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子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)

しかって強く育てるか,ほめて伸ばすか

しかって強く育てることや,ほめて伸ばすことが大切であるのか

「子どもをしかって強く育てる」 という考え方もあれば,「子どもはほめて伸ばす」 という考え方もある.

「しかって強く育てる」 は,若干オールドファッションのようだが,根強く残っている.世の中はつらく厳しいことがあるので,それに対抗するためには厳しく接する練習も必要であろう.

ある例では,子どもに対して厳しくしかっている.たとえば,親に対する敬語がなっていない,用意に時間がかかってしまった,食べた量が少なかった…いろいろしかるものがあるんだなぁ,と感心しまうほどだ.その結果,その子どもは,話を聞いて意味を理解する能力を損ない(=聞き流す能力は高まり),殻に閉じこもってしまいがちだ.

「ほめて伸ばす」 ことの大切さが,いろいろなところで主張されている.しかったり怒ったりせず,子どもの良いところを伸ばしていく.確かに子どもは集中して自分の得意なところを伸ばすことができるだろう.

ある例では,子どもに対してほめて伸ばすことを徹底している.望ましくない言動があっても,決してしからない.たとえば,自分自身の親に対して「ろくでなし」と言ったり,相手を馬鹿にするような言動を続けても,決してしからない.その代わり「○○ちゃんは,よくないことがわかるよね(猫なで声)」と諭すだけであった.むろん,ちょっとの良いことを見つけてはほめまくっていた.その子は,いろいろな大人に対して傍若無人にふるまう一方,つまらなそうにしていることが多い.

ほめて伸ばすことと,しかって強く育てることのどちらにも無理がある

どちらも,親は自分の望むよう恣意的に接していて,相手と自分の状態がわからないため,すこやかな成長が難しい.適切な成長とは,自分の感じたことを大切にし,状況に応じた妥当な判断と学びができることである.

  1. 親は,自分の望むように子どもを操作しようとしている
  2. 親は,子どもが何を感じているのかを観察していないため,わかりにくい.
  3. 親は,感情や気持ちに結びついていない表現になる

その結果,子どもからは,以下のようにとらえられる.

  1. 子どもは,親の本当の気持ちや感情がわからない
  2. 子どもは,親がどのように感じ,どのように困難に対処しているのか学べない
  3. 子どもは,自分の感じたことを正直に表現しにくい

つまり,対等な個人間の健全な相互コミュニケーションが成立できない問題があり,適切な学びと成長に結びつかない.

子育ては正直さの心がけが大切である

それゆえ,できる限り正直に伝えることを心がける. 子ども自身の言動に対して感じたことを正直に伝えるように心がける.そのため,子どもからは,親が何を感じているのかよくわかるだろうし,もしわからないときは正直に聞くことができる.

ここでは,一般的に言われている通り,正直さとは,自分の気持ちや感じたことに嘘や偽りのないこと,隠し立てがないことを示す.むろん,完全な正直さを意味するのではなく,正直でいようとする態度を示している.

親自身の経験や学びも話す. 子どもに対して感じたことに加え,親自身がかっこ悪いときも失敗したときも正直に話している.そして,どのように心がけているか,どのような作戦を立てているのか,このようにしたけれどダメだった,もしくは上手くいった,のように手の内を隠さず正直に話す.すべてのことを話すことは時間的にも無理があろうが,思いついたレベルで話し合っている.

正直に話すことで情報量が増える. 隠し事をしない正直でいる努力によって,情報の透明性が向上する.情報の透明性が向上すれば,子どもの学習を促進し,判断の妥当性が向上する.親は,子どもの興味や能力によって理解できるように,無意識にふさわしい情報は選別していることになる.しかし,子どもとのやりとりの中で「オープンになんでも話すような心がけ」によって子ども自身での学習と判断を支援したい.

正直に接するために

正直に話すためには,それ相応の自信とそれを裏付ける経験が必要である. ただ,子どもを育てる覚悟を決めた以上,いいところだけでなく,悪いところも含めて子どもに感じてもらう.

正直に話せるよう健康的な状態を心がけ,お天道様に恥ずかしくない生き方を目指していく. 親自身がダークサイドに落ちている/疲れているなど親が不健康な状態であると,子どもにそのように接することになる.相手を見下し傷つけ優越感に浸ることを目的に,正直に言うことは不健康な状態である.体を動かす睡眠を十分にとるなど,健康的な状態を心がける.

その結果,子どもとの健全なコミュニケーションが成立していく. むろん,自分自身の矛盾は,自分自身では気づきにくいが,子どもからの正常なフィードバックにより,その矛盾に気がつくのである.子どもも親も共に学び,すくすくと成長できるようになるだろう.

正直さと適用

成長段階に応じて,正直さを大切にした場合の典型的な適用した場合は,どのようになるのだろうか.1

子どもが赤ん坊であるときは弱々しく,守り育てたいと感じることが多い.このような時に,守りたい育てたいと,ほめるようなコニュニケーションが多くなる.むろん,このような時期にしんどい感情になったときは,それ相応の相談をし,支援を受けていくことになるだろう.

だんだん成長するにつれ,生意気な態度を持ち「いらっ」「むかっ」と感じることも増えてくるのは,自我が育つ大切な過程である.親が,このように「いらっ」「むかっ」と怒りを感じた時に,良いところを探して無理にほめたらどうなるだろうか.子どもは,怒られているのかほめられているのか区別がつかなくなり,適切に学び,すこやかに成長することにはならない.子どもにとって,このような矛盾し混乱した状況は何よりもしんどい.あくまで家族が健康的な生活を心がけた上で「いらっ」「むかっ」としたことを正直に伝え,学んで成長する.

このように相手の存在と状態を認めた上で「自分がどのように感じるのか」を大切にして,健全なコミュニケーションを実現しながら,子どもだけでなく親も一緒に成長していきたい.

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次の記事は どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)だよ.

記事一覧

  1. はじめに - 子どものしかりかた (1/7)
  2. 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)
  3. 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)
  4. どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)
  5. 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)
  6. なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)
  7. おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

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  1. 2017年12月11日 Facebookで成長段階についてのコメントをいただいたので参考にして追記した.ありがたや.