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子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)

子育てと しかること

子どもは親が育てるのか

親が子どもを育てていると考えがちだが,子どもは自分の力で成長する.たとえば農家が稲や苗木を育てる関係性に似ている.農家(親)が育てているのではなく,水や養分を吸い,太陽を浴び呼吸して成長するのは稲や苗木自身である.親や百姓は,苗木の環境を整え,水をやることはできるが,自分が育てているのではない.あくまで,苗木自身が自分の力で育っていく.稲や苗木に対して水を枯らし太陽に当てなければ,悲しい結果になるのも子育てと似ている.同様に子育ても,親が育てるのではなく子どもが自ら成長していくことを支援しているにすぎない.つまり,子育てとは,環境と関係を整え子どもの成長を支援すること である.

子どもは,自分自身の人格を持ち,子ども自身で考える他人である.子どもは,他人であるので親の思い通りに動かすことはできないし,あくまで環境と関係を整えるしかない.

子育ての関係性

よくない言動を修正するのは子どもなのか

立場の違いがある: しかることは,親から子,上司から部下,先輩から後輩のように立場や能力が違うことが前提となっている(部下や後輩との関係も似ているが,ここでは子どもと表記する).特に,子どもは立場や能力が弱く,それだけ選択肢が少なく,逃げ出すことが困難であり,しかられたことを受け入れざるをえない.

一方向のコミュニケーションとなる: あくまで立場の弱い子どものよくない言動を直すことが対象となっている.そのような関係性を前提として,親は子どもを強い態度で責めるため,本質的に一方向のコミュニーションである.「わかるよな!?」と質問しても「うん,わかった」と返事するのは,この立場が弱いことによって正直に答えられない.

良し悪しの判断は親がしている: ある言動が良いか悪いかを判断しているのは,立場が強い親である.つまり,子どもには,何が悪くて何が良いのかはわからない.しかられている子どもは,基本的に萎縮しているため正直に理由を考えにくいし話しにくい.

しかり方を修正するのは親自身しかできない: そのため「しかり方」についての修正するのは,子どもではなく親である.「子どものよくない言動を直す」ためには,立場が強く能力がある「親自身が直る」しかない.なにより,子どもだけが間違っていると認識するのは,学習する機会を増やすための謙虚さに欠けて,親自身が成長する機会を失ってしまう.

しかることとは

子どもを育てる 様々な方法がある: 成長する中で必要なことを学ぶため,この身につけてほしい必要なポイントを伝えていく.この必要なポイントは,家庭や親子によって,それぞれ異なっている.ある文化では修行にでることが必要とされ,ある文化では夢や目的を持つことが大切とされ,ある文化では現実を見ることが大切とされている.そのような異なった文化の中でも,家庭ごとに違ってくる.そのように必要なことも違う.また,その必要なことを伝える方法も様々だ.言葉を使う,態度や体を使う,環境を使うなどの方法がある.日本社会ではよく使われる「しかる」と「ほめる」に注目した.

しかることは,親の願いを伝えるひとつの方法である: 危機に直面したことなど親の文化や判断基準における違反した時に,それは違反したことと,修正することを伝えて,修正してももらいたいと願っている.しかることは,強い感情もしくは行動にそって働くため,その願いを伝えるひとつの手段である.そのため強い感情を持って相手に効率よく伝える方法といえる.相手が納得し,次からそのように行動できるようになることが「よくない言動を修正する」ことになる.

しかることと おこることは違うことか

しかるのは,子どものためで,怒っていることとはちがうのか

しかるとおこるの区別があると言われている: 叱る(しかる)とは,相手のあやまったところを指摘し,厳しく注意を与えることである.怒る(おこる)は腹を立てて相手に注意することである.やさしくしかることはできるが,やさしく怒ることはない.子育ての場面において,親が子どものあやまったところを指摘し,注意を与えることである.どちらも,相手のよくない言動をとがめて厳しく注意する意味では同じではある.

子育ての場面において,しかることは相手のためを思って厳しい言い方をしている.怒ることは腹を立てている自分の感情の一種であり,自分がスッキリするためにする行為である,と言われている.このように子育てにおいて,怒らず,しかるような論調が主流を占めている.

しかっている時は怒りの感情が含まれている: 親となってしかったときの気持ちを思い出してほしい.よくない言動に直面することによって怒りの感情を持ち,そのことを飲み込んでしかっているのではないか.つまり,親は怒りの感情を押し隠して,しかっているのだから,怒りの感情はない,もしくは少なくしていると考えているのではないだろうか.この場合,子どもに対して激昂するようなものだけでなく,家から出るなどの行動も怒りである.

子どもは怒るとしかるの区別は難しい: しかるも怒るも「強い態度で責める」ことであるため,親はしかっているつもりであっても,強い態度で責められている子どもからの区別は難しい.怒りは強い感情で隠すことが困難で,子どもはその怒りの感情を容易に見破っている.親は「怒っていない,しかっているだけだよな」と子どもに確認したとしても,子どもは,親の怒りを解除したいがために,しかっている状態を終わらせたいため「うん」と答えていることになる.激しい感情を持っている親に対して,子どもが平常心でいられるとは考えにくい.

適切に内容を伝える技術がない場合に,しかっているのと怒っているのは違う,と親が言っているのではないか: 親が怒っているだけにも関わらず,指導しているんだと自己満足し言い訳になっているのではないだろうか.「しかっている」と言い訳をしながら,自分自身がスッキリするために怒っている状態になってしまうだろう.子どもを見下し指導することによって,親子の関係性における親の地位を上に上げるための行動とも解釈できる.このように,しかるとおこるを分離することは,親は子どもを見下し,対等な関係を作れなくなってしまうことを覆い隠してしまう.

共に育って行くことを阻害する: あくまで目的は,よくない言動を修正することにある.よくないことは,子どもにだけあるのだろうか.いや,親にもよくない言動はある.これは,お互いに矛盾していると思い合っていることになる.

子育てへの関わり方

子どもはよく知らない,子どもから学ぶことなんてない

それゆえ,子どもも成長するし,親も成長するような,共に成長していく関係性を目指す: 親から子どもに良くないことを伝え,子どもから親へも良くないことを伝える.そのような情報を得ることによって,親も子どもも双方が,一緒に成長するような機会になれば,より発展しやすくなる.親は子どもの成長を取り込み,子どもは親の成長を取り込むような関係性である.

子どもはしかって強く育てるのか,褒めて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - ari's world にあるとおり,そこではしかることも褒めることも,健全な状態で正直な気持ちを伝えることへシフトしていく.

子どもと一緒に取り組む: 親は自分自身の接し方を修正しながら,子どもと一緒に「よくない言動に取り組む」ことになる.あくまで,よくない言説が問題なだけで子どもの存在が悪いわけではない.

親自身のしかり方を修正していくことも必要である 気になることを調整することによって,共に成長することになる.実際のところ,判断基準や心がけについても,子どものとのやりとりの中で発生した.子どもだけが成長していくのも,率直なところ子育ては退屈になってしまうだろう.共に成長できるのであればワクワクして楽しい.

よくない言動を修正し,楽しく一緒に歩もう

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次の記事は 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7) だよ.

記事一覧

  1. はじめに - 子どものしかりかた (1/7)
  2. 子育てとしかることと怒ること(定義) - 子どものしかりかた (2/7)
  3. 子どもは しかって強く育てるのか,ほめて伸ばすのか,子育ての心がけ(欺瞞と正直) - 子どものしかりかた (3/7)
  4. どのぐらいしかるのか(頻度と度合い) - 子どものしかりかた (4/7)
  5. 子どもが自分で行動するために判断基準を作ろう - 子どものしかりかた (5/7)
  6. なぜしかるのか,どのようにしかるのか - 子どものしかりかた (6/7)
  7. おわりに - 子どものしかりかた (7/7)

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