降らせよ、と、煩悩の激流に対して こわがることなく、立ち向かっていく心構えも表されている。

煩悩を滅し、苦しみを滅し、悟ったあとは、その悟りにも執着せずに手放しなさい、 と説いているのである。

認知を再構築し、物語っていく

悟りや、それに至る瞑想は、自分の内面である認知を観察し、苦しみを生む煩悩を壊す、内面への働きかけとも言えよう。内面にある煩悩を滅した後、外面を作り、どのように過ごすかについても述べられている。

中村 元(著)ブッダのことば-スッタニパータ (岩波文庫) 』の慈しみより一部を引用する:

究極の理想に通じた人が、この平安の境地に達してなすべきことは、次のとおりである。能力あり、直く、正しく、ことばやさしく、柔和で、思い上ることのない者であらねばならぬ。

他の識者の非難を受けるような下劣な行いを、決してしてはならない。一切の生きとし生けるものは、幸福であれ、安穏であれ、安楽であれ。

また全世界に対して無量の慈しみの意を起すべし。 上に、下に、また横に、障害なく怨みなく敵意なき(慈しみを行うべし)。

立ちつつも、歩みつつも、坐しつつも、臥しつつも、眠らないでいる限りは、この(慈しみの)心づかいをしっかりとたもて。 この世では、この状態を崇高な境地と呼ぶ。

ここでは、慈しみの心を持ち、一切のいきとし生けるものの幸福を願う形で、認知を再構築し、物語っていくことが説かれている。

(おわりに)

「悟り」を深めつつ、自分の認知を見つめ直し、幸せに物語っていこう。そして、「悟り(=いかだ)」で濁流をのりこえ、その濁流を思い返しながら、自分の物語を語ろう。それは、とても楽しい宴になるだろう。

とりあえず、Bさんに、真の戻り値 t を返した。この世で輪廻 (Read-Eval-Print Loop) を続けましょう。

(おことわり)

この内容は、小学生に説明し、一緒に学習していくことを想定している。正確さより、わかりやすさを尊重し、必要以上に簡潔な表現になっている。ご了承ください。

紹介した内容(仏教、数学、認知科学、ITなど)は、歴史を通して膨大なテキストがあり、綿密に議論されている。正確な内容については、それらのテキストを直接参照してほしい。3


  1. ‪『ヨシタケシンスケ の りんごかもしれない』は、楽しい絵本だよ。

  2. 「空(くう)」については、北伝、特に龍樹によって体系化されている。

  3. 仏教については現代語訳も出ている『スッタニパータ』や『ダンマパダ』や、道元正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』が、明確でわかりやすかった。

「くゎんくゎん」は、食べ物が乾いて固まっている状態(東京の方言か)

東京出身のものです。ふと「くゎんくゎん」という言葉を思い出しました。

「くゎんくゎん」(くゎん、くゎんと区切り、発音は「く」が強く「わ」が弱い)は、主にお米粒やお餅、汁気のある食べ物が乾燥して固まっている状態を示しています。くゎんくゎんの状態から正常の状態に戻すためには、爪やヘラでパリパリと剥がしたり、水につけて柔らかくする必要があります。

たとえば、「口の周りがくゎんくゎんになっているよ。」とか「食べ終わった後のお茶碗がくゎんくゎんになるので、水につけておいてね」のように使います。

私の母も「おひつ(炊飯器)を水につけていなかったので(ご飯が)くゎんくゎんになってた」と使っていました(採取日:2019年12月28日)。

似たような言葉として「ガビガビになる」「パリパリになる」がありますが、もっと食べ物の印象が強いです。

検索したところ、口の周りしか用例が見当たらなかったので、メモとして残しておきます。