ari's world

あるかどうかわからないけど、あるみたい。ありがとう。

おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

おわりに(子どもたちへ)

元気に楽しく過ごすために,どのように子どもに接してきたのかをまとめた.

今回紹介した方法の弱点は,時間や手間がかかるようにみえるかもしれない.親の願望を一方的に伝え続けるのではなく,最初のうちは時間と労力をほんの一手間かけ,子どもの声に耳をすませ,よく観察していくだけである.しかしながら,結局のところ,長期にわたって親と子どもの願望をすり合わせながら生活を営んでいくため,すこやかな時間が最大化する.たとえ,一緒に長く過ごしたとしてもピリピリとして楽しくない時間が多ければ,残念ながら喜ばしい人生とはいえないだろう.いろいろな楽しい会話が増えるのだ.

これが書かれた時期は,子育てで ほめることが大切である,叱るしかることや 怒るおこることも違うと言われていた.どちらの意見も子どもを子供扱いしている居心地の悪さがあり,親の学びも限定される.自分の気持ちや感情を正直に伝えお互いに成長できる関係を目指すと,子育てを通じて親自身も成長できるのは,とても喜ばしいし楽しい.

これが書かれた時代は「しかる」ことや「怒る」ことは,社会的なリスクが伴うようになり,「しかる」ことが少なくなったきたように思う.実際,この記事でも「ゼロを目指そう」と書いた.そのような時代背景のなか,むしろ「(適切に)しかること」が大切になってくるのかもしれない.しかる(怒る)ことは,人間の持つ感情のひとつである.心地よくない感情ではあるが,もし欠如するとバランスが取れなくなり「草食化」や「停滞」などの言葉が連想される社会的な問題になってくるだろう.

これから,どのような時代になるのかわからない.どのような時代になっても,親子や夫婦,家族や友人との関係は重要であり続けながら,その文化や時代が大きく変わってきた.そのような中で,どのように文化や時代における価値観を大切にするのかを考えていくようになるだろう.逆に,より複雑で変化するため,すべてを把握することが困難になっているかもしれない.そのようなときに「よりどころ」のひとつとして読んでもらうのもうれしい.さらには,親を乗り越えていくための礎となるのなら,もっとうれしい.

これからも,すこやかに楽しくまいりましょう.

関連記事

謝辞

  • いつも一緒にいてくれる子どもたちと家族に感謝する.毎日,楽しいよ.
  • このように私を育ててくれた両親とその両親たちの連鎖に感謝する.おかげで私はここにいる.
  • 友人たちに感謝する.子育てに向かい合っている友人も,仕事を頑張っている友人もいる.いつもありがとう.

f:id:masanari:20110326145438j:plain

これは最後の記事です.

記事一覧

  1. はじめに - 子どものしかりかた (1/7)
  2. 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)
  3. 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)
  4. どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)
  5. 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)
  6. なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)
  7. おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

読んでくださり,ありがとうございました.よろしければシェアや いいねをお願いします.

なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)

なぜしかるのか(期待と連鎖)

親自身の持つ期待があるから,しかる(おこる)気持ちになる.その期待は,自分の親から引き継ぎ,子どもへと連鎖していく. 何をしかっているのか(伝えているのか)自覚しているか

期待しすぎると束縛になる. 親は,子どもに成長して欲しいと願う反面「素直でいい子でいてほしい」と願う気持ちもある.この「いい子でいてほしい」願いの最たるものは「赤ちゃんのままでいて欲しい」と親は願っていてしまう.「子どもを守りたい」「子どもが好きである」のような親の期待は強すぎると過度の束縛になってしまう.たとえば,箸の上げ下ろしまで細かいことまで注文をつけ,のびのびとさせられない.異様なまでにベタベタしてしまう子離れができない状態もある.家族や社会においてある程度の束縛はあるが,程度が強すぎると副作用がでてくる.

意識しにくい親自身の期待に応じた反応を返している. 子どもと触れ合う中で,親自身が何を期待しているのかがわからないことが多い.多くの場合,親自身がそれに気がつくと鳥肌が立つように驚くし,場合によっては怒り出す人さえいる.たとえば,東京の満員電車の中で,静かにしていれば褒めるし,うるさくしていればしかるのは,静かにし,他人に迷惑をかけないように期待していることになる.そのような親自身の行動があった場合,なぜそのように考えているのかを掘り下げてもわからないことが多い.そして,その期待は絶対的なものではなく,親自身が育ってきた文化や状況に応じた期待をしていることに気づくと楽になる.人は,その期待に応じた反応を返している.

期待が自覚しにくいので無理難題を押し付けてしまいがちだ. 良い学校や会社に入ってほしい,子どもには幸せになってほしい,いい子になって欲しい,逆に何も期待したくないという,いろいろな期待がある.その期待は親自身では自覚しにくいため,無理難題を押し付けてしまう傾向がある.

親自身の反応に着目する必要がある. 自分自身のしかろう・怒ろうと思うことの背景には,どのような期待があるのか,それは子どもにあっているのかに気づかなければならない.どのような期待なのか,それは子どもにあっているのかをよく吟味する必要がある.

自分が子どもだった頃を思い出そう(世代を超えた連鎖) 自分が子どもだった時を思い返してみよう.いやだったことはなんだろうか.意味のないことはなんだろうか.親自身が子どもの時にされてきたことを,子どもに期待してしまうことが多い.この期待が望まれない時は,子どもに連鎖させないようにしよう.

この連鎖は,無意識で自分自身に染み付いているため,なかなか切り離せない.十年以上かかっても治りにくいため,あきらめず時間をかけてじっくりと取り組んでいこう.

大人であれ,子どもであれ,人は周りの期待に答えようとする(=影響を受ける)ため,大人扱いすると大人として振る舞う.子供扱いすると子どもとして振る舞う.

しかり方のポイント

効果的にしかるため,しかり方のポイントをまとめた.

  1. 親(両親,祖父母,先生など指導する関係者を含む)で協力し役割分担しているか
  2. 子どもは,あらかじめ わかっているか(事前告知制による予測可能性の向上)
  3. わかりやすく具体的な内容と物語を伝えているか(説明責任)
  4. 子どもには,できない理由がある(実行できない要因はなにか)
  5. 成果がでるまで耐えることもある
  6. 子育ては本気で

親(両親,祖父母,先生など指導する関係者を含む)で協力し役割分担する

子どもと接しているのは私だけで いっぱいいっぱいだ

さまざまな家族の構成や関係があるため一概には言えないとはいえ,関係する大人で子どもとの関係について話し合い役割分担すると楽になる.

  • たとえば,両親が一緒にいる時は,両方で同じ口調でしからないように取り決めている.父親が激しい口調でしかった場合は,母親が優しく受け止める,のような取り決めをしている.たとえば,父親が激しい口調でしかったが,違和感を感じた母親から「なぜしかったのか」指摘してと相互理解をしよう.もし納得できるなようであれば,噛み砕いて母親が説明するし,しかったことがよくなかった時は父親が謝る.
  • たとえば,母親は,いじめられないよう細かく子どもに指摘していた時に,それを聞いていた父親がその内容に矛盾があり子どもが困っていることを指摘した.その結果,子どもはすっきりとし母親が細かく指摘することは少なくなった.
  • 祖父母と同居している時は,祖父母との孫との関係性を見て,祖父母に指摘しつつも,その行動を想定した行動するなどコントロールしきれない中で最善を尽くそう.

このように親が協力し役割分担することで一貫性とバランスが取れた状態を目指している.

あらかじめ伝えておく(事前告知制による予測可能性の向上)

気が付いた時に しかると,のびのびとあそべない

突然,子どもが怒られると,びっくりしてしまうし,親の顔色をうかがう能力が長けてしまう.顔色を伺うことは大切な能力であるが,あまり徹底すると,のびのびと遊べなくなってしまう.

それゆえ,あらかじめ注意事項を伝えておく. それだけ気をつけていれば,親の目を気にせず のびのびと遊べるし,危険なことを避けられるので親も安心していられる.事前に告知することは,カンファレンスや研修の時,講師は,あらかじめ会場についての注意事項とスケジュールを伝えることに似ている.

たとえば,初めての公園や遊び場についた時は,このような指摘事項を伝える:

  1. 安全と健康に関する注意事項:「公園の外にある道路は車が多いから,公園の外に出る時は教えてほしい」
  2. スケジュール/集合時間:「寒くなる16時ごろになったら帰ろう.ここに集まってね.」
  3. そのほか気になったこと:「あそこの木は面白そうだね〜」
  4. 質問事項:「質問,何かある?気になることがあったら,その時でいいから教えてね」

この場合,道路に飛び出したなどの場合はしかることになるし,16時を過ぎて遊びたい時は親に交渉する.

もし指摘事項をあらかじめ伝えていなければ,親が「(指摘がモレていたことを)ごめんなさい」と謝る. これは,ダブルバインド1のような矛盾したコミュニケーションを構造的に排除する効果もある.このようにあらかじめ伝えておくことによって.子どもは親の行動が予測可能になってくる.

わかりやすく具体的な内容と物語を伝えよう(説明責任)

何度でもしかる必要があるのは,子どもは理解していない

親からの指摘が「きちんとしなさい」「ちゃんとしなさい」「もっと頑張れ」のような内容では,子どもはわからない.何が「きちんと」「ちゃんと」なのかを噛み砕いて話そう.たとえば,朝,学校に行く前に「ちゃんと用意しなさい」ではなく「歯磨きをして,ハンカチとティッシュを持つ.(冬は)上着を着る」のように噛み砕くとよい.宿題やお稽古事があるときはタスクリストを用意しておく2

習慣づけする前には,子どもと共有できる物語があると面白くなる.ちょっと前だと「夜,寝ないとお化けがきて,足裏をペロペロ舐めるから背を伸びなくなるよ(子どもは,成長を阻止する要因のことを教えた)」や「バイキンマンは,手洗い うがいが嫌いだ,バイキンマンをやっつけよう」などのように,楽しみながら伝えよう.

もし交通ルールのように複数の指摘事項があるときは,交通教室(小学校でやってくれる)を参考にするなどの方法が取れる.

子どもにって怒られることは影響が大きいため,親自身は子どもが納得し理解するまで説明する責任がある. 暗黙的な価値観でしかることが多く,子どもに説明することは困難なことが多い.子どもに説明できるよう少しずつトレーニングしていく必要がある3.しかっている内容が妥当であるのか,子どもと合意できることが望ましい.

できない理由を探ろう

何度しかっても,そのことをやってくれない

できない子ども: 家族で一緒に外出するとき,用意や準備をするように指摘されても,ギリギリまで手をつけない子どもがいた.ギリギリになっても準備をせずに何度も指摘されている.繰り返し言われるので「やれやれ」という諦めたような表情をして準備していた.簡単なことを何度も言われてもできなかった.

できない理由がある: よくよく観察して見ると,行動が効率的で早めに準備できている.とても準備が早いため,ずーっと玄関で待ってしまうことがわかった.つまり,待っているのは子どもで,親の準備が遅かったのだ.

このように子どしかには,指摘された内容を実行したくない理由があるのだ.その理由を取り除かないで,いくら厳しくして繰り返ししかっても全く意味がない.むしろ子どもの不信感を育ててしまう.

なぜしかられたことをしないのか,一緒に理由を考えてみよう. 人生経験の豊富な親が,何が悪いのかが理解しても実行できない理由を子どもと一緒に考えてみる.その環境を観察し気持ちを理解してみることは,きっかけになるだろう

押し忍ぶ時期もある

何十年もかけて会得する稽古ごとや修行のように,言葉で説明できないこともある. 会得した時に,その感覚や状態には言葉が付いているものの,会得しない状態では理解ができないからである.

成果が出るまで時間がかかるものだ. たとえば,算数や英語,習字などの勉強や,空手や能楽など使う技術はなんども繰り返して身につける必要がある.体が覚え無意識にできるようになるまで一定期間の時間が必要なものもある.

押忍の精神も必要である. その場合,自我を捨て我慢をする場面があることも理解してもらう(うちでは「ここは,押忍だよ」のように話している).

ただし,根性論や精神論になってしまう効率的ではない状況もありえる.あくまで信頼された経験のある人であるか,安全や健康などが担保されることなど,十分に見極めることを忘れてはならない.

しかる(怒る)時は本気で怒る

中途半端ではなく,本気で怒ろう. むろん安全にね.

f:id:masanari:20110326145438j:plain

次の記事は おわりに - 子どものしかりかた (7/7) だよ.

記事一覧

  1. はじめに - 子どものしかりかた (1/7)
  2. 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)
  3. 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)
  4. どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)
  5. 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)
  6. なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)
  7. おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

読んでくださり,ありがとうございました.よろしければシェアや いいねをお願いします.


  1. ダブルバインドは,チームの育て方(6):ダブルバインドとの戦い - ari’s world を参照してほしい.

  2. プロジェクト手法を参考にしたタスク管理は,とてもよく動いているため,いつか記事に書く.

  3. 子どもに説明する能力を向上させることは,いつか書きたい.場合によって,こちらも興味があれば,ワークショップや研修の実施も検討したい.

どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)

どのぐらいしかるのか(頻度と度合い)

わからないことは宝である

営為を継続することで力をつける: 歯磨きから計算,水泳の練習から空手の稽古まで,継続の中で力をつけることができる.一度だけでは,それぞれの行為をうまくやることができない.気の遠くなるように繰り返し,継続することによって身につけることができる.継続と言えども,まったく同じことをしているわけではない.物事の理解を深め,深くそして広く学ぶことになる.

営為を継続することで極端や未知を知り器を大きくする: まったく経験がなければ,なにごとも未知のことである.未知のことを少しずつ広げることが,経験に繋がる.未知のことは,その時の範囲から超えているため極端とも言える.大きく外れているが,極端を経験することによって,未知の幅を広げることができる.わからないことを目にして,どうこうすることで少しずつ成長する1

わからないことは宝物である: このようにわからないこと(未知)は宝物である.それぞれの子どもは,宝物を少しずつ探して,自分のものにする.そのわからないことがわかるようになるまで,数年かかるか数十年かかるか,一生わからないままですごすかも わからない.

宝探しをしよう: 子どもの宝物は親にはわからないし親が見つけるものでもない.自分ならでは宝物をさがしてみよう.子ども自身が宝を見つける必要がある.

いかにわからないことに直面するのかが大切である.

しかる頻度

何度しかっても聞いてくれないから,よくしかっている

しかることには,怒りの感情が多少なりとも含まれがち であることを理解しよう.怒られる子どもは,怒った親に比べて気持ちや感情など精神的な影響が大きい2.ましてや,子どもは逃げることが困難なため,その影響は親から想像できないほど大きくなる.

怒りの感情は影響が大きいため,理不尽に怒られ続けていると身を守るか反撃にでるしかない. なぜならば,理解せずに怒られ続けていると混乱し,思考が停滞する.そのような停滞状況を回避したくなるからだ.身を守る行動は,無視する,他のことを考えるなど防御する態度をとることになる.たとえば,いつも怒られている(=しかられている)状況では,もはや無視することや殻にこもることが常態化し,どうでもよくなってしまう.場合によっては,帰宅しないなどの逃避行動にである.反撃は,炭火のように怒りの感情がたまるか,蓄積され爆発するなどの行動にでるようだ.

いちばんの問題は,しかっている内容は子どもには伝わらないことだ. そのため,どのように効率よく伝えるのかを考える必要がある.その中の一つとしてしかることがある.これは,子どもと親の状況によるため一概には言えないが,その親子を見ていくしかない.

しかられた内容を理解し,行動を修正するためには,数週間から数ヶ月はかかる. 自分自身のよくないことは習慣や癖になっていて,自動的に行われているため,すぐに修正できない.しかられたことを理解し,修正しようとしている最中に,他のことを言われても混乱するだけで,修正が遅くなる.

この「自分で生きていくために何が必要か」のポイントをどこに置くのかによって子育ての内容が違う.なぜなら,親の経験を通じて,身につけてほしいポイントが異なってくるからだ.

しかる頻度は,最小になるよう親が努力しよう. 強い態度で責めることは,健康的なコミュニケーションとは言えない.人生経験があり立場が強いのは親なので,しかる頻度を最小にするよう努力しよう.全く怒らない/しからないゼロの状態を目指そう3

口調や態度の厳しさの度合い・細かいことを気にするな

いつも怒鳴ってばかりで疲れる

口調や態度の厳しさを決めてメリハリをつける: 最初は,気がついたベースでしかっていると,その都度,子どもが心配や不安になっていた.気遣いすることを学ぶが,自分で考え,自分で判断して行動するようにはならない.そこで,どのような時に厳しく接し,どのようなときに優しく接するのかの度合いを明確にした.

口調や態度の厳しさ(例): 危険な行為は口調や態度が厳しくなり,大事ではないことは指摘するに止まる.下のリストの 1.叱咤,2.注意,3.指摘のようにリストの上のものは,口調や態度が厳しい.たとえば,このリストにあるように,子どもたちとは合意されている:

  1. 叱咤:厳しい口調
    • 生き延びるために必要なこと
    • 安全のために必要なこと(大怪我,大火傷,死亡に至る交通事故など)
  2. 注意:
    • 自分を大切にしない言動
    • 他人や物を大切にしない言動/迷惑をかけること(ただし,程度による)
    • 繰り返し無視すること(返事や挨拶)
  3. 指摘
    • 健康を損ねること(入眠や手洗いの励行)
    • 文化的な慣習(箸の持ち方/食べ方)
    • きちんと自分の意見を言わないこと
    • 卑屈になること
  4. 上記に当てはまらないこと
    • 宿題やテストの結果が悪いとき(悪けれどショックは受けるケド)
    • 忘れ物や怠けること

たとえば,交通ルールの赤信号と一時停止の無視は事故に結びつくため激しい口調で怒鳴る(なお,自分の子どもだけでなく,子どもに危害を与えそうになった他者に対しても遵守するよう厳しい口調で接する).たとえば,正しくお箸を持てない,挨拶をしないなどの場合は「食べ終わったらお箸の練習をしよう」とか「(東京において)挨拶は大切だよ」の指摘になる.言われたことが伝わっていない時は,だんだん口調が厳しくなることもあるし,他の方法を考えることもある.

このリストは,親から子どもだけでなく,子ども同士のやりとりにも適用される.たとえば,3. や 4.の内容を厳しく叱咤した場合は,指摘した人に「やさしい気持ち,やさしい言葉で伝えようね」と指摘する.このように,細かいことは気にしないよう繰り返し伝える.

いつものようにしかっていると,それはBGMのように心に届かないし,話を聞こうとは思わない.しかし,このようにメリハリをつけて接すると,子どもも心を開くし話をよく聞いてくれる.

f:id:masanari:20110326145438j:plain

次の記事は 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)だよ.

記事一覧

  1. はじめに - 子どものしかりかた (1/7)
  2. 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)
  3. 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)
  4. どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)
  5. 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)
  6. なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)
  7. おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

読んでくださり,ありがとうございました.よろしければシェアや いいねをお願いします.


  1. フランスの文化人類学者・クロード・レヴィ=ストロースのブリコラージュと呼ぶものを示す.

  2. なぜ"怒りっぽい人"は嫌われ、孤立するか ポイントは「グリップ力の弱さ」:PRESIDENT Online - プレジデントの「怒る側と怒られた側、大きな意識の違いがある」を参照のこと.

  3. 現時点で,子どもたちに確認したところ,ほとんど怒らない/しかられないとのことであった.今後は,難しい時期が来るため,また異なった状態になるとは思っている.

子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)

子育てと しかること

子どもは親が育てるのか

親が子どもを育てていると考えがちだが,子どもは自分の力で成長する.たとえば農家が稲や苗木を育てる関係性に似ている.農家(親)が育てているのではなく,水や養分を吸い,太陽を浴び呼吸して成長するのは稲や苗木自身である.親や百姓は,苗木の環境を整え,水をやることはできるが,自分が育てているのではない.あくまで,苗木自身が自分の力で育っていく.稲や苗木に対して水を枯らし太陽に当てなければ,悲しい結果になるのも子育てと似ている.同様に子育ても,親が育てるのではなく子どもが自ら成長していくことを支援しているにすぎない.つまり,子育てとは,環境と関係を整え子どもの成長を支援すること である.

子どもは,自分自身の人格を持ち,子ども自身で考える他人である.子どもは,他人であるので親の思い通りに動かすことはできないし,あくまで環境と関係を整えるしかない.

子育ての関係性

よくない言動を修正するのは子どもなのか

立場の違いがある: しかることは,親から子,上司から部下,先輩から後輩のように立場や能力が違うことが前提となっている(部下や後輩との関係も似ているが,ここでは子どもと表記する).特に,子どもは立場や能力が弱く,それだけ選択肢が少なく,逃げ出すことが困難であり,しかられたことを受け入れざるをえない.

一方向のコミュニケーションとなる: あくまで立場の弱い子どものよくない言動を直すことが対象となっている.そのような関係性を前提として,親は子どもを強い態度で責めるため,本質的に一方向のコミュニーションである.「わかるよな!?」と質問しても「うん,わかった」と返事するのは,この立場が弱いことによって正直に答えられない.

良し悪しの判断は親がしている: ある言動が良いか悪いかを判断しているのは,立場が強い親である.つまり,子どもには,何が悪くて何が良いのかはわからない.しかられている子どもは,基本的に萎縮しているため正直に理由を考えにくいし話しにくい.

しかり方を修正するのは親自身しかできない: そのため「しかり方」についての修正するのは,子どもではなく親である.「子どものよくない言動を直す」ためには,立場が強く能力がある「親自身が直る」しかない.なにより,子どもだけが間違っていると認識するのは,学習する機会を増やすための謙虚さに欠けて,親自身が成長する機会を失ってしまう.

しかることとは

子どもを育てる 様々な方法がある: 成長する中で必要なことを学ぶため,この身につけてほしい必要なポイントを伝えていく.この必要なポイントは,家庭や親子によって,それぞれ異なっている.ある文化では修行にでることが必要とされ,ある文化では夢や目的を持つことが大切とされ,ある文化では現実を見ることが大切とされている.そのような異なった文化の中でも,家庭ごとに違ってくる.そのように必要なことも違う.また,その必要なことを伝える方法も様々だ.言葉を使う,態度や体を使う,環境を使うなどの方法がある.日本社会ではよく使われる「しかる」と「ほめる」に注目した.

しかることは,親の願いを伝えるひとつの方法である: 危機に直面したことなど親の文化や判断基準における違反した時に,それは違反したことと,修正することを伝えて,修正してももらいたいと願っている.しかることは,強い感情もしくは行動にそって働くため,その願いを伝えるひとつの手段である.そのため強い感情を持って相手に効率よく伝える方法といえる.相手が納得し,次からそのように行動できるようになることが「よくない言動を修正する」ことになる.

しかることと おこることは違うことか

しかるのは,子どものためで,怒っていることとはちがうのか

しかるとおこるの区別があると言われている: 叱る(しかる)とは,相手のあやまったところを指摘し,厳しく注意を与えることである.怒る(おこる)は腹を立てて相手に注意することである.やさしくしかることはできるが,やさしく怒ることはない.子育ての場面において,親が子どものあやまったところを指摘し,注意を与えることである.どちらも,相手のよくない言動をとがめて厳しく注意する意味では同じではある.

子育ての場面において,しかることは相手のためを思って厳しい言い方をしている.怒ることは腹を立てている自分の感情の一種であり,自分がスッキリするためにする行為である,と言われている.このように子育てにおいて,怒らず,しかるような論調が主流を占めている.

しかっている時は怒りの感情が含まれている: 親となってしかったときの気持ちを思い出してほしい.よくない言動に直面することによって怒りの感情を持ち,そのことを飲み込んでしかっているのではないか.つまり,親は怒りの感情を押し隠して,しかっているのだから,怒りの感情はない,もしくは少なくしていると考えているのではないだろうか.この場合,子どもに対して激昂するようなものだけでなく,家から出るなどの行動も怒りである.

子どもは怒るとしかるの区別は難しい: しかるも怒るも「強い態度で責める」ことであるため,親はしかっているつもりであっても,強い態度で責められている子どもからの区別は難しい.怒りは強い感情で隠すことが困難で,子どもはその怒りの感情を容易に見破っている.親は「怒っていない,しかっているだけだよな」と子どもに確認したとしても,子どもは,親の怒りを解除したいがために,しかっている状態を終わらせたいため「うん」と答えていることになる.激しい感情を持っている親に対して,子どもが平常心でいられるとは考えにくい.

適切に内容を伝える技術がない場合に,しかっているのと怒っているのは違う,と親が言っているのではないか: 親が怒っているだけにも関わらず,指導しているんだと自己満足し言い訳になっているのではないだろうか.「しかっている」と言い訳をしながら,自分自身がスッキリするために怒っている状態になってしまうだろう.子どもを見下し指導することによって,親子の関係性における親の地位を上に上げるための行動とも解釈できる.このように,しかるとおこるを分離することは,親は子どもを見下し,対等な関係を作れなくなってしまうことを覆い隠してしまう.

共に育って行くことを阻害する: あくまで目的は,よくない言動を修正することにある.よくないことは,子どもにだけあるのだろうか.いや,親にもよくない言動はある.これは,お互いに矛盾していると思い合っていることになる.

子育てへの関わり方

子どもはよく知らない,子どもから学ぶことなんてない

それゆえ,子どもも成長するし,親も成長するような,共に成長していく関係性を目指す: 親から子どもに良くないことを伝え,子どもから親へも良くないことを伝える.そのような情報を得ることによって,親も子どもも双方が,一緒に成長するような機会になれば,より発展しやすくなる.親は子どもの成長を取り込み,子どもは親の成長を取り込むような関係性である.

子どもはしかって強く育てるのか,褒めて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - ari's world にあるとおり,そこではしかることも褒めることも,健全な状態で正直な気持ちを伝えることへシフトしていく.

子どもと一緒に取り組む: 親は自分自身の接し方を修正しながら,子どもと一緒に「よくない言動に取り組む」ことになる.あくまで,よくない言説が問題なだけで子どもの存在が悪いわけではない.

親自身のしかり方を修正していくことも必要である 気になることを調整することによって,共に成長することになる.実際のところ,判断基準や心がけについても,子どものとのやりとりの中で発生した.子どもだけが成長していくのも,率直なところ子育ては退屈になってしまうだろう.共に成長できるのであればワクワクして楽しい.

よくない言動を修正し,楽しく一緒に歩もう

f:id:masanari:20110326145438j:plain

次の記事は 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7) だよ.

記事一覧

  1. はじめに - 子どものしかりかた (1/7)
  2. 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)
  3. 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)
  4. どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)
  5. 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)
  6. なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)
  7. おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

読んでくださり,ありがとうございました.よろしければシェアや いいねをお願いします.

はじめに - 子どものしかりかた (1/7)

はじめに

現在,3人の子どもがいる.現在,5歳(男),8歳(男),11歳(女)となっている.しんどいことから楽しいことまで,いろいろな想像もつかないことがあった.仲がいい時も,ケンカするときもある.元気な時も病気の時もある.子育ては,衣食住を用意し,怪我や病気の回避し,お行儀やマナーを向上させ,勉強や遊びなどなど,いろいろなことがある.他の家庭と同じように,私なりに真剣勝負でぶつかってきたつもりだ.日々の生活の中で「うまくいかないなぁ」「どうだろうか」と試行錯誤してきた.この記事は,書籍や記事を直接的に参照したものではなく,子どもと向かい合ってきた経験をベースにした記録である.

時には叱るしかることや 怒るおこることもある.親も体力や気力を使うが,それ以上に子どもにとって,しかられることは気持ちや感情の上でも揺り動かされインパクトが大きい.それだけ十分に考慮しケアする必要がある.

想定読者は数年後かの自分の子どもたちである. 今後,どのようなことになるかわからないが,私がどのようなことを考え,どのようにやってきたのかをまとめておきたかった1.この記事は,ある家庭における事例ではあるため他の家庭においては違うだろう.実際の子育てをやっている最中であるため矛盾する点があるし変化していくことを温かい目で見守って欲しい2.ただ,もし読んでくださった方が,子育ての参考になりヒントになったとすれば うれしい3.

長文になってしまったため,重要な点を太字にした. 太字を追いかけると,論旨がわかるようになっている.

ポイント

本記事では,このポイントについて議論している.

  1. [ ] 子どもを育てているのは親である
  2. [ ] よくない言動を直すのは子どもである
  3. [ ] 子どもはよく知らない,子どもから学ぶことなんてない
  4. [ ] 怒るのは自分のためで,しかるのは子どものためである
  5. [ ] しかって強く育てることや,ほめて伸ばすことが大切である
  6. [ ] いつも怒鳴ってばかりで疲れる
  7. [ ] いろいろな指摘事項があるから,よくしかっている
  8. [ ] 子どもは言われたことしかやらないので困っている
  9. [ ] 何をしかっているのか わからなくなることがある
  10. [ ] なぜしかる(おこる)のかが わからないので困っている
  11. [ ] 子どもと接しているのは私だけで いっぱいいっぱいだ
  12. [ ] 気が付いた時に しかればよい
  13. [ ] 子どもは理解できないから何度でもしかる必要がある
  14. [ ] 何度しかっても,そのことをやってくれないから困っている

本文中にも イタリック体 で示した.

f:id:masanari:20110326145438j:plain

次の記事は 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7) - ari's worldだよ.

記事一覧

  1. はじめに - 子どものしかりかた (1/7)
  2. 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)
  3. 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)
  4. どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)
  5. 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)
  6. なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)
  7. おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

読んでくださり,ありがとうございました.よろしければシェアや いいねをお願いします.


  1. 後悔しないための私的なメモ(小さなお子さんがいらっしゃる方へ) - ari’s worldに書いてある通りだ.背景について興味がある方は聞いてください.

  2. 自分自身の矛盾は,自分自身で気づきにくいことと,解消しにくい特徴があるが,このような記事を通して修正していきたい.

  3. ワークショップやサロンなどで,みなさんの意見をうかがう機会を作りたい.

子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)

子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう

子どもは言われたことしかやらない

しばしば このようなやりとりがあった:

子「学校の宿題と,稽古はどっちが先にやるの?」
親「学校の宿題が先だね」
子(宿題をやる前に,本を読んで勉強している)
親「宿題を先にやらないの?」

たくさん聞いてくれてうれしい反面,どのように順番を決めればいいのかわからず困っていることに気づいたのである.

背景と方針:子育ての願望とジレンマ

子育てとは,子どもの成長を支援することである.子育てにおいて,いろいろな親の願望があるが,うちで代表的な例を紹介したい.

自立して欲しいと願っている, 自分で考えて行動でき,自分で食べていけるようになってほしい.自分でいろいろなことをわかるためには,様々な経験が必要になる.特に,極端な経験や失敗は,いい思い出にもなり大きく成長させられる.たとえば,海で遠くまで泳ぎ,潮の流れにハマってしまったとか,木に登ったけど降りるのが難しくなってしまったとか,いろいろな経験や失敗を元に成長している.いろいろな経験をすることは 行動の選択肢を増やすこと(自由にする) を志向している.美味しい料理を食べるのも楽しむのも経験するのは子ども自身であり親ではない.

健康に育って欲しいと願っている. 事故や怪我にあわず,健康に育ってほしい.たとえば,交通事故や大きな病気に回避したいし,もし怪我や病気をしていれば快癒してほしいと願っている.事故や怪我,失敗を回避することは 行動の選択肢を減らすこと(制限する) を志向している.

この願望にはジレンマがある. どちらの願いも子どもを思ってのことだが,違う志向性を持っている.いろいろ経験や失敗をしてほしいが,一線を超えてしまうと事故や怪我などによって継続的な幸せを享受できなくなってしまう.それ以外にも,他人に迷惑をかけてほしくないと願えば.他人への依存度を増やすことと,他人から依存度を減らすことジレンマもある.日常生活においても,このようなジレンマが発生するのが常ではなかろうか.

親自身も,子どもだった時からの経験が積み重なり,それが元になって願望が生み出されている.このような願望は,親の傾向は子どもに連鎖することが言われており,意識しないで判断や行動していることが多い.

判断基準

それゆえ,自分たちが判断するときの基準(判断基準)を共有し,それを前提にして基本的に自分で考えるようにする. 判断基準とは,ある状況下でどのように行動するかということ,物事を判断する際のよりどころとするもの 1である.自立と元気の育つために必要な判断基準を共有し,それの上で自分で考えて行動すればよい.その了解された判断基準に基づいて行動すれば,おおよそのところでブレない.

判断基準は,それぞれの家庭や文化によって大きく異なるが,大きく異なるが故に,共有が難しい. 日常生活において葛藤やジレンマが発生していることは,ある程度の判断基準を決めておくと楽になる(考えなくて済む).

妥当な判断のためには,情報の透明性を向上させ,情報量を増やすことも大切である. 子どもは,自分で認識し考えている.本稿のような判断基準を用いた上で,子ども自身が自分で感じるように仕向けるようにしていく.できる範囲で「本物に触れる」「正直に話す」「隠し事をしない」などの心がけも妥当な判断をしていく支援となる.

判断基準の内容

  • 最小限の判断基準を目指すこと
    いろいろなことを考えたくなるけれど,大切で外せないものだけを判断基準としたい.最終的には,自分だけで決めていくように順次すすめていく.
  • 具体的な行動に関連付けられること
    「ちゃんとする」「きちんとやる」ではなく,外出前に身だしなみを鏡でチェックするなど具体的な行動に関連付けられるようにしておく.
  • 現実的で合理的であり運用可能であること
    特に子どもは理想や夢を追い求めたくなる.しかし,理想を追い求めてしまうと,続かないし実情から乖離してしまう.簡単に使えることが大切である.
  • 緊急時や例外処置を決めておくこと
    大人に相談する,110番やセコムで呼び出しなどを決めておく.できる限り現物を確認すること.

判断基準の決め方

  • 一緒に話し合うこと
    なぜ大切なのか,どのような問題や事例があったのか,どのように感じているのかを一緒に考えよう.あらかじめ親同士(同居している夫婦や祖父母)で話し合うのも重要である.
  • 判断基準は個別のもの
    それぞれの状態に応じて一緒に話し合うこと.たとえば,5歳児であれば,5歳児も理解できるようにする(例:車から降りるときは一緒だよ).たまたま共通の判断基準があるかもしれないけれど,それぞれの個別の判断基準を尊重すること.
  • 判断基準は仮のもの(変化する)
    成長に伴って不要になる判断基準もある.たとえば,幼児の頃はトイレのドアを開けて運用していたけれど,成長に伴ってドアを閉めるようになるなど,当たり前のことが変わる

判断基準の例

なお,現在11歳,8歳,5歳の子どもと数年間のやりとりから判断基準の例を紹介する.子どもの人数,性格や年齢,家庭状況そのほか 様々な状況によって判断基準は異なるので,あくまで事例として参考にしてほしい.

  • 安全と健康が優先
    • 子どもたちだけで火を使ってはいけない(親と一緒に練習しよう)
    • 子どもたちだけで玄関を開けてはいけない.困ったときは (1)親に電話,(2)セコムの呼び出し (3)110番する.
    • 地震発生時や災害時の対応を決めておく.
    • ファミレスやコンビニの駐車場では親の近くにいること(車の運転席から子どもが見えないことを体験させる)
    • 公園では,子どもから親が見えるところで遊ぶ(5歳児のみ.ちゃんと見ていないとダメだけどね)
    • たくさん体を動かしてぐっすり寝る.「夜になっても眠くならないときは遊びが足らん!もっと遊べ〜!!」
    • ご飯を食べてから,おやつを食べる.「ごはんを残したら おやつは なぁーし!!(eテレはなかっぱ』)」
  • 自分を大切に
    • 「こだまでしょうか(金子みすゞ)」のように他人に向けた言葉や行動は自分に戻ってくる.自分とご縁のある人や物を大切にしなさい
    • 親も先生,教科書も間違えるときや わからないときがある.信じてはいけない,疑いなさい.
    • 細かいことや他人を気にしすぎると 自分がつらくなるよ
    • 例外:試合や試験など無理してでも頑張る
  • 学校優先(小学生)
    1. 手洗いうがい+水分補給(学校より,健康が優先される)
    2. 夏と冬はエアコンを入れる(なぜか忘れて体調を崩す)
    3. 基本的に,学校の宿題と用意が優先
    4. 計画したタスク(遊びも含まれる.別途「家庭の計画づくりとタスク管理」で書きたい)
  • 「あきらめたらそこで試合終了ですよ」
    漫画『スラムダンク』より具体的な行為があったときに引用する.たまに安西監督の絵を見る.

4つの判断基準を紹介した.使い方は,日常生活の中に,この判断基準を織り込んで使う.たとえば,他人を傷つけるような言葉を使ったときは「自分を大切に」と伝える.たとえば「友達に届けたいものがあるから(学校優先より)先にやったよ」のように会話は成り立ちやすい.早く寝ないときは「安全と健康が優先だよ」の健康である.最近は子どもたちから早く寝ようと言われることが多い2.家族の中で普遍的な判断基準があるため,平等に意見を言うことができる.

判断基準を作ったところ(結果)

子どもたちは判断基準を使って自分たちで考えて行動することが増えた.わからないときは聞いてくれるし,場合によっては提案もしてくれる.たとえば「車のドアを開けていいときは安全を確認してから教えてほしい」などの提案があった.親としては安心して過ごせるようになってきたし,楽になってきたように感じる.親の考えだけでも子どもの考えだけでもない状態とも言える.

小学生の子どもは,たくさん宿題があるし忙しいからだろうか,このような標語としての判断基準を多用し,効率的なコミュニケーションを図っている.ただし,5歳の保育園児は,標語としてほとんど使っていないようである.このあたりは継続して見ていきたい.

これからは,このような判断基準を話し合う必要もなくなるかもしれないし,内容がもっと高度になるかもしれない.なにはともあれ,子どもたちに「生きていてほしい,できれば すこやかに過ごしてほしい」と心から願っている.

f:id:masanari:20110326145438j:plain

次の記事は なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)だよ.

記事一覧

  1. はじめに - 子どものしかりかた (1/7)
  2. 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)
  3. 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)
  4. どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)
  5. 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)
  6. なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)
  7. おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

読んでくださり,ありがとうございました.よろしければシェアや いいねをお願いします.


  1. https://thesaurus.weblio.jp/content/判断基準より

  2. やることあるんだけど添い寝は気持ちいいので従ってしまうことが多い.

子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)

しかって強く育てるか,ほめて伸ばすか

しかって強く育てることや,ほめて伸ばすことが大切であるのか

「子どもをしかって強く育てる」 という考え方もあれば,「子どもはほめて伸ばす」 という考え方もある.

「しかって強く育てる」 は,若干オールドファッションのようだが,根強く残っている.世の中はつらく厳しいことがあるので,それに対抗するためには厳しく接する練習も必要であろう.

ある例では,子どもに対して厳しくしかっている.たとえば,親に対する敬語がなっていない,用意に時間がかかってしまった,食べた量が少なかった…いろいろしかるものがあるんだなぁ,と感心しまうほどだ.その結果,その子どもは,話を聞いて意味を理解する能力を損ない(=聞き流す能力は高まり),殻に閉じこもってしまいがちだ.

「ほめて伸ばす」 ことの大切さが,いろいろなところで主張されている.しかったり怒ったりせず,子どもの良いところを伸ばしていく.確かに子どもは集中して自分の得意なところを伸ばすことができるだろう.

ある例では,子どもに対してほめて伸ばすことを徹底している.望ましくない言動があっても,決してしからない.たとえば,自分自身の親に対して「ろくでなし」と言ったり,相手を馬鹿にするような言動を続けても,決してしからない.その代わり「○○ちゃんは,よくないことがわかるよね(猫なで声)」と諭すだけであった.むろん,ちょっとの良いことを見つけてはほめまくっていた.その子は,いろいろな大人に対して傍若無人にふるまう一方,つまらなそうにしていることが多い.

ほめて伸ばすことと,しかって強く育てることのどちらにも無理がある

どちらも,親は自分の望むよう恣意的に接していて,相手と自分の状態がわからないため,すこやかな成長が難しい.適切な成長とは,自分の感じたことを大切にし,状況に応じた妥当な判断と学びができることである.

  1. 親は,自分の望むように子どもを操作しようとしている
  2. 親は,子どもが何を感じているのかを観察していないため,わかりにくい.
  3. 親は,感情や気持ちに結びついていない表現になる

その結果,子どもからは,以下のようにとらえられる.

  1. 子どもは,親の本当の気持ちや感情がわからない
  2. 子どもは,親がどのように感じ,どのように困難に対処しているのか学べない
  3. 子どもは,自分の感じたことを正直に表現しにくい

つまり,対等な個人間の健全な相互コミュニケーションが成立できない問題があり,適切な学びと成長に結びつかない.

子育ては正直さの心がけが大切である

それゆえ,できる限り正直に伝えることを心がける. 子ども自身の言動に対して感じたことを正直に伝えるように心がける.そのため,子どもからは,親が何を感じているのかよくわかるだろうし,もしわからないときは正直に聞くことができる.

ここでは,一般的に言われている通り,正直さとは,自分の気持ちや感じたことに嘘や偽りのないこと,隠し立てがないことを示す.むろん,完全な正直さを意味するのではなく,正直でいようとする態度を示している.

親自身の経験や学びも話す. 子どもに対して感じたことに加え,親自身がかっこ悪いときも失敗したときも正直に話している.そして,どのように心がけているか,どのような作戦を立てているのか,このようにしたけれどダメだった,もしくは上手くいった,のように手の内を隠さず正直に話す.すべてのことを話すことは時間的にも無理があろうが,思いついたレベルで話し合っている.

正直に話すことで情報量が増える. 隠し事をしない正直でいる努力によって,情報の透明性が向上する.情報の透明性が向上すれば,子どもの学習を促進し,判断の妥当性が向上する.親は,子どもの興味や能力によって理解できるように,無意識にふさわしい情報は選別していることになる.しかし,子どもとのやりとりの中で「オープンになんでも話すような心がけ」によって子ども自身での学習と判断を支援したい.

正直に接するために

正直に話すためには,それ相応の自信とそれを裏付ける経験が必要である. ただ,子どもを育てる覚悟を決めた以上,いいところだけでなく,悪いところも含めて子どもに感じてもらう.

正直に話せるよう健康的な状態を心がけ,お天道様に恥ずかしくない生き方を目指していく. 親自身がダークサイドに落ちている/疲れているなど親が不健康な状態であると,子どもにそのように接することになる.相手を見下し傷つけ優越感に浸ることを目的に,正直に言うことは不健康な状態である.体を動かす睡眠を十分にとるなど,健康的な状態を心がける.

その結果,子どもとの健全なコミュニケーションが成立していく. むろん,自分自身の矛盾は,自分自身では気づきにくいが,子どもからの正常なフィードバックにより,その矛盾に気がつくのである.子どもも親も共に学び,すくすくと成長できるようになるだろう.

正直さと適用

成長段階に応じて,正直さを大切にした場合の典型的な適用した場合は,どのようになるのだろうか.1

子どもが赤ん坊であるときは弱々しく,守り育てたいと感じることが多い.このような時に,守りたい育てたいと,ほめるようなコニュニケーションが多くなる.むろん,このような時期にしんどい感情になったときは,それ相応の相談をし,支援を受けていくことになるだろう.

だんだん成長するにつれ,生意気な態度を持ち「いらっ」「むかっ」と感じることも増えてくるのは,自我が育つ大切な過程である.親が,このように「いらっ」「むかっ」と怒りを感じた時に,良いところを探して無理にほめたらどうなるだろうか.子どもは,怒られているのかほめられているのか区別がつかなくなり,適切に学び,すこやかに成長することにはならない.子どもにとって,このような矛盾し混乱した状況は何よりもしんどい.あくまで家族が健康的な生活を心がけた上で「いらっ」「むかっ」としたことを正直に伝え,学んで成長する.

このように相手の存在と状態を認めた上で「自分がどのように感じるのか」を大切にして,健全なコミュニケーションを実現しながら,子どもだけでなく親も一緒に成長していきたい.

f:id:masanari:20110326145438j:plain

次の記事は どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)だよ.

記事一覧

  1. はじめに - 子どものしかりかた (1/7)
  2. 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)
  3. 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)
  4. どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)
  5. 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)
  6. なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)
  7. おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

読んでくださり,ありがとうございました.よろしければシェアや いいねをお願いします.


  1. 2017年12月11日 Facebookで成長段階についてのコメントをいただいたので参考にして追記した.ありがたや.