発散系と収束系としての555 (Triple Nickels)、ふりかえりとしての555。もしくは55555。
状況
とある研究会で、次のイベントの開催場所や時期について意見がまとまらない状況であった。
- 常に話をしている人と、話をしない人の格差が大きかった。
- 全体の雰囲気は、どちらかというと停滞している暗い雰囲気であった。
- 前回、開催されたイベントのふりかえりをしていなかった。
制約事項
- KPTをしても、大きな声の人に影響されやすい。
- ファシリテータが、小さい声は小さいものとして扱うことは悪いことではないかもしれない。しかし、話すことが得意ではない人の意見を聞きたい。
解決策:手順
『アジャイルレトロスペクティブス』で紹介している555 (Triple Nickels)をやりたかったのだが、うろ覚えである。名前さえ覚えていなかったので「ファイブ・ニッケル」と紹介してしまった。55555ではないか。ペンタ・ニッケルではないか。やり方もうろ覚えだった。もしかすると違うことを断った上で、適当な感じですすめた。
- ひとり一枚A5サイズの紙に、自分の意見を書く(3分)。今回は無記名とした。
- 隣の人にまわして、意見に対する意見を書く(1回1分)。
- また隣の人にまわす、ぐるぐるとまわす。
- 一周したら、その意見を集約する。
つまり、ひとりが話し続けるのではなくて、紙と対面するのである。
結果
大切なのは、お題である。当初はふりかえりのために行おうとしたが、ファシリテータの意向もあり「ふりかえりつつ次回のイベントは何か」となった。一人一枚の紙を用いて、ぐるぐるまわす間に、「いいねー」という声を参加者から聞く。
参加人数は9人。3分間で自分の意見を記入して、意見に対する意見を1分で書いたら隣の人にまわす。全体で、10分強のワークショップであった。
一人一人の意見は、全員でシェアされる格好になった。最後に、だいたいの傾向をグルーピングした。グルーピングは、利用者の視点からみて、時間的な経過をベースに行った。参加準備から実際に参加しているときに向かってである。
参加者全員の意見が出て、コンセプトとなるキーワードを見つけることができた。開催場所の候補も必然的に順番がつけられることになった。
その後は、それだけではなく、もっと大きな学びがあったのだが、大人の理由(汗)により割愛する。
評価:555(か、それにインスパイアされたもの)
- KPT (Keep Problem Try)に比べて、声の大きな人だけでなく、参加者全員の意見を知ることができること
- 参加者全員の意見に対する、参加者全員の意見を知ることができること。意識共有ができること。(時間制限によっては、サンプリングして5人の意見を知ることでもよい)
- ふりかえり手法ではあるが、ブレインストーミングなど発散系のツールとしても、意思決定などの収束系のツールとしても十分使えること。
- 結果に至る見つけるためのプロセスが透明度が高い。
- 短時間で効果的であること。
ただ、逆に「声が大きな人」の意見や思いが薄まってしまったため、そのあたりは想定通りとはいえ、検討が必要である。
参考文献
参考にしたかったけど、そのとき参考にできなかった文献『アジャイルレトロスペクティブズ』。これを記入しているときは、本棚から見つけることができていない。書籍を見つけ次第「本当の」555の違いが大きければ、紹介もしくは試してみたいと思う。
追記:
『アジャイルレトロスペクティブス』が見つかったので、555 (Triple Nickels)の概要を引用する。
5人程度の小さなグループを作る。各人が5分間ブレインストーミングをしてアイデアを書き出す。5分経過したらアイデアを書いた紙を右隣の人に渡す。紙を渡された人は5分間かけて、書かれたアイデアに関連した新しいアイデアを書き加える。元の持ち主に戻るまで紙を回し続ける。
5人ずつのグループに分けていないことが、実施したこととの違いであった。5人ずつ分けることによって、さらに丁寧に考えることができそうだ。しかし、全員が他の人の意見を広く知る、という意味で、今回試した方法も有用だったと考えている。
追記:
トリプル・ニッケルスのワークショップに必要な時間を記入・修正しました。