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あふれる矛盾する情報から判断する7つのステップ

あふれる矛盾する情報から判断する7つのステップ

先日、インフルエンザのワクチン接種について、前向きな記事と、否定的な記事を同時に見たGoogleで「インフルエンザワクチン」と検索してみると、百万件を超えるヒットがある。ニュースやブログ記事などメディア情報にあふれ、その情報が一貫していないことが多い。そのような多様性の中で、自分にふさわしい判断や選択を下すことは困難だ。そこで、身近なインフルエンザワクチンを接種するかどうかを題材に、自分にとって適切な判断を導く手順をまとめてみた。

  1. 5W1Hを整理してみよう
  2. いつどのように判断するのか考えてみよう
  3. 問いを立てて、解決策を探ってみよう
    • 問いを立ててみよう
    • 大きな問いを立て、解決策をさぐってみよう
  4. 複数の情報ソースを確認し、要点を理解しよう
    • できる範囲で当事者や原典も確認しよう
    • 周りの人に聞いてみよう
  5. 誰がどのように得するのか意図を考えよう
  6. 安全度合いを考えて試してみよう
  7. 好きか嫌いかを感じてみよう

(2013年11月28日 「大きな問いを立て、解決策をさぐってみよう」を追記しました。)

1. 5W1Hを整理してみよう

案外、何が問題かを見落としていることがあるので、関心のあることについて簡単に整理しよう。どのようなことを(WHAT)、なぜ(WHY)、いつ(WHEN)、どこで(WHERE)、だれが(WHO)/だれに(WHOM)、どのように(HOW)判断するのか:

  • WHAT: インフルエンザワクチンを接種するかどうか
  • WHY: なぜなら、インフルエンザワクチンが有用だと思っていたが、疑わしい報告や事象があるので
  • WHEN: 本年度は接種してしまったので、来年度のワクチン接種時期までに
  • WHERE: 自分自身と家族や職場で
  • WHO/WHOM: 自分自身が(自分自身と自分の周りの人のために)
  • HOW: ニュースやウェブページなどの情報を調べ、自ら妥当な範囲で試すことで、判断する。

5W1Hは、事前に決めたことにこだわらず、適宜変更していくことがポイントだ。

2. いつどのように判断するのか考えてみよう

いつ(WHEN)判断するのが適切なのであろうか。今できる判断は何だろうか。

その情報を判断するとき、情報が少なければ少ないほど、不適切な判断をしてしまう。情報を増やし、その情報を取捨選択することによって、その判断は適切で容易になる。判断する情報を増やすためには二つの方法がある:試すことと時間の経過を待つことだ。

当事者になって試すと、思わぬ情報を得られる。試したら案外行ける(けど、崖っぷちにいるのかわからないけどね)ということもあるが、試すことが難しいこともあるし、判断をするためにかけた時間などのコストやリスクは高くなる。

今後インフルエンザワクチンや予防法も改良されるだろうし、それについての情報もアップデートされ、洗練されてくるだろう。今、判断すべきか、それとも、あとで判断しても大丈夫なのか判断する条件を考えよう。たとえば、「本年度はインフルエンザワクチンを接種したので、来年の10月にワクチン接種の可否を判断しよう、それまでは情報の収集に専念しよう」と決めることで、いつどのように判断するかがわかる。

そのように判断を保留もしくは延期することによって、情報が洗練され、適切な判断を行いやすくなる。今、判断しないこともひとつの選択肢だ。永遠に判断しないこと(関係ないと判断すること)という選択も忘れてはならない。

3. 問いを立てて、解決策を探ってみよう

問いを立ててみよう

事前に仮説を立てておいて検証する、という考え方もあるが、あまりうまく働かない。仮説に基づいた情報を集め、それ以外の情報を見にくくなるためだ。たとえば、「インフルエンザワクチンが有用だから接種しよう」と仮説を立てると、その仮説を実証するような情報のみを集めてバイアスがかかってしまいがちだ(情報が矛盾している前提に立っているので、「三度目の正直」と「二度あることは三度ある」のように自分が好きな意見を集めることができしまう。)

そこで問いを立てて、判断を保留するのが、妥当なことが多い。本質的には同じことなのだけれど、バイアスを排除するために「インフルエンザワクチン接種するかどうか」レベルにしておく。

大きな問いを立て、解決策をさぐってみよう

インフルエンザワクチンを接種するか、接種しないかに着目している。しかし接種するかどうかが決まれば良いのであろうか。もう少し深く考えてみよう。

たとえば、ワクチン接種にとらわれず「インフルエンザに罹らないためにはどのようにすればよいか」という問いを立てれば、「SkypeやHangoutsなどの電子会議システムを利用しリモートで仕事する」などの選択肢によって、感染の機会を減らすことができる。それ以外にも、手洗いうがいの実施などに気づくことができる。

さらに大きな問いである「健康的な生活を送るためにはどうすればよいのか」に対しては、「人ごみに出ないために自転車やランニングで移動(通勤・通学)する」と、感染の機会を減らすだけでなく、健康的な体を得られるだろう。

このように大きな問いに着目した方法を考えてみると実現可能な大胆な解決策が見つかるかもしれない。少なくとも道に迷わないですむ

4. 複数の情報ソースを確認し、要点を理解しよう

インフルエンザのワクチン接種について、ここに二つのレポートがある。

  1. ヘルシーリポート:インフルエンザ ワクチン接種が最も効果的- 毎日jp(毎日新聞)
  2. インフルエンザワクチンは打たないで! 【常識はウソだらけ】 - NAVER まとめ

(インフルエンザワクチンに前向きな内容を1. 、否定的な内容を2.として表示する)

朝日新聞の「ワクチン接種が最も効果的」という記事と、NAVERまとめの「インフルエンザワクチンは打たないで!」という記事だ。まさしく正反対の内容である。その中の具体的な記事の例として、インフルエンザワクチンの集団感染についても、このように意見が異なっている。

  1. かつては日本でも学校で集団接種が行われていたが、鶏卵アレルギーの問題のため現在は任意 [Wikipedia インフルエンザ]

  2. インフルエンザ・ワクチンで流行は阻止できないことがわかり、厚生省は1994年に集団接種をやめました。流行を阻止できないということは、すなわち、他人にうつしてしまうことは避けられないということです。 [NAVER まとめ(前掲)]

インフルエンザワクチンを接種するのが良いのか、接種しないのが良いのか、これでは全くわからないが、片方だけの情報だけでは偏った決定になってしまう。国や地域によっても事情は異なるかもしれない。複数の情報ソースを確認してみよう(ただし、調べすぎに注意)。

逆に、情報があふれ、その情報が一貫していないことが多いことが前提の中で、逆に同じような情報が流れているときは、何らかの操作や圧力があるかどうか調べてみることも考えてみよう。パラダイムが同じで、同じような結論が導きだされていることも多々あるけれど、面白い情報が見つかるかもしれない。

できる範囲で当事者や原典も確認しよう

それぞれの発言の妥当性を確認するため、当事者に当たり、原典を調べると 思わぬ事実や観点が見つかったりする。当事者に確認することによって、メディアでは公開されていない情報が出てくることも多い。しかし、原典が論文だとすると、多少のお金がかかり、読むためには訓練が必要だ。特に、複数の論文で書かれていることが、矛盾する結果を導く場合になってしまうこともあるので、読んで理解しただけでは堂々巡りになることもある。

周りの人に聞いてみよう

当事者や原典への確認は大変なので、周りにいる人に聞いてみると情報が得られる。統計的にいろいろな意見を分析してみるのもひとつの手だけれど、まずはTwitterSNSを見たり、周りの人に聞いてみよう。

  1. 友達の会社では、全社員への接種を推進している。
  2. 去年度と今年のワクチン接種数日後、家族のうち二人が39度を超える熱を出している。接種しない人のみが罹患しなかったものの、ワクチン接種した家族はすべてインフルエンザに罹患した。近所に住んでいる皆勤賞を狙っている小学生の親子は、インフルエンザワクチンを接種していない。

"統計学的"に十分な情報ではないことを理解した上で、このような情報は参考になる。

5. 誰がどのように得するのか意図を考えよう

誰がどのように得するのかを確認(うがった見方を)すると、このようになる。

  1. インフルエンザワクチンの接種が普及することによって、薬品会社や病院が儲かる。
  2. 大胆な意見を言うことによって、本が売れる。著者や出版社が儲かる。

双方の共通する目的を確認しておこう。おそらく共通の目的は、読者(国民)の健康を実現することだろう。

その妥当性を確認するために「誰が得をするのか」を確認しておくと、論点がわかりやすい。ここで「儲けたいからやっているんでしょ?」とか「儲けることが良くない」のような気持ちを持ったならば、その選択肢を削除すれば良い。ただし、人間や組織が生きていくためには、適切な収入を得ることの必要性など相手の文脈を理解する努力も忘れてはならない。

6. 安全度合いを考えて試してみよう

このインフルエンザワクチンを接種するかどうかは、身近な問題なので試すことができる。局所的な解かもしれないが、少なくとも事実は確認できる。

薬の専門家や認可団体は、慎重に注意深く統計処理を行い、ある一定の割合の人に効果があるかどうかを確認しているが、ある一定の割合で薬が効かない人もいる、ということだ。周りには、普通の社会生活や学校生活を送っているにも関わらず、ワクチンを接種したことがなく、インフルエンザにかからない人が、全く別の友達関係の中で、一定数いる。顔色や生活を見ている限り、一年を通じて、とても健康そうに見える。

試せるかどうか安全度合いを考えてみよう

むろんリスクが高く試すことができないこともある。たとえば、原子力発電所の事故によって発生した低線量被爆の健康への影響などは科学的には証明されているとはいいがたいが、簡単に試すことはできない(人生と世代をかけた実験になってしまうだろう、そのような時は工学的な視点に立ち、より安全な選択肢を着目するのが妥当であろう)。でも、インフルエンザワクチンを接種するかどうかのリスクを考えてみると…

  1. インフルエンザワクチンが有用かどうかわからないが、接種して損がないなら、接種しておこう。
  2. ワクチンを接種しても、インフルエンザに罹患したら会社や学校を休まなければならない。試しに接種をやめておこう。

どちらもリスクの範疇だ。試してみても良いかもしれない。そんなステップを経て、試しにインフルエンザワクチンを接種せずに様子をみようかと思っている。

7. 好きか嫌いかを感じてみよう

結局のところ、あらゆる情報を調べても調べきれず、試しても試しきれない。究極のところ、好きか嫌いかを感じてみよう。他人に押し付けると、何かとしんどそうだけれど。

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