主としてビジネスの場面において、情報オープンにするか、それとも、オープンにしないかの議論があった。ビジネスの情報を twitterやfacebookなどのSNSで、どのような情報をオープンにするのかを常に悩む。
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状況と問題
攻殻機動隊におけるStand Alone Complexとは、「オリジナルの不在が、オリジナルなきコピーを生み出す現象」とされている。
全ての情報は、共有し並列化した段階で単一性を喪失し、動機なき他者の無意識に、あるいは、動機ある他者の意思に内包化される。
いったん情報を公開すると簡単にコピーされ、オリジナルが喪失される(不在になる)ことも考えられる。たとえば、ある情報を見て、その引用を明示せずに、公開するような場面だ。
また偶然的にアイデアは同時に生まれることもある。たとえば、今は、誰でも持っている当たり前の「電話」の発明は、グラハム・ベルとイライシャ・グレイによって同日に電話の特許が成立していた。ほぼ二時間の差でグラハム・ベルが特許を取得している(Wikipedia 「電話」より)
1876年2月14日午前11時頃、弁護士のG・G・ハバードがアレクサンダー・グラハム・ベルの特許明細書を提出、同日午後1時頃にはイライシャ・グレイが予告記載書を提出した。米国特許法の先発明主義(出願申請の日付ではなく発明成立の日付が早いほうに特許が与えられる)により、1876年3月7日に米国特許174465号としてグラハム・ベルが取得した。
さらに、オリジナルをとれなかったとしても拡散するフォロワーとして、オリジナルを消し去ることも可能である。どちらにせよ、現在の、簡単にコピーできてしまう(共有し並列化した段階)のポイントについて考える必要があろう。
問題
情報をどのようにオープンするのかの判断は難しい。単に公開するだけではコピーされてしまうだろうし、公開しないとその情報は意味を持たない。
解決策(案)
そこで、そのふたつについてのTOCのクラウド(対立解消図)を書いてみた。
簡単にコピーができるものであればあるほど、単純な情報公開は危険な道であろう。コピーができないような状況を作り出す、という戦略が成り立つ。具体的にブレークダウンすると:
- 場の提供や場の構築によって徹底的な情報格差を作り出す。たとえば、コミュニティや仲間などによる場で盛り上げながら情報を作り出していく。その人たちから出て行く情報は、コミュニティ(=自分の分身)である。
- 情報を公開せずシェアを確保しないニッチなビジネスを選択する。ビジネスオーシャンを目指す。価格競争にならないニッチなビジネスを選択する。いわゆるブルーオーシャン戦略と言われるもの。
- 内容(コンテンツ)をオープンにせず、その概略だけをオープンにする。たとえば、マーケティング資料のみをオープンにする。
- ビジネスとして利潤を生まない価値のないものや、フリーミアム戦略に基づいた情報のみを公開する。
- 素早くビジネスや論文、特許にする。
逆に、強者の戦略としては
などが思いつく。
例
回文ワークショップや折り紙ワークショップは価値は生まないので公開に躊躇はしないが、逆にビジネスに近づけるには距離がありすぎる。逆に、このようなアウトプットからビジネスの企画を作ることが重要である。
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現在は、公開した瞬間、あらゆる情報はコピーされていく。そのマップだけでも検討したかった。友人や皆様からの知恵によって、この記事のような視点を得られている。特に場の話をコミュニティと書けたのも友人のおかげだ。感謝したい。ほかにも有用な視点があると思うので、試行錯誤しながら皆様と一緒に考えてみたい。
追記:3月18日に公開していたクラウド(対立解消図)をパタン形式にし、文章を肉付けした(2013年4月29日)。