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「和」と「同」のパタン

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新聞雑誌への信頼についての調査によると、日本が最も高く72.5% 。最も低い順にオーストラリア11.4%英国12.9%米国23.4%イタリア24.7%となっています[世界価値観調査 2005]。日本に住む多くの人たちは、マスメディアによる報道を鵜呑みにし、ダントツに信じる傾向が見られます。言い換えるとマスメディアの報道が何らかの意図を持っていた場合、その「意図」に左右される危険性が高いのです。つまり、報道によって、日本に住んでいる人たちの意見や世論が操作され、同じ考えになってしまう傾向があることを自覚する必要があります。逆に自分や世論と異なった考えを持った人に対して、不寛容(受け入れられない)傾向を感じます。自分とは違った意見に対して、激しく拒絶し怒ったり、受け入れない傾向がみられます。

未来の進むべき姿や業務内容についても、自分の考えを持たず、命令やルールを決めてくれることを待つことすら美徳とされている人もいます。疑いを持たずにその命令に従うことによって、自分の責任を持たずリスクを減らしているのかと想像します。やみくもに従順に従うことの美徳を否定はしませんが、生き生きとした状況ではなっているようです。このことが成果や結果としての質やスピードが悪化している原因ではないだろうかと推測できます。

日本に住む人たちは、人としての活力がなくなり、自分で調べ考える習慣が欠如しているように様々なところで見受けられます。しかし、そのような状態については対処方法が不明確で、対策が困難です。そのような時に我々は、どのようにすれば良いのでしょうか。


それゆえ「和」に注目しましょう。

聖徳太子 憲法十七條『以和爲貴、無忤爲宗(和(やわらぎ)を以て貴しと為し、忤(さか)ふること無きを宗とせよ)』
論語 子路篇『子曰 君子和而不同 小人同而不和(君子は和して同ぜず小人は同じて和せず)』

日本で最初に記された憲法は、聖徳太子憲法十七条であると言われています。その一番最初に記されていることは「和がもっとも尊いもの」であります。昔からある身近な日本を語る上で「和」に注目する必要があります。異なった考え方に対して逆らう(忤(さか)ふる)ことをなく、まずはしっかり聞きましょうと同時に述べられています。植物や材料、土地などにも耳を傾けると、気づくことがあると教わりました。異なった価値観を持つ人たちや小さな子供も、耳を傾けると、彼らなりの主張があり、じっくり話を聞いて受け取ることがとても大切です。

論語によると「和」と「同」は別のものです。「和(わ)を大切にしなさい」と言われた場合、ある考え方と同じになりなさい、と多くの場合は受け取られがちですが、本来の意味は違います。やたらに他の人の意見に従い、同意することは小さな人とばっさりと否定しています。逆に、主体性を持って自分の意見や考えを通じて、調和をすることの大切さだと論語では記されています。

話し合うことによって意見や考え方は、「自然」と同じように多種多様で生き生きとしていく傾向があります。それを無理矢理、ひとつの方向に強制し命令すると、結果として、いきいきさや活力を失い、成果にも結びつかないようです。逆に、多種多様の意見を尊重し、その中での歩み寄りを行ったり、弁証のような超越した解が探し出すことに知恵をしぼることは、人本来の能力を生かすことなのではないでしょうか。

別の観点から、見てみましょう。日本における「わ」は、さまざまな漢字が当てはめられています。

  • 私・我 (I, me)
  • 輪・環 (circle)
  • 大和 (Japan, Large circle)
  • 倭 (Japan, Obey)

根拠を確認しておりませんが、様々なことが想像されます。たとえば、昔の日本において、自分のことを「私(わ)」と話していたのでしょう。我々は、「輪(わ)」になって様々な政(まつりごと)や祭事を行っていたため、自分たちのことを「わ」と呼び、我々の国のことを大きな「わ」である「大和」と表現したのでしょう。なお、倭(わ)は、従順であるという卑下している見方であり、当時の中国が見下すために当てはめた漢字ではないかと容易に想像できます。

いずれにせよ、このように対話を安心して行える「場(=輪)」を作り、その場で「私」から「和」を紡ぎ出すようにしっかり表現することも丁寧に実践していくことが大切です。

漢字としての「和」には、さまざまな意味があります。

  • 和み (Confortable)
  • 和らぎ (Moderation)
  • 和 (Harmonious)

様々な情報があふれ複雑な構造で、自分を見失いがちな現在です。これらのような「和」の倫理観は、どれもが日本に住む人たちだけでなく世界において大切な意味を持ちます。倫理や道徳を考える上での基礎として「和」について再認識し、現代の社会で生かしてみてはいかがでしょうか。

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(Created : May 23, 2011 2:15 PM)