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あるかどうかわからないけど、あるみたい。ありがとう。

トップダウンとボトムアップの対立と和解(その1)

ボトムアップ的なアプローチとトップダウン的なアプローチの話を状況やステージの視点でざっくりと書いてみました。

◇ ◇ ◇

状況

トップダウン的なアプローチと、ボトムアップ的なアプローチの二種類がある。

一方のボトムアップ的なプロセスは発見的なプロセスでもある。たとえば、パタンは、ボトムアップ的なプロセスと相性がよい。ひとりひとり、もしくは、ひとつのチームなどでの成功体験や気持ち、状況などを丁寧に見てコトバ(パタン)やカタチにしていく。たとえば、「あの大きな木が好きだ!残そう」という気持ちであったり、「コーディネータ役(調整役)を入れたら成功した」であったり、様々なスケールにおいて、コトバやカタチを足していく。その結果、ランゲージ(コトバによる構造)として、ある領域における世界観を生み出していく。診断した結果、不足しているところがあれば、どんどん言葉を継ぎ足して修正し、使わない言葉は消滅していく。

他方のトップダウン的なプロセスは、上から覗くような視点である。ある領域(ドメイン)における、完全な「全体」をロジカルに理解し、コンセプトや方針を決め、それに基づいたタスクやルールに分解する。たとえば、ある領域を細かく分け、「重複なく・漏れなく」という意味であるMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)という観点でチェックする。そのMECEでの分割する観点は、その領域(ドメイン)でのリソースや制約状況によって、違いがある。

問題

トップダウン的アプローチとボトムアップ的アプローチは対立している(のではなかろうか)。

解決策

このふたつの考え方のどちらが優れているか?という議論は、むろん大切ではある。ただ、私は「どのようなときにそれぞれを活かすことができるのか」という議論が好きだ。目的や関心に応じて、どっちの手法を選択するのか、ということだ。

いろいろな状況や現場があり、一般解を提示するつもりはないが、二つのモデルケースを考えてみた。

  • 世の中がどのようになっているのかが見えない、仮説が立てられない状況においては、探索的にボトムアップ的なアプローチを取る。小さく始める、最も大切なものをカタチにしてみる。そのボトムアップ的なアプローチで全体像が把握できた後は、トップダウン的なアプローチで「ヌケモレ」がないかチェックし補強するストーリだ。
  • ある程度の規模ですでにビジネスが動いている場合、たとえば、ある商品を企画するときに、自分のビジネスにおける分析を行い、全体像を把握するためにトップダウン的な分析を行い、アプローチできる年齢層や地域を探すなどのドメインをあぶり出す。その後、そのドメインにおけるターゲット層でのインタビューや行動観察をして、ボトムアップ的に商品を企画・構築していくストーリだ。

現在のところ、ボトムアップ的視点で構造やシステムを作り、トップダウン的な視点でチェックし選択や実施する、のがひとつの方針案として有用そうだ。たとえば、『ゲームストーミング』を参考にし、ある会議を考えてみよう。最初は、ブレインストーミングなど、いろいろな意見を出し発散させていく。その後、整理し、実行可能性などの視点から順番をつけるなど収束させる。そのときの発散はボトムアップ的アプローチに近く、整理や収束などに強いのがトップダウン的なアプローチであろう。むろん発散のステージにいるのに批判をするなどの収束的なアプローチを取ると混乱することが多いので、ある程度のバランス感覚の中で明確にステージにわけることは現実的なノウハウだ。また、トップダウン的なアプローチを主に置いてしまう、もしくはボトムアップ的なアプローチでもスケールが大きくなると、個別の要素についての変数が無視される傾向があるので留意したい。その後も、発散と収束、ボトムアップトップダウンをくり返していくことになるだろう。

トップダウンボトムアップの利点を見いだし、目的や関心に応じた使い分けを今後も検討していきたい。

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トップダウンボトムアップの対立と和解(その2)は、スケールに応じたダイナミックスの切り口です。