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あるかどうかわからないけど、あるみたい。ありがとう。

「悟り」とその先の世界 - 作った筏(いかだ)が必要なくなる話

Title: 「悟り」とその先の世界
Date: 2019年12月7日 Created, 2020年1月23日 Published

(要約)

この友人たちへの手紙は、何も表現していない。特に新しい主張もない。 何も主張していないからこそ、日々の生活を営める。

(はじめに)

知働化研究会は、次世代のITや「知」について語る研究会である。2019年12月1日の研究会で、このようなやりとりがあった(ような気がしている)。

  1. Aさん:(原稿のリストを作っているので)何を書きますか?
  2. Bさん:書くテーマは決まっていないので、ブランクをカッコで囲ってください。()
  3. Aさん:悟ると書くこと決まるのかな。
  4. 私:いや、Bさんが悟っているから決まらないのです。むしろ筏(いかだ)を手放す必要があるのでは?

このやりとりが面白かったので、この筏(いかだ)について書いておく。

(悟りは苦しみと共に生産を停止する)

; 生きていくことは、大雨と激流の中を歩んでいるようなものだ。その苦しみを克服する筏(いかだ)とは。

悟りとは

釈尊は、四つの真理として四諦を説いた。四諦とは、1) 生きることはすべてが苦しみであり、2) その苦しみは煩悩が生み出し、3) 原因である煩悩を滅すれば苦しみはなくなること、4) その苦しみを滅する方法(八正道)、のことである。

悟りを開くための方法のひとつは、煩悩が生み出される過程を観察し、とらわれなくなる(八正道の正見)。煩悩を滅することによって、苦しみから解放されるのだ。

マインドフルネスやヴィッパサナー瞑想も、これの一部である。

認知と「悟り」

認知(にんち)とは、心理学などで、人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと(Wikipedia) である。

人によって、見ているものに対する意味付けは違う。たとえば、目の前のリンゴを「見た」とき、赤くて丸い映像を、リンゴだと認知している。しかし、リンゴではないかもしれない1。そこで、コミュニケーションを通じて、それは「リンゴである」と意味付けすると生活を営みやすいから、その認知を共有している(と認知している)のである。

煩悩による苦しみが生まれるのも、判断したり解釈する過程である認知による。この認知を観察することによって、苦しみそのものを滅している。

この苦しみを滅した状態を「悟り(さとり)」と呼ぶ。

「悟り」と「空(くう)」

  • ある瞑想では、物事を見たことなど認知そのものを観察している。
  • 「悟り(さとり・名詞)」とは、瞑想し、すべての表象を捨て去り、苦しみが滅せられた状態を示している。
  • 「悟る(さとる・動詞)」は、「悟り」に至る認知の非連続な変化を示している(参照:連続体仮説)。
  • 「空(くう)」とは、すべての表象を捨て去った自分自身を含めた対象を示している。「空」は、あらゆることが含まれるが故に何も表現していない2

「空(くう)」の表現

抽象化とは、関心のある表象以外を捨てること、捨象(しゃしょう)することである。

つまり、「空(くう)」とは、もっとも抽象化した状態である。ただし、「空(くう)」は、牛小屋の中に牛がいない状態を示していることからである。牛小屋のような器や入れ物は表現される。

よって「空」は、あらゆるすべての知覚された現象を包含している認知の空集合(くうしゅうごう)と表現できるだろう。

なお、コンピュータのプログラミング言語 LISP では、空集合は空のリスト()と表現される(評価した戻り値は、偽 nil を返す)。つまり、Bさんの()は、 「空(くう)」を表そうとしていると理解した。

悟りと生産の停止

悟りに向かうときは、認知や判断を観察し停止させるに伴い、関心や問題意識をも停止してしまう。さらに、言葉や感情は抽象化を含む認知の行為の結果であるため、悟りの状態になっては言葉や感情も消失する。あらゆるものが空(くう)であることを確認するのみである。

つまり、言葉や感情を滅した悟りの状態において、生産や再生産が停止してしまう。いわゆる創造する行為がなくなっている。悟った状態では、原理的に執筆や対話などの創造ができない。

(悟った先の世界)

; 筏(いかだ)で激流を乗り切ったあと、すこやかに過ごし、新しい道を進むために、筏を手放そう。

悟りを手放す

何かを生み出すためには、「悟り」から脱する必要がある。釈尊は、教え、特に悟りを意味する「筏(いかだ)」比喩を用いて説明した。『中村 元(著)ブッダのことば-スッタニパータ (岩波文庫) 』より

「わが筏はすでに組まれて、よくつくられていたが、激流を克服して、すでに渡りおわり、彼岸に到着している。もはや筏の必要はない。神よ、もしも雨を降らそうと望むなら、雨を降らせよ。」

教えや悟りはよくできているが、煩悩の激流を克服しているのであれば、筏(教えや悟り)も不要であると述べている。さらに雨を降らせよ、と、煩悩の激流に対して こわがることなく、立ち向かっていく心構えも表されている。

煩悩を滅し、苦しみを滅し、悟ったあとは、その悟りにも執着せずに手放しなさい、 と説いているのである。

認知を再構築し、物語っていく

悟りや、それに至る瞑想は、自分の内面である認知を観察し、苦しみを生む煩悩を壊す、内面への働きかけとも言えよう。内面にある煩悩を滅した後、外面を作り、どのように過ごすかについても述べられている。

中村 元(著)ブッダのことば-スッタニパータ (岩波文庫) 』の慈しみより一部を引用する:

究極の理想に通じた人が、この平安の境地に達してなすべきことは、次のとおりである。能力あり、直く、正しく、ことばやさしく、柔和で、思い上ることのない者であらねばならぬ。

他の識者の非難を受けるような下劣な行いを、決してしてはならない。一切の生きとし生けるものは、幸福であれ、安穏であれ、安楽であれ。

また全世界に対して無量の慈しみの意を起すべし。 上に、下に、また横に、障害なく怨みなく敵意なき(慈しみを行うべし)。

立ちつつも、歩みつつも、坐しつつも、臥しつつも、眠らないでいる限りは、この(慈しみの)心づかいをしっかりとたもて。 この世では、この状態を崇高な境地と呼ぶ。

ここでは、慈しみの心を持ち、一切のいきとし生けるものの幸福を願う形で、認知を再構築し、物語っていくことが説かれている。

(おわりに)

「悟り」を深めつつ、自分の認知を見つめ直し、幸せに物語っていこう。そして、「悟り(=いかだ)」で濁流をのりこえ、その濁流を思い返しながら、自分の物語を語ろう。それは、とても楽しい宴になるだろう。

とりあえず、Bさんに、真の戻り値 t を返した。この世で輪廻 (Read-Eval-Print Loop) を続けましょう。

(おことわり)

この内容は、小学生に説明し、一緒に学習していくことを想定している。正確さより、わかりやすさを尊重し、必要以上に簡潔な表現になっている。ご了承ください。

紹介した内容(仏教、数学、認知科学、ITなど)は、歴史を通して膨大なテキストがあり、綿密に議論されている。正確な内容については、それらのテキストを直接参照してほしい。3


  1. ‪『ヨシタケシンスケ の りんごかもしれない』は、楽しい絵本だよ。

  2. 「空(くう)」については、北伝、特に龍樹によって体系化されている。

  3. 仏教については現代語訳も出ている『スッタニパータ』や『ダンマパダ』や、道元正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』が、明確でわかりやすかった。

「くゎんくゎん」は、食べ物が乾いて固まっている状態(東京の方言か)

東京出身のものです。ふと「くゎんくゎん」という言葉を思い出しました。

「くゎんくゎん」(くゎん、くゎんと区切り、発音は「く」が強く「わ」が弱い)は、主にお米粒やお餅、汁気のある食べ物が乾燥して固まっている状態を示しています。くゎんくゎんの状態から正常の状態に戻すためには、爪やヘラでパリパリと剥がしたり、水につけて柔らかくする必要があります。

たとえば、「口の周りがくゎんくゎんになっているよ。」とか「食べ終わった後のお茶碗がくゎんくゎんになるので、水につけておいてね」のように使います。

私の母も「おひつ(炊飯器)を水につけていなかったので(ご飯が)くゎんくゎんになってた」と使っていました(採取日:2019年12月28日)。

似たような言葉として「ガビガビになる」「パリパリになる」がありますが、もっと食べ物の印象が強いです。

検索したところ、口の周りしか用例が見当たらなかったので、メモとして残しておきます。

世界の地平を見るために

世界の地平を見るために(空手の黒帯を取得した時のメモ)

要点

  • 当事者として経験することは大切である。その結果、「世界」が広がり「地平」が見えた時は、とても気持ちいい。価値観が変わるような経験をしてほしい。
  • 実際の経験について紹介する。
  • この件についての心がけを紹介する。
    • たまたまを大切にすること
    • 続けること
    • 「世界」が開け「地平」を見ること
    • 無知の知と「道」であること

目次

  • はじめに
  • 世界が広がることはワクワクする
    1. ランニングとトライアスロン
    2. 次にチャレンジすることを探す
    3. 空手道場に通う
      • 合理的な動きと指導法
      • 体系化されたカリキュラム
      • ヒザの痛みを乗り超えて
  • 心がけていること
    1. 「たまたま」を大切にすること
    2. 続けること(10年単位で考える)
    3. 世界が開け、地平を見ること
    4. 鍛えられる能力
    5. 道であること(わからないことがわかる)
  • おわりに
  • 関連する情報

はじめに

2019年12月8日に行われた空手の昇段審査に、親子で合格し黒帯になりました。黒帯は、空手のスタート地点に立てたことになります。これも、ご指導してくださった先生、一緒に稽古した仲間、支えてくれた家族のおかげです。感謝しています。押忍。

このメモ(記録)は、私が心がけていたことを私の子どもたちに伝えるためです。子どもたちが自分たちの「礎」を築き、父親を乗り越えてほしいと願っています(簡単だと思うけどw)。押忍。

「心がけ」とは、実際の生活において できていないし、十分ではないと考えているからこそ、正そうしていることです。なので「できていない」ことは、すでにわかっています。「心がけとして何がふさわしいか」「どのように形にしていくのか」のように建設的に取り組みたいです。

世界が広がることはワクワクする

Break on through to the other side (The Doors)
「向こう側へ突き抜けろ」

「世界が広がること」「世界のしくみをかいまみること」は、とても楽しいことです。ただただワクワクして、熱中してしまいます。

「知る」ということは、本やテレビ、インターネットでもできます。知識の幅を広げる役には立ちます。しかし、自分が当事者として経験することや、身につけていくことは、予想もつかず、それ以上に楽しいし、かっこいいです。

当事者として内から関わり、その「まっとうさ」や「基本」を手に入れるために、失敗や苦しみも経験する、ということです。一見かっこ悪いこと、恥ずかしいことや失敗もたくさんたくさん経験します。むしろ失敗が多く、何度も壁にぶつかります。そのような わからなかったこと、苦手だったことを克服していき、その「世界がわかる」ことは、自分だけの経験であり、自分だけの宝物です。

そのたくさんの壁にぶつかり乗り越えようとし、自分の世界を生きている人がカッコいいです、そのように感じます。「知っているより、やっていること」です。

世界を広げること、かいまみる経験は、とてつもなく貴重です。「壁の向こう側に突き抜けろ」。そこには素晴らしい世界が見えてきます。

今まで過去の「私の物語」を紹介しますが、「読者である あなたの物語」ではありません。そのため、参考(=あくまで他人の物語として楽しむこと、味わうこと)にしてください。

ランニングとトライアスロン

子どもの頃から、ランニングが苦手でコンプレックスでした。体育の授業が何よりも嫌で、マラソン大会では走れず、いつも苦しくて肩を落として歩いていました。運動が苦手な自分にとって、アイアンマン・トライアスロン(鉄人レース)は、想像もできない過酷な競技に思えました。

ランニングを始めた理由は、怪我をした時に診察した医師が無免許だったという理由でした。

最初は、ランニングの練習方法について、よくわからなかったので、とりあえず片道16km弱先にある勤務していた会社からランニングで帰宅するようにしました。最初は辛かったものの、毎日の繰り返しのなかで、だんだんと慣れていきました。

走り始めてから、約2年後から4年後までの数年間にわたって、ケガや故障が続き苦しみました。ちょくちょく足首を挫き(くじき)、ふくらはぎや太ももの筋肉を痛め、ヒザや腰など、いろいろな箇所が痛くて動かせません。むろん練習もできずタイムも伸びず、気持ちだけが空回りしてシンドかった時期を過ごしました。

シンドイなかで、もがいていました。運動生理学や理学療法などを学びました。コーチをつけて練習しました。たまたま見たビデオが転機になり「正しい姿勢と、正しい体の動かし方」がわかりました。それから突如にしてケガや故障しなくなりました。ケガや故障知らず、になりました。気持ちも ほぐれて楽になりました。

幸運なことに 鉄人(ハワイ島コナで開催されるアイアンマン・トライアスロン世界選手権の完走者)となりました。

友達と約束したフルマラソン目標タイム(2時間45分)は、まだ至っていません。しかし、ランニングがとても苦手だった自分にとって、とても楽しく貴重な経験です。どんなに苦手でもできるようになる、という「自信を持つ」裏付けを、少しずつ少しずつ貯めることにもなりました。

次にチャレンジすることを探す

結婚し、子どもが生まれました。その時、楽しんでいたトライアスロンは、練習時間が長く、家族と過ごす時間が短くなり、いろいろなひずみが出てきました。1

サーフィンを試したこともありました。寒い砂浜で子どもたちが待つことになり、数回だけで終わりました。

あるとき、子どもが、ショッピングセンターの遊び場で、ほかの子どもにボコボコに殴られているのを見て、合気道や空手道のような「武道」を身につけたいと考えました。

若い頃の私にとって、空手や合気道のような武道やボクシングのような格闘技は、やるのも見るのも苦手で避けていました。まさしく想像もできない他の世界でした。最初は、いろいろ武道を探しましたが、気にいるところは見つからず、躊躇していました。

空手道場に通う

家から近くにある小学校で空手の稽古ができることを、たまたま図書館の雑誌で知りました。単純に「家から近く」という理由で、通いはじました。道場は、伝統派武道、ノンコンタクトを志向しています。

私が通っている道場は、1.合理的な動きと指導法、2.体系化されたカリキュラムに基づいています。

合理的な動きと指導法

空手と言えば漫画ぐらいしか知りません。根拠なく根性を鍛え、暴力を働く印象でした。習う前は、漫画のように無駄に回数を重ねる根性練(こんじょうれん)と、センスに任せた稽古をやっていると思っていました。むろん、基礎体力やセンスは必要ではあるものの、家族で学ぶにはシンドイです。

しかしながら、通っている道場において、研究された合理的な動きを目指し、根性とセンスに依存した指導はありません。当初の印象は間違っていました。

たとえば、「突き(パンチ)」の時にも、足が地面を押す反力、足の骨格、股関節の活用、腰の回旋力…(略)…手や腕の構造…(略)を一体となって使い、一気に加速させ等速運動をしつつ、重力を使った拳が飛んでいきます。私の文章力では限界があるので、稽古していただくしかないのですが、重力と身体、動力学、相手の動きなどを使った、理にかなった動きです。

正しい動きをしっかりと理解した上で、繰り返し稽古しています。指導も、怒鳴るようなこともなく、合理的な動きを身につけるため、ていねいでわかりやすいものです。

体系化されたカリキュラム

突き蹴りなどの「基本」、いろいろな動作をパックした「形」対面して実践に近い「組手」があります。

私が通っている道場において「基本」を大切にしています。基本を徹底的に身につけながら「形」も学んでいきます。入門してから学ぶ五つ「形」を身につけると、大きな「形」に結びつきます。その「形」を通じて、体の使い方や状況に応じた戦い方を覚えていきます。

対面して突きや蹴りなどの実践に近い「組手(くみて)」の稽古で、ケガすることは、まずありません。黒帯を取得する試験においても「上段(突き)!」と、宣言して動作を行う約束組手(やくそくくみて)だからです。そのなかで、実際の間合いや体の動かし方を学んでいきます。

これらの「基本」、「形」、「組み手」は、密接に関連しています。最初から徹底的に「基本」を学びますが、「形」や「組み手」から「基本」をより研ぎ澄ませます。

空手という武道を、安全に身につけられるように、基本や形、組手などが、常に改善されながら体系化されています。このカリキュラムは、昇級として審査され、昇給していく中で自然に身につけられるようになっています。

ヒザの痛みを乗り超えて

2017年から2018年にかけて、ヒザが痛くなりました。左足を前に出すため、左のヒザに負担がかかります。ヒザが痛くため、稽古どころか歩くこともシンドイ状態でした。年に2回ほど、痛くなりました。

たまたま近所に所用があったとき、整骨院の玄関で、お客さんの子どもと遊んでいる柔道整復師たまたま目があいました。 ふと顔を出して、ヒザが痛いことを伝え、その原因を探って治療を受けました。同時に、長年にわたって血尿が出ていたことと、同じ原因であることがわかりました。ヒザの痛みと血尿の両方が半恒久的に治りました(その担当者は退職してしまい、とても残念です)。

ヒザが痛くなったのは、(ランニングと同様)正しい姿勢が取れていない、正しい姿勢を取るための筋肉の力が不足していることが原因です。当初より「正しい姿勢」になり、痛みが取れるようになってきました。猫背も、ほぼ解消してきました。

その後、指導をいただきながら、稽古を重ねることができ、無事に初段をとりました。スタート地点に立てたことは、とてもうれしいことです。

心がけていること

なぜ、このような経験を大切にしているのか、心がけていることを説明します。

「たまたま」を大切にすること

たまたま始めたランニング、たまたま始めた空手、たまたま目があった治療院、すべて「たまたま」でした。それだけではありません。私の英語の勉強も、私の妹を塾に送ったことから、たまたま始まりました。大学院・博士課程の勉強も、たまたま遊びに行った研究室から始りました。

中村医師がアフガニスタンで、医療や灌漑(井戸や川などから水を取れるようにすること)に取り組んだ理由について、このように答えています「不平等に対する復讐」 中村哲医師が人生をアフガニスタンに捧げた理由 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)より:

 世界にも日本にも困っている人、苦しんでいる人はたくさんいます。なぜ、アフガニスタンなんでしょうか?

「たまたま、ですね」

「たまたまそこに行って、そこで困っている人を見た。あとは……まあ、義を見てせざるはなんとやらといいますか……」

この世界は、たまたま・偶然で支配されている、と言っても過言ではありません。

私の父(子どもたちの祖父)は、よく言っていました。「人間で計り知れることなんて限られている。だから、ご縁を大切にしなさい」たまたま始まる大きな流れを受け入れ、その中で立ち位置や行動を選択していくことが大切です。

いいことも、悪いことも、たまたまから始ります。ここにいる、この文章を読んでいるのも「たまたま・偶然」かもしれません。いかに「たまたま」を手なずけるのかを考え、そのための準備をしていきましょう(いつか書けたら書くね)。

続けること(10年単位で考える)

楽しいことだけでなく、苦しいことや嫌なことも、断続的に発生します。ヒザが痛くなったり、なかなか上達しなかったり、忙しくなったり、、、いろいろ発生します。部活動も、ランニングも、空手も、つらい時期がありました。私の経験では おそらく、つらい時期に直面します。

やめる選択もあるかもしれません。諦めたら試合終了です。

もう一つ、経験から言えるのは、つらい時期に正しく努力していれば、ひらけた、心地よい時期もやってきます、そのように信じています。「継続は力なり」のように、続けることは大きな結果や成果を生み出します。

いくつかのコツを紹介します。もがくことや、静かにやりすごすことなど、いろいろやってみるしかありません。

  • 敷居を低く:(シンドイときは、敷居を低くする、ゆるめる、簡単にするなど、を検討してみてください。たとえば1万歩がシンドイときは千歩にする、十歩だけでも歩こう、とか、やることを減らす代わりに、少しずつやっていくことがコツです。
  • ゲーム感覚:ゲーム感覚で遊べるコツを見つけるのもおすすめです。たとえば、いつもの通勤ランを何分で行けるか、とか、信号で止まらないで行けるようペース配分を考えてみるとか、いろいろな遊びが見つかるでしょう。
  • 自分のペースを守る:つらい時期は、少し休んでから再開することもありかもしれません。楽しみを探す余裕が大切です。
  • 対面する:恐怖を感じるようなときでも、逃げ腰にならず、自然体で立ち向かいます。気持ちでは負けてはいけません。最初は気合いが必要です。
  • 押忍:自分を押し忍んで、たんたんとやることで、困難を乗り越えることも大切です。雪かきのように、やらなくてはならないこともあるのです。

今の時代だからこそ、じっくり取り組むことに価値があります。

世界が開け、地平を見ること

取り組んでいると「世界がひらけ、地平が見える」時期があります。 じっくり取り組むと(而)、ひらけたようにわかってくる時期がやってきます。人の才能や特徴、経験によって違いますが、5年から10年の年月が必要なことがらもあります。能楽の先生も「10年か、それよりも稽古していると、わかる時期がくるんだよ」と話していました。このように時間の経過が必要なのです。

この「地平を見る」感覚は、大きな山に登ったときに雲の上から視界が開けた感覚に近いです。 地平線や水平線まで見えます。この「地平を見る」感覚は、ある取り組みが何をやっているのかの全体像が俯瞰的に見えることです。それは勉強でも、興味でも構いません。ひらめいたように「わかる」「みえる」時期がとつぜんやってきます。

地面に近い時は、自分の周りしか見えません。登山口から登り始めたときは、山頂も周りも見えないことが多く、どんな景色が待ち受けているのかわかりません。汗をかき、予想もつかないことが発生することもあります。おなかが減り、足が痛くなったりします。自分の周りを気をつけながら登っていくしかありません。

あるとき、とつぜん視界が開けます。その時の気持ちは絶筆し難い(表現できる語彙がありません)。高い山に登れば登るほど、遠くが見えます。こんなんなっていたんだ、という、自分の世界を感じられます。

  • ランニングでも速く走る人たちの世界が見えてきて、速く走る人たちの言葉がわかるようになります。マラソンでは、3時間を切る(サブスリー)あたりでしょうか、何をやっているのかがわかるようになってきます。私の場合は、ランニングを開始して2年後に、膝が痛くなり思うように走れなくなりました。「正しい姿勢」で走ることがわかり、そこからランニングで怪我や故障しなくなりました。練習できるようになり、タイムも改善しました。そのあたりから、コーチの話していることが見えてくるようになりました。
  • スキーでは、初めて滑り出したときは体も器具も思い通りに動けません。最初は、もがきながら成長していく感じです。世界が見え、言葉がわかります。周りの状況と、体の感覚を読み取り、そこで適切な動きを作っていけるようになります。全日本スキー連盟では、指導員やパトロールの資格を取るためには一級が必要です。一級がスタートラインだと認識しています。
  • 全国模試などの学力偏差値において40未満と60超では、同じ問題を解いていても見ている世界が違っています。40未満の場合、おそらく何を聞かれているのか理解できていない状態でしょう。学力偏差値60を超えていると「何を問われているのか、何を解いているのか」の全体像が見えてきています。学力偏差値は、相対的な指標のため一概には言えませんが、全受験者数の84%程度である60ぐらいを目安にしています。
  • 空手では、黒帯になるあたりから、世界が見えてきて、修行が始められるように思います(その人の経験や流派によって違うのは、最初に述べた通りです)。私が通っている道場では、審判員や指導員の資格が取得するためには、空手二段からのため、二段相当ではないかと予想しています。

このように その世界における基本を理解し、操作が可能なある一定のレベルに達したことを「地平が見えた」と表現しています。そのためには一定の年月が必要です。

世界と自分が見えたときは、とても気持ち良い、すっきりとした気分です。この気持ち良さは中毒性があり、これを追い求めて勉強や練習をしているようにも思います。

この感覚は、本やインターネットを読んだだけでは、わかりません。たとえば、空手の動画を見ても、経験していなければ、その時のスゴさを理解できません。実際に行って経験して、自分なりに理解して、つかみとっていくものなのです。このような経験をしてほしいと思っています。

鍛えられる能力

この地平には、自分自身の視点でありながら、その世界の「理(ことわり)」を理解することによって、自己と他者の認知のありかたを認知する能力がより深まります。他者や環境を含む自分自身を俯瞰する(メタ認知)能力が向上し、より深くて多重的な理解(認知)ができるようになります。

地平を見えるようになるために、目標に向かって頑張ること、ほかの人と関わること、感情をコントロールすることなどを、継続して実施します。まさしく計測しにくい能力(非認知的能力)の向上も期待されます。

困難に打ち勝ち、あきらめずにやり抜くことから、まさにGRIT(あきらめずにやり抜く力)でもあるでしょう。

しかし、あくまでメタ認知や非認知的能力、GRIT(やり抜く力)…は、目的ではありません。それらを目的とすると、それらの効果を得られなくなります。成績のようにオマケでついてくるものです。 なにより地平が見えることは、世界が広がり深まり、最高にワクワクし楽しむこと、その過程も楽しむことです。目的や意味はいくらでも作れますが、究極的に目的がないのが目的です。

いずれにせよ、子どもたちには、この「地平が見える ある一定のレベルまでは やりなさい」と伝えています。基本を身につけたレベルに到達しないと、その世界の面白さ(または、限界)を理解できないことが多いからです。

道であること(わからないことがわかる)

世界と自分を含む地平が見えると、自分がわからないこと、自分ができないことを如実に見えてきます。そのレベルに達することによって、その上も見えてきます。わかればわかるほど、自分の未熟さを思い知ります。

「地平が見えた」と思ったとしても、まだまだ上に登る道があることも思い知らされるのです。

わからないこと、できないことを知るため、自ずと謙虚に接するしかなくなります。そして、より高い地平を目指したり、他の登山口から登り始めたりするのです。

目的やゴールは、短期的で一時的なものです。全体を見渡すと、ただただ道があるのです。

おわりに

世界は広くて深いようです。「ある世界の地平がわかること」は、とても楽しいことです。そして「いかにわからないのか わかること」は、(まいっちゃいますけどね)もっと楽しいことです。楽しみながら ぼちぼちまいりましょう。

Break on through to the other side (The Doors)
「向こう側へ突き抜けろ」

関連する情報

  • 楽しんで成長する7つの心がけ - ari's world:当時小1の子どもが自由研究コンテストに入賞したときに書きました。
  • 謙虚さとは何か - ari's world。謙虚さを自分なりに定義してみました。好きな心がけです。
  • 空手の身体動作などについて YouTube
  • NHK NEWSWEB イチローからのメッセージ 最後の「イチロー杯」で2019年12月22日 20時23分

    本記事の公開後、似たような趣旨の記事を読んだため、引用します。

    いろんなことが情報としてすぐ頭に入れられる、すぐ、携帯でね。スマホなんかで調べれば、いろんなことがわかる時代になりました。

    世界が何となく小さくなったように思えるんだけれども、(略)外に出て初めてわかること、調べれば知識としてわかることであっても、行ってみてはじめて分かることってたくさんあって、それは、野球の狭い世界だったんだけれども。

    やっぱり外に出て、傷つくことだってあるし、楽しいことももちろんいっぱいある、勉強することはいっぱいありました。

    それを知識として持っておくのではなくて、体験して感じてほしい。

    そういう経験をできれば将来、みんなにはしてほしいな、というふうに思います。 今まであった当たり前のものというのは、決して当たり前ではないというふうに気づく。 価値観が変わるような出来事を、みんなに体感してほしいというふうに思います。


  1. どのような道を選ぶのか、選び方とその理由についても、いつか書きたい。

公表する媒体をどこにするのかメモ

公表する媒体をどこにするのかメモ

雑誌や新聞社の記者や 職業小説家など いわゆるプロではなく、あくまで素人が自分の書いた意見をパブリッシュ(出版・刊行・公表・投稿)する時、どこを媒体のターゲットにするのか、雑にまとめてみた。

この記事は、あくまで未経験者個人の思い込み・主観である。適宜、更新したい。

パブリッシュする媒体の評価

出しやすさ 質の担保 読者の偏り 名刺効果 利益率・利益単価
査読論文 1/3 3/3 2/3 3/3 -
商業出版 1/3 3/3 1/3 3/3 印税最大10%
自費出版 2/3 1/3 2/3 3/3 持ち出し
Kindle (筆者) 3/3 1/3 2/3 2/3 最大70%
Kindle (筆者+デザイン+編集) 3/3 3/3 2/3 2/3 最大70%を分割
ブログ (Google Ads) 1/3 1/3 3/3 1/3 1PV 0.3円〜0.5円
動画(YouTube) 2/3 1/3 2/3 1/3 昔は1再生0.1円
漫画(商用) 1/3 3/3 1/3 3/3 (未調査)
漫画(同人) 2/3 2/3 3/3 2/3 (未調査)

項目について

  • 「出しやすさ」とは、書いた文書をパブリッシュしやすさである。たとえば商業出版は、出版社の企画が通す必要性から公開されにくいため 1/3とした。
  • 「質の担保」とは、書いた内容や文章の質(例:読みやすさ、妥当性)が担保されるかどうかである。たとえば、商業出版は、企画や編集など、多くのレビューを経るため 3/3とした。
  • 「読者の偏り」とは、読者にまんべんなく伝わりやすいか、である。
    • 市場の大きさや到達度の推定をせず、今回は偏りの度合いとした。特に議論が必要と考えている。
    • たとえば、商業出版は、書店に掲載されるため、あまねく知られる機会がある、との意味で偏りは1/3とした。
  • 「名刺効果」とは、読者数が少ないとき、初対面・多数の相手に対してマーケティングツールとして使えるかどうかである(名刺代わりにドヤっと出せるか)。
    • たとえば、査読論文や商業出版は、読者数が少ない場合も、ビジネスや雇用などの機会を増やせると期待している。
    • たとえば、読者数が少ないYouTubeコンテンツやブログでは、名刺がわりになりにくいと考えた。
  • 「想定される利益率・利益単価」は、検索して最初にヒットしたページを参照し、検証していない。
    • 目安を知るため、諸経費や税金などは考慮していない。
    • たとえば、1,000円で本を商業出版したときの印税が10%であれば一冊あたり100円の利益となる。
    • たとえば、Kindleで一冊あたり100円の利益を得るためには、最大70%とすれば143円で販売することになる。

どの項目も、未経験者個人の主観である。もしパブリッシュする時は、各自でしっかり裏付けや確認をとってください(私は責任を負いかねます)。

私個人としては、ピアレビューしあえるコミュニティで、質を担保しつつ、低価格でパブリッシュできればありがたいな、と感じた。

謝辞

この記事は、SNSで見かけた投稿や、聞いた意見を参考にしている。感謝の気持ちを申し上げたい。

ひとりでいる君へ - 自分のパフェを食べよう

ある子が、学校生活でツライ思いをしているみたいだった。

Jam の 多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。 (Sanctuary books)を読んでもらい、話し合った。そのあと、下に書いたようなメッセージを送った。

なお、固有名詞など具体的な情報は修正・削除してある。 子どもたちが成人したあと、読んでほしいと思い、公開する。


いろいろ話をしてくれて、ありがとう。
思ったことは「自分のパフェを食べよう」だな。

自分のパフェってなんだろう?
好きな本、部活や習い事、勉強、自然観察、、、いろいろあるね。
道徳的に悪いこと(例:他人を傷つける)は、やめてほしいけど、それ以外は自由だよ。

自分のパフェは、自分で感じ探すものだ。
お父さんやお母さんのパフェとも違うだろうし、仲の良い友達のパフェとも違うだろう。
自分の「好きだな」とか「やってみたい」という気持ちを感じ、大切にしながら、自分で探すものだ。

世界は広い。たくさんの人がいて、いろんなことがあるよ。
だから、しっかり勉強し、いろんなことを経験し、いろいろな人と出会おう。
勉強は、過去の人たちと出会うことと、いろんな経験を広げる準備とも言えるね。

おいしいパフェを探すためには、少しだけ「勇気」が必要だよ。
パフェは、誰かがくれるのを待つのではなく、自分で探すことだからね。
失敗したら家に帰って、おいしい紅茶でも飲めばいい。
勇気を持って、いってらっしゃい。

自分のパフェは、ちょっとずつ、ちょっとずつ、育てていこう。
育てながら、ちょっとずつパフェを味わおう。
自分だけのパフェだね。

他人に迷惑をかけなければ、自分のパフェを大切にしよう。
自分のパフェを守ることも必要だよ。

自分だけではない、他の人も、その人が好きなパフェがある。
自分に迷惑じゃなければ、それは尊重してあげよう。
うらんだりせず、平穏にすごそう。

自分が、自分自身が好きなパフェを食べ、幸せでいられますように。
自分の好きな人が、好きなパフェを食べ、幸せでいられますように。
自分の嫌いな人も、好きなパフェを食べ、幸せでいられますように。

生きとし生きるものすべてが、好きなパフェを食べ、幸せでいられますように。

南国の魔王より


‪ 小さなパフェもおススメ。たとえば、空が青くて雲がない、風が気持ちいい、波がないプールで泳いだ、みたいな「小さな確かな幸せ(小確幸 しょうかっこう)」を見つけていくことだ。小確幸は、小説家の村上春樹さん提唱だ。探して、ちょっとずつ貯めていこう。元気になるよ。

ここで「パフェ」は比喩(ひゆ:わかりやすく説明するため、身近にある言葉を用いること)である。けど、本当のパフェも おいしいよね。クレープやアイスクリームも おいしそう。今度、食べに行こうよ。

つらい時は、自分のパフェを食べてみてね。

自動車と自転車を運転する方へ交通安全のお願い

はじめに

ある情報を目にした。「児童が道路に飛び出したところ 前方不注意と思われる車両と接触して頭を強打した」ことにより 意識不明の重体とあった。

その情報以上に詳しいことは、知らない。 その児童が意識を回復し、一日も早く学び、遊べるように心から祈っている。

さて、ここ数年、気になっていることを書きたい。

身近な交通事故

この数年、身近なところでも交通事故の話を耳にする:

  • ある5歳児が、横断歩道を歩いて渡っているとき、自動車にハネられたとのこと。親御さんによると、数メートルは飛んだらしい。精密検査の結果、大きな問題は見つからなかった。
  • ある知人が、横断歩道を自転車で横断中に、自動車に跳ねられたとのこと。本人によると、三ヶ月入院し退院したものの、頭蓋骨や骨格はズレてしまった。

歩行者として自動車にヒヤリとした経験の一部

歩いていて実際に経験や目撃し、ヒヤリとした経験がある。自宅から半径1kmぐらいの自動車は、こんな感じだ:

  • バス通りの横断歩道で 歩いて渡ろうとしたとき、40歳ぐらいの女性が運転する自動車は加速してきた。怖い思いをした。先に紹介した、歩いている5歳児が横断歩道でハネられたのと同じバス通りだった。
  • 信号のない横断歩道を渡ろうと手を挙げていても、停止をするどころか、クラクションを鳴らし、威嚇する車(ワゴン 男性運転者)さえいる。

つまり、渡っている歩行者がいても横断歩道で停止しない自動車運転者が少なからずいる。

歩行者として自転車にヒヤリとした経験の一部

  1. 自転車に乗っている小学生3・4年生ぐらいの男子2人が、細い道から大通りに無停止で大通りへ飛び出した。大通りを通行中のバイクがギリギリ停止できたため、事故にならなかった。
  2. 幼児を前後に乗せた女性が 1. と同じ道を無停止で飛び出した。タクシーは急停車した。
  3. 自転車に乗っている60歳ぐらいの女性が、大通りを歩いている子どもにぶつかりそうになった。子どもにぶつからなかったが、自転車の女性は舌打ちして迷惑そうな顔をして走り去った。
  4. 60歳ぐらいの女性が一時停止の標識を無視して安全確認をせず大通りに出たため、大通りを走っている自転車と衝突し、両方ともに転倒した。一時停止しなかった60歳ぐらいの女性が、大通りを走っていた自転車運転者(20歳代か)に怒鳴りつけていた。子連れで一部始終を見ていた私に「危ないわよね」と話しかけたので「一時停止をされなかったのは危ないですね」と言ったところ、バツの悪そうな顔をして走り去った。
  5. 高校生ぐらいの女性が自転車に乗っており、赤信号を無視して交差点に侵入したものの、青信号で通行中の子どもに気づき、停止した。
  6. 自転車に乗っている60歳以上の男性が赤信号を無視し、狭い歩道に速度を落とさず侵入したため、歩行中の子どもとぶつかりそうになった。この男性は「あぶねーなー」と言い残し走り去った。

つまり、自転車(二輪車)は、停止信号(赤信号)や一時停止でも止まらない。

これらは、私自身が半径1km以内の生活圏内においてヒヤリとした一部である。 実際には、この数十倍、いや、何百倍もの「ヒヤリ」が潜んでいるのだろう。

ヒヤリ・ハットと重大な事故

このような事象は、ヒヤリ・ハットと呼ばれる。 ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知をいう。文字通り、「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」である。 (wikipediaより)

ヒヤリハット報告書の作成ガイド〜重大な事故は300のヒヤリハットに隠れている!? 〜によると ヒヤリハット=重大な事故にはつながらないアクシデント」の重要性は、“災害防止のゴッドファーザー”と呼ばれたアメリカのハーバート・ウィリアム・ハインリッヒの調査によって指摘されました。彼は5000件以上の労働災害統計学的に調べ、1件の重大な労働災害の背景には、29件の軽微な災害があり、300件の「ヒヤリハット事例」があることを突き止めました。

工場だけでなく、日常生活においても「ヒヤリ」や「ハッ」とした経験の積み重ねが、重大な事故につながる。

本文章の冒頭で紹介した重大事故は、このようなヒヤリ・ハットが背景として大量にあったのではないだろうか。

自動車と自転車の運転手へのお願い

自動車の運転手は、横断歩道を渡ろうとしている人、渡っている人がいたら、停止してください。

横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

自転車(二輪車)の運転手は、「止まれ(一時停止)」の標識があれば、いったん停止し、安全を確認してください。赤信号は停止してください。

車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。

歩行者を保護してください。

まとめ

  • 「赤しんごう」は止まってください
  • 「止まれ」はいったん停止して安全を確認してください
  • ヘルメットをかぶってください。数千円で頭を守ることができるよ。

おわりに

深い眠りのなかで戦っていた意識不明の重体の児童は、その後、少しずつ快方にむかっていると耳にした。 一刻も早い回復を心から祈っている。

赤信号や一時停止を間違いなくやっているよ、という読者の方がほとんどだと思う。 守っていない、ごくごく一部の事象が積み重なり、このような事故が起こってしまう。

赤信号の無視や一時停止の不停止だけでなく、多くの問題があるかもしれない。 私自身が改めて意識したいと思い、特に経験して気になっていることだけをメモした。

重大な交通事故が少しでも軽微になってほしい、一件でも重大な交通事故がなくなってほしい、と心から願っている。

追記 2019年8月20日 同じ場所で事故が発生

知人の子ども(5歳児)が横断歩道を歩いて渡っているときに、車にハネられた、と、この記事で紹介した。

今日(2019年8月20日)、その横断歩行を10メートルぐらい通過したあと、すぐ後ろで自動車のスキール音(ブレーキのキキーという音)からの「ガシャ」と音と「ゴツっ」と鈍い音が響いた。車と自転車のようだ。車のボンネットが、直径50センチぐらいの大きさで凹んでいた。

見通しの良い場所だ。自転車も自動車のどちらの運転者も一旦停止さえすれば、防げた事故だろう。

私は、現実に対して圧倒的に無力で、できることは限られている。

  • 自分の子どもに「一時停止は止まろう」と、教えながら実践する。
  • 自分の子どもが自転車に乗るとき、ヘルメットをかぶらせる。
  • 横断歩道を渡るときに意思表示して、車に止まってもらう。
  • 交通事故を起こしにくい車を選択する、公共機関を選択する。
  • 移動しているときは、事故に遭いにくそうな経路を選択する。
  • 危ない運転を見かけたら、警察に相談する。
  • この記事を含め、交通安全の願いを社会に広める。

この記事を読んでくださった あなたを含めご縁のある方々が、加害者・被害者・関係者として交通事故に遭わぬよう、大きな事故も小さな事故になってほしいし、もし事故にあったならば一刻も早く元気になってほしいと、心から祈っている。

デジタル機器を使った子育てで 主体性やコミュニケーション力を育もう

これらの記事は、私の子どもたちが成人した後、私がどのように考えていたのかを知ってもらうために書いている。

はじめに

親である保護者の夫婦と、小学低学年生、小学高学年生、中学生の3人の子どもがいる5人家族である。

子育てをしている。子育ての目的は、子ども自身で自立した生活を営むための総合的な能力を育むことである。

年齢が上がるにつれ、それぞれの行事や行為が増大している。それぞれに通う学校において、それぞれの行事や宿題などのやるべきことがあり、それらの数も増えている。さらに、部活や習い事、遊びによって、家事など付随的な行為も増えてくる。たとえば、洗濯物の量も増えているし、捕まえたカブトムシの世話もしなければならない。

行事やすべきことは、親子それぞれにおいて管理する必要がある。指定された期日に合わせて、受け取った用紙に記入や実施し提出する。当たり前とはいえ、これらのことをモレなく実施するために、多少なりともストレスがある。このようなストレスを解消した状態で管理したい。

親が、これらの増大した行事や宿題をすべてを管理することは困難である。なぜならば、管理能力を超えるだけでなく、子育ての目的(自立した生活を営むための総合的な能力を育むこと)に反するからだ。宿題を例にとると、気になってしまい「宿題やった?」「まだやってないのか!はやくやれ!!」みたい指導になるし、逆に完全に任せて放任すると、宿題によって得られる能力を失うことになる。

それゆえ、行事(イベント)や タスク(TODO・やるべきこと)を自主的に管理することを通じて、 「心を離さず、手をかけない」子育てを実現したい。

家族相互の情報共有をすすめ、子どもも自ら判断する方法を経験しながら学んでほしい。

その目的を果たすツールのひとつとして、デジタル機器を用いることにした。

よくある一日の紹介

子どもたちはそれぞれのiPadを使い、親はiPhoneを使っている。

朝の過ごし方

朝は、iPadの音で目覚める。ベッドタイム機能で、睡眠時間を管理している。各自のiPadを、居間にある充電ステーション(6個口のUSB充電器にケーブルを繋げたもの)から取り出す。

目が覚めた誰かが「Hey Siri, 今日の天気を教えてください」「Hey Siri, 今日は暑いですか」とAIアシスタント機能に質問し、その日の天気を確認する。天気や気温に応じた服装を自分で選んで着替える。

それぞれのリマインダーで、タスク(TODO・やるべきこと)を確認して実施する。たとえば、小学高学年生は、漢字と語彙を学習し、計算演習をこなし、新聞記事を要約する朝セットを行う。小学低学年生は、空手の稽古と、論理トレーニングを勝手にやる。親も、ゴミ出しや家の管理など、すべきことをこなす。それらのタスクが終われば、確認の上「完了(DONE)」とする。

ネスト構造になっていることが多く、その背景も含めてOS標準メモ(Notes.app)を共有することが多くなった。現在の課題と方針、学習ポイントを書いた上で、タスクリストを記入する。雰囲気としては、文芸的プログラミング、Mathmatica notebook や Jupyter notebook を思い浮かべていただきたい。リマインダーでは、背景や方針などを共有できなかったが、メモではその背景やメッセージ、コメントなどが記入でき、OS標準メモ (Notes.app)がオススメである。

中学生は、カレンダーでイベントを確認し、電車で通うので電車の遅延情報やニュースを確認する。家を出る時間はカレンダーの予定から通知がくるので目安にする。朝食を終え用意を終えると、それぞれの時間に「いってきます」と、家を出る。

夕方の過ごし方

  • 連絡事項

    学校からのお知らせは、手紙とデジタル機器(メールやホームページ、スタディサプリなどのアプリ)を介して行われる。

    大切なお知らせは撮影し、メッセージで共有して、モレにくくする。 2分以内で片付けられるものは、その場でサクサク処理していく GTD。 記載して提出する大切なお手紙など相談が必要で2分を超える作業は、タスクとしてリマインダに登録する。

  • 宿題

    連絡だけでなく、習い事や宿題は、iPad上で行うことが増えてきた。 子どもたちは、学校の宿題から、やるべきことをこなしていく。 そして、終わればリマインダに登録されている タスク(やりたいこと・やるべきこと、TODO)を完了(DONE)にしていく。 その日の宿題などのタスクが多いときは、表を書く時もある。

  • 自主的な学習

    印刷物の図鑑や書籍だけでなく、デジタルコンテンツも充実してきた。 たとえば、360度の方向から眺められる昆虫図鑑など、子どもたちも楽しんでいるようだ。夜空を見る前にiPadで星座など星の位置を確認し、いろいろな話題で盛り上がった(天の川をしっかり見たのもうれしかった)。

  • ゲーム

    ゲームも入っている。インストールは、保護者が管理している。ゲームの時間は、子どもたちとの合意された時間のみ起動できるようにしている。スクリーンタイム機能でひとり 30分ぐらいに時間制限している。

使い終わった各自のiPadは、充電ステーション(6個口のUSB充電器にライトニングケーブルを繋げたもの)に接続する。 寝るときは、読んだり、遊んだり、話したりしながら、過ごしているようだ。

土曜日は、ふりかえりと計画作り

問題や気になることがあれば、すぐに話し合うことを心がけている。 それに加えて、土曜日の夕方は、1週間どうだったかを話すことが多い。 その週の学習や学校生活、部活や友人関係など、いろいろな雑多なことを話す。 特に楽しかったことや学んだこと、うれしかったことをよく話す。

次の週の計画を立てる。 やりたいことをリストアップし、順番をつける。 だいたいの目安となる計画を作っておく。 学校の宿題や健康状態によって、計画通りに進まないとはいえ、何をしようか悩まなくてすむ。

社会動向と、中期や長期の方向を考える

  1. 大きく社会が変化するようなポイントを紹介する。 たとえば、中国と米国、日本と韓国、エネルギーや自然環境などなど、変化の大きな因子になるような社会動向を継続的に紹介している。
  2. 親が考えていることを正直に伝える。 たとえば、理系や文系の選択基準や、これから大切となってくる分野など、傾向と理由について伝える。
  3. 子どもたちが感じている興味や問い、問題意識を、各自のノートにつけている。

これら3つのポイントを元にして、5年ぐらいを目安にして長期的な方向性を考える。学校選択や教科選択などのヒントになる。

将来の目安を5年ぐらいにする理由がある。 5年が経てば、社会動向が大きく変わるし、自分の興味や価値観も変わってくる。 多様な職業を知る取り組みはなされているが、5年後、彼らが社会に出る10年後には大きく社会情勢は変わってしまっているだろう。 強固に決めれば、自分の知識の狭さから適切な選択を損ねてしまう危惧すらある。 それよりも、そのような変化に対応できるような能力を育むことが有効であろう。 つまり、5年間、学んだことや経験したことをベースに、その時に考えれば良い、と考えているからだ。

デジタル機器を使う方針

  • 子育ての目的を明確にする

    目的は、ツールを使いこなすことではなく、自立した生活を送ることである。 ホンマツテントウ虫や手段の目的化にやられないよう、常にバランス感覚を身につけよう。

  • 計画と実施を分ける

    ある程度の方針や計画を立てておくと、着手するときに迷わず安心でき、効果的に作業や学習が実現できる。

    ただし、あくまで計画は、参考とするものである。計画にとらわれすぎないように気をつけよう。

  • デジタルツールの選択

    冷蔵庫やホワイトボードに、やること(タスク)を貼り付けていた。しかしながら、情報量が増えたことと、冷蔵庫前にいるとは限らないこともあり、付箋紙によるやること(タスク)の管理は、限定的な内容のみとした。

    ツールの選択基準は、自分で作った文書データと長い友達でいるためのメモに書いたように、文書データや環境を、長期間にわたってリーズナブル・安定的に用いられるように選択している。

  • マスターを決める

    マスターとは、さまざまなメディアの中で、もっとも中心となるメディアを示す。 誰もがアクセスしやすく、最新情報に更新されている必要がある。 負担が少なく運用できるメディアを決定し、周知する必要がある。

    マスターとして、iPad/iPhoneでアクセスするiCloudのカレンダーとリマインダーとした。 あらゆる予定とすべきこと(TODO)をこちらに登録し、更新し続けている。

    以前、マスターであった冷蔵庫やホワイトボードの運用は止めることを周知した(冷蔵庫のカレンダーには、誕生日や記念日、運動会ぐらいは書いてあるけどね)。

  • 危機管理・時間制限

    現在、SNSやメールなどのコミュニケーションツールにおけるトラブルが多い。ゲームに熱中するあまり、学業や生活に支障を及ぼす話も耳にする。 親が望まないサイトへのアクセスも多いようだ。

    学校を通じて、そのような指導があるものの、設定や機能による制限も確実である(子どもに、制限した環境を用意すべきかは議論の余地があるだろう)。 機能制限(スクリーンタイム)機能によって、SNSやメールなどのコミュニケーションツールやゲームの時間を制限している。

    ウェブのコンテンツにもアクセス制限機能を設定している。ただし、この機能が有効かどうか、よくわかっていない。

使用している環境・アプリ

環境やアプリの選択基準は、自分で作った文書データと長い友達でいるためのメモを参考にしてほしい。

2019年8月15日時点において、歴史的な経緯もあり、アップル社製品(MacBook Pro×2、iPad 2018×3、iPad mini 3×1、iPhone SE×2)を使用している。Windows機や Android携帯もあるが、使っていない。

その中でも、子どもたちも親もメインで使っているのはiPadである。その経緯をメイン環境をiPadにしたよに詳しく書いたので、参照ください。

子どもが使うiPadには、頑丈そうなケースを付けたので、少し安心である。

充電ステーション Anker PowerPort6は、居間にあり、百均で買ったお皿を立てるスタンドに設置する。

本記事に関係することは、iPadiPhone標準で入っているメッセージアプリ、メール、メモ帳、カレンダー、リマインダーだけで実現できる。それぞれのアプリを iCloudのファミリーシェアを無料プランのまま使っている。Google製品スイートやMicrosoft Office製品スイートなども同等のことができるだろう。

そのほか、学習アプリやゲームアプリ、プログラミングアプリなども子どもたちに人気だ。

心配事項

  • 視力の低下が心配

    iPadに限った話ではないけれど、画面を注視する時間が長く、姿勢が悪いことも多い。 30分おきに目を休めるなど、声がけなどで対応しているものの、視力の低下が心配である。

  • 指定されたアプリが未対応

    多くのアプリがiPadで動くため、今のところ困っていない。データ処理やデータのインポートなどに不便に感じる。

おわりに

子どもには、のびのび・すくすく成長してほしいと願っている。しかしながら、日本の首都圏において、現実的に、宿題や習い事、家事などのやるべきことがあり、学校行事や学校生活をやらなくてはならない。

行事(イベント)や タスク(TODO・やるべきこと)を自主的に管理することを通じて、子どもの成長を支援している。そのため、相互の情報の共有をすすめ、自ら判断するようになってほしい。

この記事に書いたように、その目的を果たすツールのひとつとして、デジタル機器を用いている。

その結果、「勉強しなさい」「宿題やったのか」「明日の準備は何か」のような基本的な管理については、保護者から命令・指示することは減り、主体的に行動できつつある。現実的な制約の中で、遊びや、家族の会話などをのびのび楽しむ機会を持てているようだ。

これから、子どもが成長するにつれ、このようなコミュニケーションを取りながら、自主的に判断しながら行動し、その結果に対応する、この一連の能力を磨き、自在に使いこなしてほしいと願っている。

追記

  • 子どもがタスク管理のために使用しているアプリが、OS標準のリマインダーからメモ(Notes.app)に変わりました。本文中に追記あり。2019年12月30日