興味がある本なので、本を買って読む前に紹介されている概要から印象を書いてみる。
- 作者: E.ノエル=ノイマン,Elisabeth Noelle‐Neumann,池田謙一,安野智子
- 出版社/メーカー: 北大路書房
- 発売日: 2013/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (3件) を見る
「自分の意見は少数派である,あるいはそうなりそうだとわかった人は孤立を恐れて沈黙し,逆に自分が多数派だと認知した人は声高に発言する。沈黙は雄弁を生み,雄弁は沈黙を生むというこの螺旋状のプロセスの中で,少数派はますます少数派になっていく……。
傾向としてはそのとおりである。たとえば「どのようにSNSは死を迎えるか:Friendsterで検証 http://wired.jp/2013/03/05/friendster-autopsy/」は、SNS上のネットワークがいかに崩壊していく過程を検証している。スケール(ネットワークの規模)のことは違うものの、少数派の意見を持った人たちのネットワークが切断され消滅していく過程も同じ法則に則るだろう*1。
このような現象は、同調現象が関係しそうだ。同調現象とは、異なっている周りの人の意見に本人の認識や意見を合わせることである。場の空気に流されることとも言われている*2。たとえば、長さの違う2本以上の線のどちらが長いかという問いかけに対して、被験者が1人だけの時にはは全く間違いは発生しない。しかし、同席している他人(サクラ)が間違った意見を言うと、被験者は間違った意見を伝えてしまう。
ただ「(少数派は)孤立を恐れて沈黙」するだけなのかは気になる。他の因子もあるのではないだろうか。たとえば、老子に「知る者は言わず、言うものは知らず」という言葉がある。話すことや書くことが上手なことと、知っていることは違うということは、FacebookなどのSNSや実社会でも多く観察される。間違った意見を持っていると思ったとしても、それは間違った意見ではないかもしれない、「やってみてね」ということだ。人は失敗からしか学べない。
世論や意見の伝播は、オリジナルの発言者と、フォロワーがさらに拡散することによって行われる。映画『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』においても「全ての情報は、共有し並列化した段階で単一性を喪失し、動機なき他者の無意識に、あるいは、動機ある他者の意思に内包化される」と言われるように一度ソーシャルに出てしまうと、どんどんコピーされていく。そのような伝言ゲームのような過程で、オリジナルの意見はねじ曲げられことも含め広がっていく。その共有と伝播の流れを考える必要性がわかってくるだろう。
そんな「概略」だけで、ご飯を三杯食べた、という日記でした。本は買うかな。