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ari's world

あるかどうかわからないけど、あるみたい。ありがとう。

現場と教科書

2013年11月9日に開催されたDevLOVE現場甲子園2013では、なんと60人の人が、自分の現場について語り尽くす、というイベントであった。オーガナイズなど洗練されていて組織運営の意味でも、とても参考になった。

ひとつひとつが現場の話しであるから、実感がこもっていて、とても面白い!「教科書にはない面白さがある」と評している人がいらしたので、現場と教科書(書籍)について考えてみた。

この記事は、DevLOVE現場甲子園2013チーム「創」のアンカンファレンス枠でお話しした内容と、参加してくださった人たちからいただいた多くの意見を集約した。この記事の内容は、私の観点だけではなく、皆様のお陰で成り立っている。参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。

現場

ソフトウェアで開発している人が、マネージャをさして「現場を知らない」という発言を耳にした。その主旨自体は理解できるが、マネージャは、マネージャの現場があって、自分の置かれているコンテキスト(文脈)において、自分の問題に直面している。経営者にとって、組織や企業の経営、マーケティングにとっては、営業活動、研究者にとって、研究の、子育てする人にとってみれば、子育てのそれぞれがそれぞれの<現場>を持っている。

当たり前かもしれないけれど、それぞれが違うのだ。その異なる現場、もしくは、現場に属する人の間での認識や意識の違いが摩擦を生み出すのであって、自分以外の現場があることを忘れてはならない。大切なことは、それぞれの状況が違うことを理解し尊重してほしい。

うまく行ったときは、自分の頑張り、失敗したときは他人のせいにしやすい、という研究結果もある。自分にとっての現場を考えることはあるけれど、他の人(他の立場、組織)の現場を想像することは少ないようだ。異なったコンテキストの中で、どのように調整するのかに着目した方が建設的ではないだろうか。

つまり、

現場とは価値を出すために注力している環境のこと

ではないだろうか。

そのような状況の違いや、ジレンマが発生したとき、どのような分析と解決の提供を目指す枠組みのひとつとしてパターンとプロジェクトランゲージ(TOC、U理論、システム思考…)を引き続き説明する予定だ。

教科書

たとえば、Amazon.co.jpの書籍で「子育て」で検索すると11,356件、「プログラミング」で検索すると20,610件もヒットする。世の中には、ブログやSNS、テレビやラジオなど他にも情報ソースがある。それらの三万冊もの書籍や、それ以外の情報を読むことは現実的には不可能だろう(そのための技術を作る研究も面白そうだが、ここでは触れない)。

どのように本を選択するか?

すべての本を読むことができない以上、選択することが大切になってくる。参加者のみなさんと、どのように本を選択するかを話し合った。ここでは「本」として話し合ったが、それ以外の情報ソースでも同じことが言える。

他の人が推薦した本を読む。他の人に聞く。

相手が、どのような視点を持つかを知るために、オススメの本を聞く。その本を読むことによって、その人がどのような視界を見えているかを想像できる。

どの本がオススメですか?と聞いてみよう。

以前、ジュンク堂書店池袋本店コンピュータ書籍売り場とアジャイルプロセス協議会、マナスリンクの共同で、「人生を変えた一冊」を企画させていただいたことがある。それぞれの観点に基づいた本と、その本にまつわる物語を聞くことができたのは、とても貴重だった。

自分の困難に関連した本を読む。

<現場>で直面する切実な問題がある。そのような切実な問題をクリアするために、本や情報にあたり解決する。解決することを続けることによって、成功体験を続け、自分や関係者の成長を実感できる。

違う分野の本を読む。

たとえば、フィクションを読む、全然違う分野の本を読むなど、自分の視界を広げてくれる。

村上春樹氏は上手な嘘をつく、いってみれば、作り話を現実にすることによって、小説家は真実を暴き、新たな光でそれを照らすことができるのですと話している。嘘でしか語れない真実もあるのだ。

古典(2000年以上生き残っている本)を読む。

長い間生き残っている本は、時間によってテストされているのだ。2500年前の本であれば、2500年間に渡って、<現場>で繰り返し、何らかの価値を提供してきたということだ。

むろん、課題に評価されることも多くあるため、そのオリジナルのコンテキストが何を言わんとしているのかを見極める必要がある。

場合によっては、自分の<現場>に適用するために解釈する必要がある。しかし、多くの場面で役立つことが多いので、古典を読むことは効率的であると思う。

ベストセラーは読まない。熱病みたいなもの。

ベストセラーは、そのときの熱病のようなものなので、ほとぼりが冷めてそれでも生き残った本を読む。

実は、技術も同じことが言えよう。今盛り上がっている技術、盛り上がりそうな技術は、問題点や課題が見えていないまま、熱病のような状態になっている。先進的な技術を好むアーリーアダプタとして、その技術に飛びつくことはあったとしても、冷静にその技術を見極めたいものだ。

閑話休題。ベストセラーは少し熱が冷めてから。

図書館や古本屋を活用しよう!

書店には、新しい本しか手に入れられない。図書館や古本屋では、本との出会いが待っている。ぜひ、活用しよう。

私自身が本を読むためのプロセスを紹介すると、図書館 → 古本屋/Amazonの古本、それから大学生協としている。その際、重宝しているのが、FirefoxプラグインのLibronだ。「Libron は Amazon のページから素早く最寄りの図書館の蔵書を検索し、貸出予約ができる便利なツール」である。

感情を大切にする。

自分の感情や気持ちを大切にして、その本を選ぶ。自分の気持ちに耳を澄ますことによって、適切な選択やアクションが取れるようになる。

これからの時代

これからの時代は、本は読むから、本を出版することにシフトし、それから、本を読むことと書くことが同じことになっていく気がする。ある友人は「作ることと消費することは等価になる」(記憶に基づいているので、少し間違っているかもしれない)と話していた。本を読むことと、本を書くことは等価になっていく、そんな時代になると思う。

そして、あなたが直面している環境である<現場>で語られる言葉や問題が、より尊重される世界になるだろう。いや、速やかに、そんな世界をみんなで作り出さなければならない。

DevLOVE Advent Calendarの18日目の記事はこちら(現場の声を開放しよう!未来のパターンとプロジェクトランゲージ)です。