ari's world

あるかどうかわからないけど、あるみたい。ありがとう。

河の流れのように「変える」と「変わる」についてのメモ

気になっていたので、文字にして整理してみた。


何でも変わり続けているじゃないか

「世界や社会を変える」という話しを聞く。 先進的なベンチャーを立ち上げ、社会にインパクトのあるサービスを提供する。 かっこいいし応援したい。 むろん、そのような活動に関わっていきたい。

ただ、ほんのちょっとだけ気になることがある。 「変える」って聞くけど「あらゆるものは変わり続けているのではないか」ということだ。

「社会が変わらない」と聞いても、いろいろなところで、いろいろなものが変わり続けている。 たとえば、ニュースサイトを見れば、大雨が降るし、空港襲撃されているらしい。 そもそも変わらなかったら、ニュースも必要ないだろう。 小さなことだけど、このブログの記事のこの文章を読むということは、極めて小さいながらも何らかの変化がある。

変わらないと感じやすいこと

「変わらない」という話しは、自分の抱えている問題は変わらないし、向上していないしんどさを伝えたい、ということかもしれない。 つまりは、ある構造や規範が安定している(変わりにくい)ということだろう。

たしかに組織などの構造は、安定して動いているときは変化しにくい傾向がある。 変えようとしても、なかなか変えにくい。 ある組織や構造や規範が安定しているためには、いくつかの条件がある。

  • その構造を維持するためのエネルギーが必要である、ということ。
  • その構造があることによって、部分的であれ利益やメリットがあるため、その構造を維持すること。

つまり、変わらないのではなく、変わらないように変え続けている、ということだ。 たとえば、私という個人は、エネルギーを消費しながら、変わらずに存在し続けているように見えているだけにすぎない。

もう一つの変わりにくいことは、万有引力や作用反作用のような物理法則や、「あらゆるものは変わる」という法則だ。

複雑か単純な事象か、という議論がある。 ただし、同じ事象でも、複雑でも単純でも捉えることができ、それは物事の範囲や捉え方のような気がする。

変化し続けているのを調整する

いろいろなものが、変わり続けている以上、どのように変えるのか。

「良いアイデアだ」と思えば、広めようとしなくても、自ら主体的にやっていくようなものだと感じる。 知って納得することであれば大切だが、それを熱狂的になって盲目になり、押しつけられることであれば、冷静になるまで寝かせておきたい(同様に「開発」とか「改革」という言葉があるけれど、背景に暴力的な印象を感じてしまい、すこし距離を置きたいと感じてしまう(あくまで個人の意見です))。 なぜならば、ある組織にとっていいことが、他の組織にとっていいとは限らないだけでなく、手段が目的になってしまうと有害であることさえあるからだ。 「良いアイデアだ」であれば、冷静に使えばいいんじゃないか、と思う。

何らかの目的や意図を持ち、そのゴールを目指して変える、というイメージは、感覚的にそぐわない。 たとえば、川を流れている水は、海に行くか、川に行くか、川の石を運ぶのか、様々な目的があるにも関わらず、海に向かっていくという目的を持つ、ということは、潜在的に持っている他の目的や意図が隠れてしまう気がして気持ち悪いと感じることがある。

今のところ、しっくりくる言葉は、建築家アレグザンダーの「調整 (Configuration)」だ。 変化している流れの中で構造を保全しながら調整していくイメージだ。

「変える」と「変わる」

操作しやすい変数である「自分」が主体になり、流されずに動いていくことは極めて大切だし、そのような理論を明らかにし、活動していきたい。 一方で、流されずに動いていくことは、それはそれで大変そうだ。 流れに乗りながら、少しずつ変え、少しずつ変わるのはいいなと思った。

創造も破壊も基本的には同じ変化に過ぎない。 だからこそ、ますます環境や現状を良く見て調べるのが大切になってくる。 そのためには、センシング技術やパターンマッチング、統計処理、人間の直観も含め、よく見ることで、その中の構造をよく知ること、そして、注意深くそれを変化させ、地に足をつけて成長したい。


  1. あらゆるものが常に変わっているという考えもある
  2. 変わりにくいもの(対象)は、構造や規範なのかもしれない
  3. その対象への関わり方の方針は、流れを活かしながら変化する調整することだ。

調整する(変える/変わる)ことのできる安定した構造はすばらしい。 そのおかげで、私は生きることができるし、生活することができるし、このブログを読むことができる。

もし「変えろ、変われ!」「変わることに価値がある」という言説があったとするならば、地に足をつけて変化していきたい。

そんなこんなの自分向けの整理でした。

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image: http://ja.wikipedia.org/wiki/自然#mediaviewer/ファイル:竜化の滝.JPEG