ari's world

あるかどうかわからないけど、あるみたい。ありがとう。

パタンランゲージによる設計とその範疇

パタンランゲージは、とても興味深いので紹介したい。たとえば、C.アレグザンダー『パタン・ランゲージ―環境設計の手引』のpp.xivより引用する。

パタン・ランゲージのうち、まず、町やコミュニティを定義する部分からはじめる。けっして、一度に全部を「設計」したり「建設」することはできない ― だが、1つ1つの行為の積み重ねが、つねにこれらの包括的なパタンの想像や生成につながるようにすれば、息の長い漸進的な成長により、これらのパタンを備えたコミュニティが、何年もかかって、徐々に、しかも確実にうまれてくるであろう。

アレグザンダーのパタンランゲージは、「町やコミュニティを定義する 」であるように、「人間活動」や、組織などの「非物理的なもの」も含まれている。#1のパタンが「自立地域」であるように「社会・コミュニティ」のデザインについての知見もアレグザンダーの主張に含まれる。

パタンランゲージのプロセスは、デザインの事前と事後、専門家と利用者を分離せず、解け合った形で実現しようとしている。たとえば、上記の引用にあるように「1つ1つの行為の積み重ねが、つねにこれらの包括的なパタンの想像や生成につながるようにすれば…」と設計(デザイン)と実装が解け合っている。『オレゴン大学の実験』では、キャンパスを成長する過程が示され「有機的秩序を形成するものは、プロセス自体であって固定的な計画では決してない(pp.185)」や、「各集団は、自分たちが共有する環境については、みずから意思決定する。(pp.4, パタンランゲージ)」も大切な主張である。
2011年にオレゴン大学キャンパスを訪れたときには、実際に建築中・改装中の建物が多く、キャンパスツアーをしてくれた学生は「いつも工事中のキャンパス」と紹介してくれたこともデザインが継続的に行われることを状況的にサポートするだろう。

逆に、短い時間でとらえ、ルールとしてのパタンがダイナミックに書き換えができない状況であれば、デザインの事前と事後が切り離されている状態をとも捉えられる。これは、パタンが印刷や出版されているのであれば、なおさらと言えよう。

このように現在のソフトウェア開発も含め、様々な分野で応用できる考えである。このパタンランゲージの考え方とゆる思考を用いて、どのような社会や組織を描き出せるのだろうか、今からわくわくしている。